[東京 16日 ロイター] -
<ソニーフィナンシャルグループ シニアエコノミスト 渡辺浩志氏>
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)時点では、6、7月は50ベーシスポイント(bp)の利上げを行うと示唆していたが、5月の消費者物価指数(CPI)が上振れたことなどを受け、利上げ幅を大きく引き上げた。
イレギュラーな対応ではあったが、FRBとしてインフレ上振れを看過せず景気を犠牲にしてでもインフレ抑制すると示し、信認を取り戻す上では有効な利上げだったのではないか。
先行きに関しては、景気は減速するものの後退はせずハードランディングにはならない形でインフレを抑制していくスタンスが示された。結果として、足元の市場のインフレ期待は落ち着いてきている。
日経平均株価はイベント通過で現在は反発しているが、大きな上昇は見込みにくい。米国株は金利に敏感な成長セクターを中心に下落基調が続いていたが、日本株は米国のバリュー銘柄と連動しやすい傾向があり、これまでの下落は米国株に比べて深くなかった反面、上がりにくい面もある。
円安の恩恵を受けにくい現状では、ドル高/円安基調が続いても株価を大きく押し上げるような要因にはなりにくい。
中長期的にみれば、米国のバリュー株が底入れし、緩やかに上昇する動きに連動する形で日本株も極めて緩やかに上昇していくとみている。年末の日経平均は2万9000円程度を予想している。
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