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参院選こうみる:思惑は出ても金融政策の転換には直結しづらい=みずほ証 丹治氏

[東京 11日 ロイター] -

<みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

今回の参院選は大方の事前予想通り、与党の勝利に終わったと解釈できる。また、選挙前には安倍元首相が演説中に銃撃され、死亡する事件が起きた。一連の出来事を受けて岸田政権の自民党内での政治的な力が強まった結果、経済政策にも影響が出る可能性が市場の一部でも意識されるかもしれない。特に、安倍氏の死去によって経済政策の「アベノミクス」色が弱まり金融政策にも影響が出るとの思惑は生じやすいだろう。

一方で、先週末以降の政治的な出来事が経済政策、特に金融政策の転換につながる可能性は低いと考える。

そもそも、岸田政権が現時点で緩和継続を志向しているのは、岸田首相と安倍元首相との距離感といった政治ゴシップ的な側面よりも、政策的なコスト・リターンを考慮した結果の自然な帰結という側面が強い。金融引き締めは海外要因によるエネルギー・食料価格の上昇には効果がないほか、円安に対抗しようと思えば大幅な引き締めが必要であり、景気を悪化させた結果物価が上昇する中で賃金が下落することになりかねないからだ

。また今回の参院選の勝利からも読み取れるように、円安が進む中でも今のところ岸田政権の支持率は安定しており、コスト対比のリターンが見合わないと承知の上で円安と戦っているという「パフォーマンス」のために金融引き締めを促さなければならないほど追い詰められた状況でもない。

岸田政権の党内での力が強まることで独自色を出しやすくなり、それが結果的に反「アベノミクス」的な政策につながる可能性も無くはないが、それは主として規制・構造改革分野、いわゆるアベノミクスの「第3の矢」に当たる部分である可能性が高い。

金融政策に関しては岸田政権は一貫して緩和継続を主張しており、金融緩和解除・引き締めに対する強い意志を持っていることは読み取れない。

財政政策の分野では、岸田首相と所属派閥である宏池会が元々財政緊縮派と目されるだけに、岸田首相の影響力が強まれば、特に結果として長期政権となれば、中長期的には国債発行額に対して発行減額方向でのインパクトが生じる可能性がある。

ただ、足元の岸田政権は防衛費増額やグリーン・トランスフォーメーション(GX)経済移行などの財政拡張的な色が濃い政策を公約に掲げており、急速に緊縮方向に舵を切るとは想定しづらい。そもそも近年では国債市場発行額の増減については大部分を国庫短期証券(TB)発行額の増減で賄うことが慣習化しており、イールドカーブ全体へのインパクトという意味ではなおさら限定されやすい。

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