[北京/ワシントン 13日 ロイター] - 中国は13日、米国の高高度気球が2022年初以降、許可なく中国領空を10回以上飛来したと発表した。これに対し米国は中国側の主張を否定した。
中国外務省の汪文斌報道官は13日の定例記者会見で、米気球の領空飛来は違法だと主張。中国は専門的、自制的に対処したという。
これらの気球が、軍事用あるいは偵察目的との特定はしなかった。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は「中国領空に米国の偵察機はない。米政府がその他の航空機を中国領空に飛行させているということも承知していない」と述べ、中国の主張を否定した。
中国が領有権を主張する南シナ海や台湾の上空に米航空機を飛行させているかという質問には、明確な回答を控えた。
NSCのワトソン報道官は声明で、中国が軍の情報収集活動と関係のある偵察気球プログラムで米国のほか、5大陸にまたがる40カ国以上の主権を侵害していると批判。
中国は米上空に飛来した偵察気球について「気象研究用」と偽の主張を繰り返し、米国や他国の領空侵犯について「納得できる説明を全くできていない」と断じた。米気球に関する今回の主張は「ダメージを最小化する」試みでしかないとした。
米軍は4日に中国の偵察気球をサウスカロライナ州沖で撃墜。10日にはアラスカ州沖、11日にはカナダの北部ユーコン準州上空で飛行物体が撃ち落とされている。米軍はまた、米国とカナダの国境にあるヒューロン湖上空で12日に八角形の構造をした飛行物体を撃墜した。
カービー氏は、10日以降に撃墜された3つの飛行物体が何であるか、まだ、特定できていないと説明。2万─4万フィートの高度で飛行する物体は地上の人々に脅威にはならないが、民間航空機に危険をもたらすとの判断があったほか、監視活動を行っている可能性を否定できなかったとした。
空域を一段と緊密に監視していることも、飛行物体の発見が増えている一因だとした。残骸が回収されれば「多くのことが分かるだろう」とした。
中国は3つの飛行物体について、何の情報もないとしている。
3つの飛行物体の残骸の捜索は、13日も続けられた。カナダのトルドー首相は、北米上空で撃墜された4つの飛行物体は何らかの形でつながりがあるとの見方を示した。
北米空域でこうした飛行物体が発見されることは「極めて深刻な状況」だとし、3月にバイデン米大統領と対面会談する際に、この問題について話し合うと述べた。
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