[ロンドン 7日 ロイター] - 英政府は7日、イングランド北西部の地下深部で石炭を採掘する「ウッドハウス炭鉱」を開発する計画を承認した。同国で新たな深部炭鉱が開発されるのは、ここ数十年で初めて。気候変動対策に逆行するとの批判も出ている。
開発はウエスト・カンブリア・マイニングが手がける。規模はサッカー場約60面分(23ヘクタール)。2019年の推計では、総工費は1億6500万ポンド(2億0100万ドル)。開発に要する期間は2年間で、50年間の操業が提案されている。
計画書によると、同炭鉱で生産される石炭の80%余りはイングランド東海岸の輸出港に輸送される。大半は欧州へ輸出される見通しだ。
住宅・地域社会省の報道官は同炭鉱の石炭について「鉄鋼の生産で使われるか、輸出される。発電用には使われない」と説明した。
同炭鉱は5年後に生産量がピークに達した際に、500人余りの労働者を雇用する見込み。
2014年に公表された同炭鉱の開発計画は、野党や環境保護団体だけでなく、政府内の独立諮問機関である気候変動委員会(CCC)からも批判されてきた。
CCCのジョン・ガマー委員長は同炭鉱の承認について声明で「石炭使用の段階的な廃止こそ、(温室効果ガス排出量の)実質ゼロ化へ向けた世界的な取り組みで最も明確な要件だ。この判断は世界的な排出量を増やすものだ」と訴えた。
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