July 3, 2008 / 2:32 AM / 11 years ago

UPDATE3: 日本版SWFの設立を提言、公的年金を10兆円規模で=自民検討チーム

*財務省と自民党内の情勢を加えて、再構成しました。

 [東京 3日 ロイター] 自民党の国家戦略本部のSWF(政府系ファンド)検討プロジェクトチーム(座長:山本有二前金融担当相)は3日、日本版SWFの設立を提言する中間報告を取りまとめた。運用原資は公的年金基金として、規模は10兆円とした。運用のプロを採用し、高い利回りの確保を目指す。公的年金とともに日本版SWFの原資として想定されていた外国為替特別会計については中長期の課題と位置づけて、引き続き検討していくこととした。

 検討チームは、この中間報告を福田康夫首相に早期に提出し、野党と調整した上で秋の臨時国会で議員立法として提出したい考え。ただ、日本にSWFを設立するのは、財務省ばかりでなく自民党内にも慎重論が多いため、法案が成立するかどうかは不透明だ。

 公的年金資産は、厚生年金と国民年金の積立金で約150兆円。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が国債を中心に運用している。自民党の検討チームは、人材の専門性などでGPIFの運用に問題があると指摘。大部分がパッシブ運用しかできない制約があるほか、世界の主要な年金基金はプロに運用を任せているとして、日本の公的年金についてもより高い運用実績を確保するため、プロに運用させる日本SWFの設立を提言した。

 <5年間の期間限定でSWFの理解促進>

 提言によると、公的年金を運用する日本版SWFは100%政府出資で設立。ポートフォリオは、国内債券67%で、残る33%を無制限。これはGPIFとほぼ同じ運用比率。目標利回りはGPIFと同等の3.2%近辺とした。投資期間5年間で、実績が出なければ解散する。

 ポートフォリオをGPIFに合わせて運用期間を5年間と区切ったのは、日本版SWFの設立には、ハイリスク運用による損失懸念で慎重論が多いため、GPIFと同じリスク条件で競わせる中で実績を出して理解を広げるねらいがある。検討チーム幹事の田村耕太郎参院議員は「万が一、損失が一時的に出ても、150兆円の運用の一部でしてとらえれば影響は軽い。10兆円から開始するので当面の年金の支払いには影響がないだろう」としている。

 新会社は、150兆円の公的年金のうち、GPIFから10兆円分だけ委託を受けるかたちをとる。人員は30人規模で、年間総経費は10─20億円。ファンドマネジャーの人件費やシステム関連に充てる。理事会を設置し、運用者を監視するが、日銀のように政治から独立させた機関として新会社の運用に内閣が介入しないようにする。運用成績も内閣は責任を負わないことを明確にした。

 <まずは公的年金のSWF、外貨準備は中長期課題>

 

 SWFは、中東の産油国や中国、シンガポールで設立されており、世界的な規模は2―3兆ドルとされている。米国の大手金融機関への出資などで存在感を高めている。自民党の検討チームは、公的年金、外貨準備など政府保有資産の効率運用を図るため、日本版SWFの設立の可能性について議論していた。

 記者会見した山本座長は、公的年金のSWFの設計図を盛り込んだ中間報告を早期に福田首相に提出し、秋の臨時国会で議員立法の提出にこぎつけたい考えを示したが、日本版SWFの設立には、外貨準備を所管する財務省の反発が強く、自民党内にも異論が多い。山本座長は「いろいろ調整しなければならないところが多い」と述べた。

 ただ、公的年金の利回り向上策をめぐっては、経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会(会長:伊藤隆敏・東大大学院教授、経済財政諮問会議民間議員)が5月23日に報告書を発表し、GPIFに専門家を採用して、運用の効率化と収益の最大化を図ることを求めた。諸外国の公的年金基金の過去5年間の平均収益率をみると、ノルウェー(積立金額36.2兆円)が6.9%、スウェーデン(同14.6兆円)が7.5%、カナダ(同12.9兆円)が10.4%。これに対して、約150兆円の積立金を運用する日本は3.5%にとどまっている。

 自民党の検討チームは、公的年金の運用成績でGPIFの批判が高まる中で、政府資産の効率運用に議論を活性化させて、理解を広げる好機とみて、まずは公的年金を対象にSWFを提言することにした。

 一方、日本版SWFの原資として、約1兆ドルを保有する外貨準備を充てる考えは時期尚早とみている。検討チームの中間報告では、外為特会のSWFの設立については「中長期的な課題」とした。山本座長は、外為特会は多くの部分が米国債に投資されているため、売買を始めると国際金融市場や日米関係に影響しかねないとして「財務省が米国財務省と緊密に協議することが望ましい」として、今後の検討課題としていく構えを示した。

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二記者) 

(reiji.murai@thomsonreuters.com; 03-6441-1823; ロイターメッセージング:reiji.murai.reuters.com@reuters.net)

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