[上海/シンガポール 22日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は22日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を据え置いた。据え置きは9カ月連続で市場の予想通り。人民元の下落や米中の金利差拡大で金融緩和の余地が狭まっていた。
1年物LPRは3.65%、5年物LPRは4.30%。
ロイターが先週実施した調査では市場関係者26人中23人が両LPRの据え置きを予想していた。
先週発表された4月の一連の経済指標などで景気回復の減速感が強まったが、追加金融緩和は資本流出を招き、さらなる元安につながるリスクがあるため、一部のアナリストは人民銀行が貸出金利の代わりに銀行の預金準備率を引き下げる可能性を予想している。
ゴールドマン・サックスのエコノミストチームは4月の軟調な指標にかかわらず年間で5%の経済成長率目標は引き続き達成可能で、不動産関連リスクや若者の失業率は的を絞った対応を必要としているため、大規模な緩和措置は見込んでいないとした。
米中の金利差が既に大きく、元安圧力があることを踏まえると、預金準備率引き下げのような象徴的な動きを取る可能性が高いと述べた。
元相場は先週、心理的節目の1ドル=7元を超えて5カ月ぶりの安値を付けた。
中国の指標10年物国債と米国債の利回り格差は過去2カ月で最も大きな水準で推移している。
キャピタル・エコノミクスのエコノミストチームは先週、LPR引き下げは銀行の融資業務による収益や預貸の利ザヤである純金利マージンを圧迫するというマイナス面があると指摘。人民銀は預金準備率引き下げや預金金利の窓口指導、流動性供給によって借り入れコストを低く誘導する可能性があると予想した。
中国の新規・既存融資は主に1年物LPRに基づいており、5年物LPRは住宅ローン金利に影響する。人民銀は景気支援のため、昨年8月に両LPRを引き下げていた。
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