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アングル:日韓通貨協定に日本企業支援の側面、政府・日銀も苦慮

8月20日、金融市場が混乱した際に備え昨年上限額を拡充した日韓通貨交換協定をめぐり、政府・日銀が対応に苦慮している。写真は2010年、ソウルで撮影(2012年 ロイター/Lee Jae-Won)

[東京 20日 ロイター] 金融市場が混乱した際に備え昨年上限額を拡充した日韓通貨交換(スワップ)協定をめぐり、政府・日銀が対応に苦慮している。竹島(韓国名・独島)の領有権問題などを受けて政府は協定の見直しを示唆しているが、同協定には日本の輸出企業支援の側面もある。

市場が安定しており必要性が薄いため、外交カードに利用可能との判断もあるようだ。

日韓通貨スワップ協定は、急激なウォン安や円高など市場が混乱したときに備え2005年に日韓両国が締結した。昨年10月、欧州金融危機の深刻化に伴う通貨ウォンの急落などを受けて、両国は通貨スワップの上限を従来の130億ドル(約1兆円)から700億ドル(約5兆5000億円)へ5倍に拡充する措置を決めた。うち600億ドル相当が政府・日銀と韓国側の円・ウォン交換枠、100億ドルが日韓政府間のウォン・ドル交換枠。

例えば、韓国側が急激なドル不足に陥ったとしても、中央銀行間で円やドルをスワップできれば、日本企業が輸出代金の回収に支障をきたすリスクを避けることが可能。また昨年10月のスワップ枠拡充発表後にはウォンの対ドル・円レートが上昇しており、日本の輸出企業に打撃となるウォン安に一定の歯止めをもたらす側面もある。

このため政府・日銀の幹部からは、協定見直しは「経済的にネガティブな判断になりうるが、最終的には外交判断だ」との悩ましい声が聞かれる。欧州発の市場の混乱がいつ高まるか読めない状況のもと、安全装置はなるべく外さないでおきたいとのという本音が透ける。

ただ、これまで同協定に基づいた通貨交換の利用実績はない。ここ数カ月ウォンの対ドルレート<KRW=>は1ドル1140ウォン前後で安定しており、差し迫った通貨スワップの必要性は少ない。5倍拡充措置を10月にいったん打ち切っても「再度再開できる」(政府関係者)との声も聞かれる。政府高官は17日記者団に対して「市場動向をみて総合的に判断する」とコメント、市場に悪影響を与えない範囲での判断を目指す考えをにじませた。

両国の間ではやや感情的な応酬が目につく。17日付の読売新聞朝刊によると、韓国高官はスワップ枠拡充を「日本側が先に提案した」と主張。これに対し日本政府高官は同日夕刻、記者団に対して「韓国側が先に提案した」と反論した。安住淳財務相は同日の閣議後会見で、李明博(イ・ミョンバク)大統領の竹島上陸や天皇陛下に謝罪を求める発言は「日本の国民感情を逆なでする」と非難、通貨スワップ協定について「延長するかを含め白紙だ」と見直しを示唆した。また、民主党の前原誠司政調会長も19日午前、テレビ朝日の番組で協定について、「今回の問題を受け延長するか決める。全く別だと切り離すべきではない」とし、見直しもあり得るとの考えを示している。

(ロイターニュース 竹本能文:編集 佐々木美和)

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