[東京 20日 ロイター] - 日本証券業協会が20日発表した1月分の公社 債店頭売買高(国債)によると、外国人が最大の売り主体となり、売り越し額は4兆11 90億円と過去最大を記録。また生損保が超長期国債を過去最大となる4462億円売り 越した。同月17─18日の日銀会合を前に、政策修正の可能性に備えて内外の幅広い投 資家が国債を売っていたことが示された。 このうち外国人は1月に利付国債トータルで4兆1190億円を売り越し、金額はデ ータが遡れる2004年以降で最大となった。金額の内訳は、長期債が3兆4846億円 、中期債が3887億円、超長期債が2457億円で、長期債を中心とした売り越し基調 が継続した。 シティグループ証券の藤木智久G10金利ストラテジストが「海外勢だけでなく、国 内投資家も幅広い年限ゾーンでまとまった規模の売りを行っていた。日銀のさらなる政策 修正の可能性に備えて(債券)エクスポージャーを引き下げた」と指摘する通り、1月の データで意外感をもって受け止められたのが国内勢、とりわけ生損保による売り越しだ。 生損保は2021年度平均で月間6000億円程度の超長期債を買い越すコンスタン トな買い主体だが、1月は過去最大を記録した超長期債(4462億円)を中心に、利付 債トータルでは5706億円を売り越した。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介債券ストラテジストは「生損保 は平準買いを基本とする主体で、月間売り越しはデータのある04年以降では06年11 月と今回だけで非常に珍しい。日銀会合前にポジションを落とす動きがあったとみられる 」と話す。ただ日銀会合の結果が政策現状維持だったため1月下旬以降はポジションの復 元に動いたと推測され、足元の超長期債の底堅さに寄与している可能性がある、との見方 を示した。 一方、1月の最大の国債買い主体は「その他」で、金額は利付債トータルで9兆 7042億円。金額の内訳は、長期債が7兆4732億円、超長期債が2兆0586億円 、中期債が1724億円。 三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「その 他にはいろいろな主体が含まれ得るが、今回の場合は大半が日銀と考えていいだろう」と し、1月は17─18日の日銀会合を前に国内外の幅広い投資家が国債売りに動く一方で 日銀が大量の国債を買い入れたことがデータで浮き彫りになった、と指摘した。 ◎国債投資家別売買高(国庫短期証券を除く。億円)は以下の通り。 利付国債買越 超長期債買越 長期債買越 中期債買越額 額 額 額 都市銀行 10501 ▲ 2700 ▲ 2212 15413 地方銀行 ▲ 5741 ▲ 3293 ▲ 3289 841 信託銀行 ▲ 12794 ▲ 5894 ▲ 7726 826 農林系金融機関 ▲ 7287 ▲ 3740 ▲ 507 ▲ 3040 第二地銀協加盟 ▲ 757 ▲ 217 ▲ 640 100 行 信用金庫 ▲ 5630 784 ▲ 2329 ▲ 4085 その他金融機関 ▲ 3492 ▲ 159 ▲ 3473 140 生保・損保 ▲ 5706 ▲ 4462 ▲ 1674 430 投資信託 ▲ 1694 ▲ 1224 ▲ 843 373 官公庁共済組合 ▲ 135 18 ▲ 153 0 事業法人 3 4 ▲ 2 1 その他法人 460 259 190 11 外国人 ▲ 41190 ▲ 2457 ▲ 34846 ▲ 3887 個人 ▲ 2 5 ▲ 5 ▲ 2 その他 97042 20586 74732 1724 債券ディーラー 180 ▲ 78 ▲ 46 304 合 計 23758 ▲ 2568 17177 9149 (ロイターニュース 金利マーケットチーム)
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