[上海 21日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで上昇。中国政府が一連の景気刺激策やハイテク部門の規制緩和を打ち出す中、景気回復の兆しや中国株への海外資金の流入が元買いにつながっている。
米国が対中関税を一部撤廃する可能性を示していることも元高要因。ただ、一部のアナリストは世界的な金融市場の混乱から中国資産に資金を逃避させる動きは長くは続かない可能性があるとみている。
国内スポット市場の人民元は1ドル=6.6829元で取引を開始し、中盤時点では6.6869元と、前日終値に比べて元高。人民銀行は取引開始前に基準値(中間値)を元高水準に設定していた。
元相場は4月に急落後、過去1カ月間で安定化した。
みずほ銀行のアジア通貨担当チーフストラテジスト、ケン・チュン氏は外国人投資家の中国売りが和らいでいると指摘。中国株への資金流入が米中の金利差を背景とする中国債券からの資金流出圧力を相殺するはずだとした。
ただ、仏ナティクシスは中国が世界市場の混乱から隔絶された状況は長く続かず、資本が再び流出する可能性があると警告。
同社のアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・ヘレロ氏は株式への資金流入に関し「予想を下回る景気回復が投資家を遠ざける可能性がある」と指摘。一方、米中の金利差は拡大するばかりとなり、債券からの資金流出が継続すると予想した。
その上で、状況を好転させるには世界経済を上回る中国経済の成長や規制圧力の緩和、地政学的リスクの低下が必要になるとした。
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