[ウェリントン 22日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は22日、政策金利のオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、4.75%とした。14年余ぶりの高水準となる。
インフレは依然として高すぎるとし、追加引き締めを継続する見通しを示した。中銀のタカ派的なシグナルを受け、NZドルは上昇した。
ロイターのエコノミスト調査では25人中20人が50bpの利上げを予想していた。
2021年10月の引き締め開始以降、利上げは10会合連続。
中銀はOCRが23年に5.5%でピークに達するとの見通しを改めて示した。
北島を襲ったサイクロンと洪水が政策に与える影響を評価するのは時期尚早だとし、災害がもたらす短期的な物価上昇圧力を静観する姿勢を示した。
声明で「物価上昇圧力が緩和している初期の兆候が見られるものの、コアインフレは依然として高すぎる。雇用も持続可能な最大水準を引き続き超えており、短期的なインフレ期待が高止まりしている」と指摘した。
政策発表後にNZドルは対米ドルで0.6246米ドルに上昇した。
ASBのチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は顧客向けノートで「気象災害の影響はインフレ抑制というNZ中銀の仕事をより困難なものにするだけだろう」と指摘した。
復興によって経済が活性化し、インフレが進む一方、農作物やインフラの被害によって食料輸出が打撃を受けることなどから、短期的には成長が鈍化する見込み。
中銀は「委員会は、深刻な気象事象がニュージーランド全土に大きな影響を与えると認識し、いかなる金融政策活動よりも政府の財政政策対応がより効果的であるとの考えで一致した」としている。
中銀は国内経済が23年第2・四半期にリセッション(景気後退)に陥るとの見通しを維持した。ただ、景気回復を見込む時期は従来予想よりも早い24年第1・四半期とした。
ANZのエコノミストはノートで「サイクロンの中期的なインフレへの影響を考慮すると、OCRのピークが5.25%というわれわれの予想を巡るリスクは上方へ傾いている。しかし、NZ中銀と同様、状況がより明らかになるまで様子見モードだ」とした。
2年物スワップ金利は、取引開始時の5.18%から5.26%に上昇。市場が織り込むOCRのピーク水準は2週間前の5%から5.38%に上昇した。
中銀のオア総裁は会見で、インフレ率が第1・四半期に7.3%となり、その後鈍化すると予測。「景気循環は、インフレ圧力が非常に強く、インフレ率が高すぎるという状況だ。このため、OCRの方向は明確だ」と述べた。
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