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再送:〔株式スコープ〕M&Aに動いたスクエニに危機感、ゲーム業界で浮上する再編加速の思惑
2008年9月8日 / 10:11 / 9年後

再送:〔株式スコープ〕M&Aに動いたスクエニに危機感、ゲーム業界で浮上する再編加速の思惑

 *この記事は8日午後7時08分に送信しました。

 <東京市場・8日>

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  関連銘柄     |  終値  |  前日比  | 年初来高値 | 年初来安値 |

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スクエニ(9684.T)   |    3470 |     ─70|   3840|   2710|

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テクモ9650.T    |   872 |   + 3|   1509|   538|

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コーエー9654.T   |    1424|    ─44|    2115|   1303|

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 江本 恵美記者

 [東京 8日 ロイター] スクウェア・エニックス(9684.T)がテクモ9650.T買収を

狙った動きは、ゲーム業界で進む再編が加速している証拠との見方が出ている。テクモは

今回、ホワイトナイト的に登場したコーエー9654.Tとの経営統合を選んだが、日本のゲ

ーム各社はいずれ国境や業種の壁を越え、グローバルに放送や映画なども含めた範囲で再

編を進めざるを得ないとの見通しも広がっている。スクエニが動いた背景には、時価総額

で引き離されつつある欧米ゲーム企業への危機感も透けて見える。

 8日の株式市場では、日経平均株価.N225の大幅上昇を横目にコーエーとスクエニの

株価は続落、テクモ9650.Tは小幅反発だった。

 コーエーが値を下げたのは、テクモと統合した際に「テクモのアミューズメント事業な

ど収益の厳しい部門を抱え、結果として小粒の事業をたくさん集める会社になってしまう

」(みずほインベスターズ証券・アナリスト、田村悦子氏)と、負の遺産を抱えることに

対する懸念があった。

 スクエニはテクモ買収の期待がはげ落ちたとの指摘もある。市場は総じて「2カ月後を

メドに発表となるテクモとコーエーの統合計画の詳細を見極めるまで動きにくい」と消化

不良を指摘する声もある。

 <3社のM&Aめぐる動き、起点はスクエニ社長の思惑>

 「日本のゲーム産業は一時期のような圧倒的な規模を保っているとは思わない」──。

今回の3社をめぐる一連の展開は、スクエニの和田洋一社長の投じた一石から始まった。

 

 テクモの株式を1株920円で公開買付けしたいと提案した8月29日の会見で和田社

長は、自社を含む日本のゲーム産業が「世界のゲーム産業の中核でいられるのか、そうで

なくなってしまうのか、現在岐路に立たされている」と述べ、生き残りに残された時間は

少ないとの焦りをにじませた。

 それもそのはず。世界のゲームソフト市場を見渡すと、日本の劣勢は明らかだ。三菱U

FJ証券によると、日米欧のゲームソフト市場の規模(2007年)は、日本が5450

億円に対し、欧米は合算で2兆5400億円と日本の4.6倍ある。マーケットの伸び率

も日本は同年に前の年に比べて2.6%の伸びにとどまったが、欧米は前年比で31.6

%伸びた。

 <世界ベスト3は時価総額1兆円規模>

 こうした市場の拡大を追い風に欧米のソフト会社は業績を伸ばし、合従連衡を進めて時

価総額も拡大した。仏ビベンディ(VIV.PA)のゲーム部門は今年7月に米アクティビジョン

を買収し、アクティビジョン・ブリザード(ATVI.O)が誕生した。同社の時価総額は約2兆

4000億円(5日終値ベース)と、世界のゲーム会社で時価総額首位の

任天堂7974.OS(7兆4350億円)に次ぐ2位。米エレクトロニック・アーツERTS.O

の時価総額は約1兆6000億円で、グローバルの上位3社の時価総額は、1兆円を超える

プレーヤーだ。

 特に北米は米マイクロソフト(MSFT.O)のゲーム市場参入を追い風に、欧米系ソフト企業

の売上が拡大。社会的な認知度が高まったほか、映画産業などとの融合が進んで他の業種

からゲーム市場へ若手の人材が流入するなど、今後も業界全体の底上げが進み、日本を上

回るペースでの市場拡大が期待できるとの指摘は多い。

 スクエニの和田洋一社長は、同社が世界の時価総額トップ3から引き離されていること

を警戒する。

 スクエニの時価総額は約4130億円と、4位以下のコナミ(9766.T)

(約4330億円)、仏UBIソフト(UBIP.PA)(約4260億円)ときっ抗する。

その下に、バンダイナムコホールディングス(7832.T)(約3200億円)、

セガサミーホールディングス(6460.T)(約2700億円)、

カプコン(9697.T)(約2300億円)と続き、日本のソフト・玩具会社の企業価値は、

ライバルと差をつけられている。

 コーエーの時価総額は約1040億円、テクモは約210億円といった具合だ。

 <国内の再編、映画・テレビ・IT巻き込む可能性>

 和田社長は、日本でも2010年以降には映画、テレビ、音楽などメディアコンテンツ

市場が1つになると展望し、ゲーム業界は今後、そこに照準を合わせて生き残れるかを見

極める必要があると話す。欧米で人気のアクション系作品に強く、優秀なクリエーターた

ちが「魅力ある環境で仕事をする土壌がある」(同)テクモを傘下に収めたかったのも、

そのためだった。これまでニンテンドーDSやWii(ウィー)に比重を置き海外戦略に

遅れを取ったことへの反省もある。

 小粒のプレーヤーが数多く残る日本では、業界再編を予想する声が根強い。ゴールドマ

ンサックス・アナリスト、樋口夏子氏はリポートで「海外市場の開拓・拡大を軸として、

業界再編の動きは継続するだろう」と指摘。マイクロソフトのXbox360向けなど、

英語圏で受け入れられやすいソフトや、生産性の高いクリエーターを獲得することが、勝

ち組への道と見られるからだ。

 三菱UFJ証券・シニア・アナリストの村上宏俊氏は、今後の再編は続くとした上で

「再編の主体はもはやゲームソフト会社ではなく、映画、テレビ局、通信ITなど異業種

大手になる可能性が高い」と話し、スクエニ和田社長の意見を共感する。年末にかけては

「ゲームショーやクリスマス商戦など話題が豊富なことや、再編期待が重なり、株価には

プレミアムが付きやすい状況が続くだろう」と、株価へのプラス要因も指摘する。

 和田社長は5日、今回のテクモへの買収提案を振り返り「(テクモの)中にはスクエニ

による買収を歓迎するクリエーターたちもいた」と話した。スクエニの提案を却下したテ

クモの柿原康晴社長の説明する理由に対し、和田社長は真意が不透明で「聞きに行こうか

と思う」と真相究明に乗り出す構えもみせた。

 スクエニはテクモへの買収提案をいったん取り下げた。しかし、テクモとコーエーの統

合に向けた詳細は、統合比率など株主に直接影響する数値的な材料が出そろっていない。

このため数値的な詳細が明らかになるまで「市場は判断し切れない状況が続きそうだ」

(国内系証券アナリスト)。

 テクモは、スクエニの1株920円のTOB提案を断った。コーエーとの統合には、9

20円を上回る価値の会社に成長する展望を示すか、コーエーとの統合比率が1株あたり

の株価に換算し920円を上回る条件にならなければ、統合しても市場からそっぽを向か

れるだけでなく、世界のゲーム会社の生き残り競争からも置いて行かれかねない。

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(ロイターニュース 江本 恵美記者;編集 田巻 一彦)

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