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カンボジアの森林つぶして中国人がカジノ建設

 【ボタムサコール(カンボジア)7日ロイター時事】カンボジア南西部にあるボタムサコール国立公園はかつて手つかずのジャングルで、トラ、ゾウ、クマ、そしてテナガザルが生息していた。しかし現在、これらの動物のすみかは失われている。それほど絶滅の危機に瀕していない「種」である中国人カジノ客を受け入れるためにだ。

土地売却で立ち退いた人々が住む家の前を歩く人たち(2012年2月20日、カンボジア・ボタムサコール国立公園)

 プノンペンを本拠とする環境団体「天然資源保護団体」の責任者、チュト・ウティ氏はほとんど木がなくなってしまった光景を指さし、「ここはかつて全て森林だったが、政府が土地を金持ちに売ってしまった」と語った。

 この金持ちというのは、中国北部の不動産開発会社、テンシン・ユニオン・デベロップメント・グループ(TUDC)のことだ。同社はボタムサコールの340平方キロメートルの土地をカジノリゾートに変える計画だ。同社のウェブサイトによると、このリゾートでは豪華な食事と宴会が楽しめるという。これに伴い、全長64キロメートルの4車線道路が完成しつつあるが、これはほぼ手つかずの森林を横切っている。

 ウティ氏をはじめとする環境活動家は、カンボジアの国立公園や野生生物保護区が間もなく完全に姿を消してしまう恐れがあると警告している。資金の豊富な中国の投資家が保護区をひそかに民間企業に売却する動きが加速しているからだ。

 土地の売却はもう一つの傾向を浮き彫りにしている。それは中国の経済的な関心が東南アジアの未開発地帯にまで及んでいる点だ。現在は中国が南シナ海で領有権を主張する一方で、米国が同海域への関与を再び強める方針を示しており、緊張が高まっている微妙な時期でもある。

 カンボジア政府は昨年、多数の企業に7631平方キロメートルの土地の開発権を与えた。カンボジア人権開発協会(ADHOC)の調査によると、この土地の大半は国立公園や野生生物保護区の中にあるという。

 開発権の与えられた土地は2010年から11年の間に6倍に増えた。中国の経済的な影響力が東南アジアの奥深くにまで浸透する中で、東南アジアでの取引が活発になっていることを反映している。

 同国で活動する海外の環境団体は土地売却に対して沈黙している。フン・セン政権との関係悪化を恐れているからだ。一方で、土地売却に伴って立ち退きを強いられた地元住民は声を上げ始めている。

 漁業を営むボタムサコールの住民によると、TUDCは住民を奥地に移動させるために強硬な手段を用いているという。スレイ・クマオさん(68)は「祖父母の世代からわたしたちの土地だった。TUDCが村人を脅し、所持品を移動するように言ってくるまでは平穏に暮らしていた」と語った。

 こういった抗議により、カンボジアで反中感情が高まる可能性がある。中国はカンボジアにとって最大の海外投資家で支援の供給元でもある。中国の支援でフン・セン政権の西側諸国への依存は軽減した。西側諸国は高い透明性や人権への配慮を要求することが多い。

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