[東京 21日 ロイター] - ANAホールディングス9202.Tは、公募増資で資金調達する方向で最終調整に入った。2000億円規模を想定しており、来週にも開く取締役会で決議する。複数の関係筋が20日、明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大の長期化を見据え、手厚い財務基盤を整えるとともに、事業多角化の一部に充てる。
関係筋によると、ANAはジョイント・グローバル・コーディネーターに野村証券8604.Tやゴールドマン・サックスGS.Nなど複数社を選定した。
4─9月期に1884億円の最終赤字に陥ったANAの自己資本比率は、3月末の41.4%から9月末に32.3%まで低下。さらに2021年3月通期は5100億円の最終赤字を見込む。10月に取引先金融機関との間で、調達額の半分を格付け上、資本に組み入れることができる4000億円の劣後ローン契約を結んだが、普通株による増資で財務基盤をさらに強化し、不測の事態に万全を期す。
現時点でANAのコメントは得られていない。
航空業界は、国際線を中心に旅客需要の回復が当面見込めず、依然厳しい状況にある。足もとでは、新型コロナの新規感染者が拡大しており、人の移動がいっそう鈍ることも予想される。
競合の日本航空9201.Tも18日、公募増資で最大1826億円を調達することを発表した。
日本経済新聞は9月下旬、ANAが2000億円の公募増資を検討していることが明らかになったと報じていた。
梅川崇、白木真紀 編集:久保信博※
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