June 30, 2008 / 11:07 AM / 10 years ago

再送:〔アングル〕個人投資家の外債ファンド志向鮮明、サブプライム深刻化で資金流入加速

 大林 優香記者

 

 [東京 30日 ロイター] 個人投資家の外債ファンド志向が鮮明になっている。投資信託情報サービス会社のリッパーのデータによると、米サブプライムローン(信用力の低い借り手向け住宅融資)問題が深刻化する昨年8月までは、世界の株式に投資する投信への資金流入が顕著だったが、8月以降は世界の債券に投資するファンドへの資金流入が加速した。

 サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱で投資家のリスク許容度が低下したほか、定期分配型ファンドを好む高齢層が「昨年後半から分配金が減少した株式型ではなく、分配金の推移が安定している外債ファンドを好む傾向が一層強まった」(ドイチェ・アセット・マネジメントのファイナンシャル・ストラテジスト、藤原延介氏)とみられる。

 野村総合研究所の追加型投信資金動向データによれば、6月も26日までの累計で流入超なのは海外債券型のみで、国内株式、海外株式、国内債券、国内ハイブリッド、海外ハイブリッド型すべてが流出超となっており「安定的な運用資産とみなされる外債ファンド偏重の投資姿勢が当面続く」(大手証券)と見る向きが多い。

 

 <不動産型グローバルが資金純流出額トップ>

 

 リッパーによると、ETF(上場投資信託)を除く国内籍追加型投信の資金純流入額(設定額から解約額を引いた金額)は、昨年7月末までの10カ月間では14兆2282億円だったが、8月以降の10カ月間では5兆5695億円と6割減となり、資金流入に急ブレーキがかかった。

 分類別の資金フローをみると、昨年年央まで多額の資金が流入していた海外株式に投資するファンドや、株式やREIT(不動産投資信託)など世界の複数資産に分散投資するファンドは8月以降に急速に資金流入が細り、代わりに世界の債券に投資するファンドへの資金流入が加速した。

 06年10月─07年7月では、「株式型グローバル」が3兆2258億円の流入超で、リッパー分類別の純流入額で最大だった。07年8月─08年5月では同分類の純流入額は951億円に急激に鈍化し、代わりに「債券型グローバル」が分類別で最大の1兆8605億円の流入超を記録した。

 8月以降の純流入額2位は「債券型グローバル短期債」の1兆0526億円、3位は「債券型エマージンググローバル」の6349億円で、世界の債券に投資するファンドが上位を独占した。「相場が荒れ、落ち着きどころがつかめない不安定な環境のなかで、安定的な配当を見込め、基準価格のブレが株式に比べて少ない債券型ファンドが好まれている」(大和証券)という。

 一方、昨年7月までの10カ月で資金の純流出額が最大だったのは「株式型日本株」の1兆1015億円。昨年8月以降の10カ月では「不動産型グローバル」の3289億円が純流出額トップで、「債券型米ドル」の1582億円、「株式型アジアパシフィック(除く日本)」の1279億円が続いた。「パフォーマンスが悪化した米ドル資産、アジア株、REITなどで損切りと利食いの売りが増えた」(ドイチェの藤原氏)ことが背景とみられる。

 

 <海外資産への投資意欲は変わらず>

 

 円資産に投資する投信の資金フローはまだら模様。「株式型日本株」は昨年8月以降の10カ月で919億円の流入超に転じたが、足元の3─5月は流出超が続いており「長期的な上昇シナリオを描きにくい日本株投信への投資意欲は依然として低調」(大和ファンド・コンサルティングの広瀬明徳・ファンド調査部長)との見方が優勢だ。また、昨年7月までの10カ月で720億円の流出超だった「株式型日本株中小型株」は8月以降の10カ月も829億円の流出超。基準価格の平均騰落率がマイナス24%と分類別で2番目に低調だったことなどが影響した。半面「債券型日本円」の純流入額は172億円から489億円に膨らんだ。

 昨年までリスクマネーの投資先として人気が高かった「株式型中国株」は、株価の急落が響き、純流入額は1989億円から190億円に縮小した。逆に、資源価格の高騰を背景に8月以降の10カ月で基準価格が平均17%上昇した「コモディティ型」は150億円の流出超から1065億円の流入超に転じた。

 直近10カ月の基準価格上昇率が21%と分類別で最高だった「株式型ロシア株」も純流入額が267億円から464億円に拡大したほか、「株式型ブラジル株」「株式型エマージングマーケットラテンアメリカ」など資源が豊富な新興国への資金流入が加速した。

 サブプライム問題の深刻化をきっかけにドルが売られ、昨年年央まで続いていた円安基調が変わっても、外貨建て資産に投資するファンドへの投資は続いている。「国内で低金利が続くなか、インフレが生活実感として伝わってきており、国内投資家は海外資産への投資を続けざるを得ない」(野村アセットマネジメントの住田友男・上席エコノミスト)のが実態と言える。団塊世代の大量退職が続き、老後資金の運用ニーズが高まるなかで、「安定的な成長を求める資金は外債ファンドに向かい、リスクを取れる資金は新興国株式に向かう傾向は当面続く」(ドイチェの藤原氏)とみられている。

 

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 (ロイター日本語ニュース 編集 石田仁志)

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