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再送:〔アングル〕外為特会の外貨建て運用益の円転換、債務削減に向け選択肢として視野に

*一部の表記を加えて再送します。

 森佳子記者

 [東京 4日 ロイター] 米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した流動性リスクが金融市場で意識されるなか、100兆円規模に膨らんだ日本の外貨準備の資金繰りを今後も安定的に行うため、外貨準備を管理する外国為替特別会計に債務削減のメカニズムを導入するという選択肢が視野に入ってきた。

 <減債システムの導入>

 日本の外貨準備はドル買い介入と、外貨建て証券や預金の運用益により増加する。1月末の外貨準備高は9960億4400万ドル。

 ドル買い介入の場合、政府は民間金融機関からドルを買い、その対価として民間金融機関に円を支払うが、その円資金は政府が外国為替資金証券(通称・為券)を発行して調達する。為券は政府短期証券(FB=Financing Bills)の一種で国の債務。

 運用益については、日本の財政法は、国の歳入と歳出を日本円の現金で計上することを定めており、運用益をそのままドルで計上できないので、政府は運用益に見合う額のFBを発行して歳入として計上している。

 問題なのは、介入をしていない期間にも運用益が入るため、FB残高が雪だるま式に増える一方ということだ。

 公式データで直近の昨年9月末のFB(為券)残高は100兆7713億円。日本が最後にドル買い介入を実施した2004年3月末の同残高は85兆0397億円だったので、残高は介入停止期間に約15兆7300億円も増加した。

 一般会計には国債整理基金特別会計へ毎年度繰り入れを行うという減債制度が組み入れられているが、外為特会にはFBという債務を減らす仕組みが存在せず、究極的には、ドル売り/円買い介入を実施して円資金を調達しない限り、FBの償還原資が存在しない。

 そこで、減債システムとして考えられるのが、外貨準備の運用益として受け取ったドルやユーロを、為替市場で売却して円に換え、FBを償還し、残高を圧縮するという方法だ。運用益は円換算で年間約4兆円。

 FB残高の圧縮について、財務省内部では、これまで表立った動きはない。 

 「一般論として、国庫の資金繰りは効率的であることが望ましく、そのためにどういう対応が可能か考えて欲しいということは常々言っている。ただ、個々の特会(特別会計)には政策目的がある」(財務省理財局)という。

 「運用益を市場で売却することについては、外為相場に影響を与えるおそれがあるので、現在のところ、考えていない」(財務省筋)と、為替相場への影響を案ずる。

 <流動性リスク>

 国の債務残高圧縮という観点に加え、流動性リスクに対する指摘もある。  

 「外貨の金利収入を、円に換えて特別会計に計上するシステムは、現在では非合理的であると言わざるを得ない」、「サブプライム問題に関連してSIV(ストラクチャード・インベストメント・ヴィークル)がCPのロール・オーバー不能となってしまったことから理解できるように、FB借換えの際の流動性リスクに鑑みて、FB残高圧縮に取り組むべきである」と河上信彦氏(元大蔵省国際金融局為替資金課長)は語る。

 償還までの期間が13週間のFBは毎週水曜日に入札で発行されている。FBは民間や公的機関の投資対象になっているだけでなく、金利裁定取引のツールとして海外投資家にも人気を博してきた。

 たが、外貨準備の膨張に伴い、運用益も増加するため、毎週の借換え規模は増える一方で、1999年半ばまで毎週の発行額は約1兆円程度だったが、現在では約4.5兆円までに入札規模が肥大している。

 市場環境によっては、借り換えに必要なFBが十分に発行できず、入札で応募額が入札額に達しないケース(未達)も想定しうる。また、現在、日銀が未達額を引き受けるという制度もない。

 FBの借換えについて、財務省理財局は「これまで基本的に問題なくやってきた」と述べるにとどまり、今後については言及しなかった。

 <円相場に影響はあるか>

 円建てで見た各年度の運用収入は、特別会計予算書の外国為替資金特別会計に掲載されている。

 同予算書によれば、2006年度の運用収入は決算ベースで3兆9066億円、07年度は予定額として4兆3827億円の運用収入を見込む。

 約4兆円相当の運用収入を毎週外為市場で売り円に転換するとすれば、週平均800億円となり、一日平均160億円(1.55億ドル)となる。

 「毎週800億円規模のドル売りフローは、外為市場が十分吸収できるので影響は小さい。ただ、センチメント次第では、ドル安トレンドを助長する可能性があるので、財務省がもし実施するのであれば、慎重を期するだろう」と米系銀行のシニア・トレーダーは語る。

 (ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

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