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焦点:中国のエネルギー革命、非在来型「タイトガス」が主役に

[蘇里格(中国内モンゴル自治区) 9日 ロイター] - 中国内モンゴル自治区の砂漠地帯にある中国最大のガス田では、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)0857.HKの若い技術者6人が5000カ所のガス井を監視する中央管制事務所で巨大な平面スクリーンに見入っている。

7月9日、米国でよく知られるシェールガス革命のように、タイトガスは中国のガス生産に変革をもたらしている。中国内モンゴル自治区蘇里格で5月撮影(2013年 ロイター/Chen Aizhu)

ほんの数年前は、ムウス砂漠内に2万平方キロメートルにわたって広がる蘇里格ガス田のガス井50カ所をチェックするのに、2人の労働者がトラックに乗って3日かかっていたが、今ではわずか5分で完了する。

モンゴル語で「生肉」を意味する人里離れた蘇里格は、「タイトガス(在来型ガスが貯留している地層よりも硬質な砂岩層に貯留した天然ガス)」と呼ばれる非在来型ガス開発における中国の成功例であり、燃やすと空気が汚れる石炭や、コストが高い輸入原油に取って代わるクリーンな天然ガス消費への急激な転換を後押ししている。

米国でよく知られるシェールガス革命のように、タイトガスは中国のガス生産に変革をもたらしている。2012年に中国のガス総生産量の3分の1を占め、中国が「非在来型ガス生産」を2030年までに約7倍に拡大する上で中心的存在となる見通しだ。

ブームのスピードや規模は予想を上回る勢いで、低コスト技術を開発している地元企業がブームを先導。中国企業は既に国外の同様のガス田でこうした技術を推進している。

シェールガスほどの難しさはないにせよ、タイトガスの採掘にも特別な技術が要求される。

タイトガスの生産量は2012年に300億立方メートルとなっており、2030年までに1000億立方メートルに拡大すると見込まれ、シェールガスやコールシームガスに先んじて非在来型ガスブームをリードする見通し。

ペトロチャイナの元副総裁で蘇里格ガス田開発に携わった胡文瑞氏は「われわれはタイトガス開発で独自のアプローチを見出した」と指摘。「これにより、中国のタイトガス(開発)は急速に進歩することになった」と語る。

中国工程院の予測によると、2020年のタイトガス生産量は800億立方メートルになる見通しで、炭層メタンとシェールガスのそれぞれの予想である500億立方メートル、200億立方メートルを合わせた量を上回る。

中国のシェールガス埋蔵量は米国を上回るが、中国は昨年末までにわずか約80カ所のガス井で採掘しているにすぎず、一段と複雑な技術を要するシェールガス開発は緒に就いたばかりだ。

コールシームガスは20年の開発期間を経ても、昨年の産出量は約65億立方メートルにとどまる。

<低コストは生命線>

蘇里格ガス田だけで、タイトガス生産量は今年200億立方メートルに達する見込みだ。中国のガス総生産量の約2割を占める。

ただ、ペトロチャイナによる開発は当初、難航。英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルRDSa.L、フランスの石油大手トタルTOTF.PA、英石油大手BPBP.Lといった海外のエネルギー会社が調査のために招かれたほか、米シュルンベルジェSLB.Nや米ベイカー・ヒューズBHI.N傘下のBJサービシズといった石油開発技術サービス企業が専門技術を提供した。

エネルギー関連コンサルタント会社ウッド・マッケンジーのアジア・アップストリーム調査部門責任者、クレイグ・マクマホン氏は「タイトガスに関するペトロチャイナの成功は素晴らしい」と指摘。「2005年にペトロチャイナがシェルやトタルにいくつかの契約を申し出たのは、おそらく専門技術をまだ持っていなかったからだろう。8年後の今、ペトロチャイナは自らの技術で蘇里格ガス田を順調に運営していると言える」と話す。

ペトロチャイナはコストの効率化を重視し、中国の探査会社6社から専門家を引き抜いている。

内モンゴル自治区烏審旗(県)にある蘇里格ガス田の本部中庭には、「低コストは蘇里格の生命線」と書かれたポスターが掲げられている。

同社は、標準的な深さ3200メートルのガス井を掘削するのに必要な時間を3分の2縮めて15日間としたほか、過去8年間でガス井の平均コストを4割削減した。

ペトロチャイナの蘇里格ガス田のマネジャーを務めるZhao Jianxin氏は「最終的にわれわれは、必ずしも最先端ではないが、蘇里格にとって最良の技術を適用するべきなのだと気付いた」と指摘。「国際的な企業が提供する洗練された技術はコストが高過ぎ、ここでは役に立たなかった」と述べた。

<海外企業への開放は今後進まず>

ペトロチャイナの胡文瑞氏によると、中国で新たに確認される埋蔵ガスの約4分の3はタイトガスで、蘇里格を含むオルドス盆地に多いという。

オルドス盆地は確認されているガス埋蔵量が4兆立方メートルに及び、これは中国の2012年における総生産量の40年分に相当する水準。オルドス盆地のプロジェクトには、シェルが手掛ける長北ガス田や、トタルが投資する蘇里格南ガス田が含まれる。

中国南西部の四川盆地が次の有望な資源採掘の場となりそうで、ここでは中国2位のエネルギー国有大手、中国石油化工(シノペック)0386.HKも存在感を示している。

だが、炭層メタンやシェールガスがオープンな競争環境にあるのとは異なり、専門家らによると、中国がタイトガスをめぐる契約をペトロチャイナなど既に参入している企業以外に広げることはなさそうだ。

中国に駐在するある国際エネルギー企業幹部は「彼ら(中国企業)は今では専門技術やマネジメントスキルを──多くは国際企業から学んだものだが──磨いており、技術的なハードルを乗り越えた。タイトガスのガス田をたやすく明け渡すとは思えない」と述べた。

ペトロチャイナはまた、タイトガスをめぐるノウハウを国外でも利用したい意向だ。

ペトロチャイナの胡氏によると、ペトロチャイナの親会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)CNPET.ULは既に、蘇里格ガス田で利用しているエンジニアリング・掘削技術をトルクメニスタンで適用している。

ペトロチャイナの投資家向け情報部門マネジャー、Mao Zefeng氏は「タイトガス分野でわれわれが持つ強みは海外での自信につながる」と話す。

( Chen Aizhu記者;翻訳 川上健一;編集 山川薫)

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