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歴史的な初めての開催から11年。F1シンガポールグランプリがレースファン、音楽ファンを魅了し続ける秘訣を探る。

シンガポールGP 2018 パダン・ステージで演奏するジェイ・チョウ Singapore GP via Reuters Plus

2016年、テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズに、テイラー・スウィフトのファン8万人が集結した。

この超大物ポップスターによるコンサートは、米国でただひとつ開催されるF1レースの3日間の集客数を26万5千人にまで押し上げることに寄与した。

昨年、主催者はブルーノ・マーズと、ブリトニース・ピアーズを招聘。そして今年10月の主役を務めるのはピンクとイマジン・ドラゴンズである。

今年3月のバーレーンでは、オランダからマーティン・ギャリックス、ノルウェーからカイゴという、トップDJ二人が、サーキットのあるサヒールに集ったレースファンにグルーヴを注入した。

さらに今年、シルバーストンで開催されたイギリスグランプリの来場者はクレイグ・デイビッドのパフォーマンスを楽しんだ。19年のF1全21戦において、もはやレースと大人気アーティストの組み合わせは必須のものとなったと言っても過言ではないだろう。

F1シンガポールグランプリ(シンガポールGP)での取り組みをこの潮流の先駆けと評する専門家もいる。しかし、シンガポールGP のレースプロモーター事務局長・マイケル・ロシュ氏は、かつて当時のF1最高権力者だったバーニー・エクレストン氏に電話で「一体何を開催するつもりなのかね」と問いただされたという。

ロシュ氏はシンガポールで開催されるF1フェスティバルの中心が、あくまでレースであることを、エクレストン氏に保証しなければならなかったのである。

シンガポールGP 2018 パダン・ステージで演奏するデュア・リパ Singapore GP via Reuters Plus

「エクレストン氏には、レースなしでは何も始まらないと訴えました」

ロシュ氏は語る。しかし、彼はエンターテイメントもなくてはならない要素になると感じていた。

「エクレストン氏に、マシンが発進するレースのスタートよりも魅惑的なものなどなく、すべてはそれを中心に回っていると伝えたのです」

ロシュ氏の言う「すべて」とは、毎年9月にマリーナベイ・サーキットにより多くの観衆を集めるためのあらゆる趣向を指す。

08年の時点では、これは緊急に対処すべき課題ではなかった。世界初のナイトレース開催という斬新さに惹かれ、ファンたちはシンガポールに詰め掛けたからだ。

その年発表された大物アーティストはカール・コックスとジャマイカのバンド、ウェイラーズ。さらにサーキット周辺ではサーカスのような大道芸人が来場者に入り混じってパフォーマンスを行った。10年には今のスタイルが出来上がり、より強力で、多彩な主役たちが招集されるようになった。

あらゆる年齢層の来場客を楽しませるエンターテイメント Singapore GP via Reuters Plus

ロシュ氏にとっては、一流のエンターテイメントを招聘したのは、ただ単に必要に迫られてのことだった。 「08年に、私たちはほとんど何もないところからF1レースを立ち上げました。レースの運営に何十年もの経験があるわけではなく、もちろんこの国に分厚いモータースポーツファン層がいるわけでもなかったのです」 ロシュ氏は語る。

「ブロックをそこら中に積み上げて、サーキットパーク周辺の空いた場所を埋めながら考えていました。来場する2割は熱狂的なモータースポーツファンだろう。では残りの8割はどうだろう? どうすれば若者世代を惹きつけられるのだろうか。当時はほぼ完全に男性中心のイベントだったレースに、どうすれば女性を呼び込めるのだろうか」

ロシュ氏は興業畑の出身だ。

シンガポールのイベント管理会社、ラシントン・エンターテイメントのマネジング・ディレクターとして、1990年にエリック・クラプトンをシンガポールに招聘。その後、ボブ・ディラン、ルチアーノ・パヴァロッティ、さらにはキングオブポップと称されたマイケル・ジャクソンの公演まで実現した。

ラシントン・エンターテイメントはシンガポールGPと提携し、開催週の週末イベントにマライア・キャリー、リアーナ、ケイティ・ペリー、カイリー・ミノーグ、アリアナ・グランデのような超一流のスターを招聘した。

マルーン5、ボン・ジョヴィ、リンキン・パーク、ザ・キラーズの評判も上々で、13年にはジャスティン・ビーバーの単独公演がグランプリ終了の翌日である月曜日に行われた。これは週末のグランプリの勢いを引き継ぐ試みの一環だった。

今年も煌びやかなスターが集まる中、主役を務めるのはスウェディッシュ・ハウス・マフィア、ミューズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、グウェン・ステファニー、ファットボーイ・スリム、そしてスコットランド出身のバンド、テキサスだ。サーキット全体に巧みに配置された各種ステージでパフォーマンスが披露される。

Singapore GP via Reuters Plus

ロシュ氏は言う。

「音楽的要素をこれほどの規模にするつもりはまったくありませんでした。最初はサーカスの大道芸人や、バックストリート・ボーイズ、リック・アストリー、トム・ジョーンズ、スパンダー・バレエのような往年のスター中心の顔触れだったのです。アーティストにレースに来て歌ってほしいと依頼しても、最初はまったく理解されませんでした。しかし規模が拡大し、十分に認知された今ではすぐにわかってもらえます。今やアジア最大の音楽イベントの1つですからね」

ロシュ氏は続ける。

「ただ、このようなスタイルは斬新な試みではなく、既に存在していたものです。サッカーのワールドカップが良い例でしょう。私たちは想定以上に規模を拡大しただけです」

デロイト東南アジアで、スポーツと観光市場を専門とするジェームス・ウォルトン氏は、シンガポールGPの主催者は、その鮮度を保ち続けることが課題だという。

「レースファンは毎年訪れます。しかしそうでない現地の住民を含めた一般客を引き付けるためには、特別な何かが必要でしょう」

ウォルトン氏は語る。

シンガポールGP 2018 ダウンタウン・ステージでDJするジョー・ハーン Singapore GP via Reuters Plus

「多くのシンガポールGPファンは、登場するアーティストたちの顔触れを確認した上でチケットの購入を決めています。したがって、エンターテイメントが鍵であることは間違いありません。そこで最先端の流行に合わせて変化し続けること、世界最高峰のエンターテイナーたちを揃え続けること、それによりシンガポールGPに人を呼び続けることが課題でしょう」

昨年、シンガポールGPは、最新のホスピタリティコンセプトとして、Twenty3を披露した。数々の受賞歴を誇る3つの特別なレストラン、有名なバー、洒落た2階建てのナイトクラブであるアペックスラウンジがある、サーキットと表彰台が見渡せる3千平方メートルにもおよぶ巨大施設だ。

今年はさらにThe Cubeが新たにレースファンの選択肢に加わる。「究極のレース+VIPコンサート体験」を謳う、パダン広場に設けられた3階建ての観覧席だ。

主役たちによるコンサートを特別席で体験できるだけではなく、ビール、ソフトドリンク、カナッペをはじめ、テタンジェシャンパーニュ、高級ワイン、特別な蒸留酒まですべてが無料。さらに、サーキット全体を自由に移動し、レースの観戦や、様々なアリーナでのエンターテイメントを満喫できるのだ。

12年目を迎えるシンガポールGPだが、いかにして観衆を惹き付けるかのチャレンジは止むことがない。

ロシュ氏は、サーキットのベイグランドスタンドでF1レースに釘付けになった2万6千人もの観衆、パダン広場のメインステージに詰め掛けた3万人のファンたちの光景を思い出す。

「レッドブルやメルセデスのTシャツを着る若者たちの頭にはアリアナ・グランデのうさぎの耳付き髪飾りがありました。我々のイベントの変化を象徴しています。素晴らしいことだと思います。より多くの人々を、単なるレースではなく、シンガポールGPというイベントに惹き付けるという目的を果たしたのですから」

このコンテンツはSingapore GP Pte Ltdのスポンサーにより制作されたものです。

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