[東京 24日 ロイター] - エレベーターなどの製造・販売を手掛けるフジテックは24日、臨時株主総会を開き、投資ファンドのオアシス・マネジメントが提案した5人の社外取締役の解任議案のうち3人の解任が可決された。また、オアシスが推す社外取締役候補6人のうち4人が選任された。社外取締役2人を選任する会社提案は否決された。
株主提案によって社外取締役が解任されるのは異例。解任されたのは、取締役会議長を務める山添茂氏、杉田伸樹氏、大石歌織氏の3人。社外取締役の1人だった引頭麻実氏は、臨時総会前の20日付で辞任している。フジテックは24日、「一身上の都合」としていた引頭氏の辞任理由を「ガバナンスに関する考え方が当社とは大きく異なるため」に訂正した。
オアシスが提案した社外取締役候補6人のうち、エレベーター業界出身のトーステン・ゲスナー氏、金融業界の経験が長いクラーク・グラニンジャー氏、弁護士の海野薫氏、知財やグローバルM&Aに詳しい嶋田亜子氏の4人が選任された。
フジテックは「安全・安心なエレベーター、エスカレーターを提供する当社の使命に変わりはない。今後もコーポレートガバナンスの強化と企業価値向上に向けて取り組む」とコメントした。
オアシスは、自らが推す4人の社外取が選任されたことについて「現任の取締役、経営陣に対する重大なメッセージ」とし、「新たな取締役会がフジテックを内山家の支配から解放し、全ての株主の利益のために協力して行動することを最も期待している」とするコメントを発表した。
また「責任ある機関投資家として、2023年の定時株主総会までとその後にわたり、フジテックの取締役会の行動を積極的に監視していく」とした。
オアシスはフジテック株式の16.5%以上を保有している。オアシスはフジテックが創業家に便宜供与を行っているなどとし、創業家の内山高一前社長の再任に反対。しかし、フジテックは2022年の定時総会直前に内山氏の取締役再任議案を取り下げ、総会後に取締役でない会長に任命した。オアシスはフジテックのガバナンス体制には深刻な問題があるなどと指摘し、社外取締役5人全員の解任、6人の新たな社外取締役の選任のほか、社外取締役への報酬など6つの議案を提案していた。
フジテックはオアシス提案に関する全議案への反対を決議し、オアシスが推す取締役候補は、面接の結果、総じてフジテックに対する知識が極めて薄く、資質を持たないなどと指摘していた。
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