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〔金利ウォッチャー〕レポ市場で懸念される決済不能、日銀の機動的対応に評価の声
2008年9月16日 / 07:33 / 9年後

〔金利ウォッチャー〕レポ市場で懸念される決済不能、日銀の機動的対応に評価の声

 リーマン・ブラザーズ・ホールディングスLEH.Nの経営破たんを受け、海外の短期金融市場では金利が急上昇した。東京市場では海外に比べ取引金利の上昇は限られているが、外資系金融機関に向けた運用希望が細るなど波乱含み。レポ市場では資金調達よりも決済不能(フェイル)が懸念され、日銀も国債補完供給オペの実施条件を緩和するなど機動的な対応に乗り出した。波乱の芽は残るものの、短期市場では日銀の対応を評価する声も出ており、16日は小康状態を保っている。

 <リーマン破たんの混乱回避へ、日米欧中銀が積極資金供給>

 15日終盤の米インターバンク市場ではフェデラルファンド(FF)金利が一時、米連邦準備理事会(FRB)の誘導目標2%を大幅に上回る6%付近まで上昇し、米連邦準備理事会(FRB)は2回の翌日物レポで通じて合計700億ドルを供給した。FRBはこれに先立ち、リーマンの売却交渉が不調に終わったのを受け金融機関がFRBから緊急融資を受ける際に差し入れる担保の種類を拡大、初めて株式を担保として受け入れる決定を下した。欧州中央銀行(ECB)も金利上昇を受けて即日オペで300億ユーロを供給し、流動性を確保した。

 日銀も16日、午前には定例時間よりも前に、午後には定例の金融調節で共通担保資金供給オペ(本店、いずれも9月17日まで)を通告し、合計2兆5000億円の資金を即日実行で供給した。即日供給オペの実施は6月末以来、オファー額の規模は3月末以来の大きさとなる。日銀はオペ前である午前8時半には「最近の米国金融機関をめぐる情勢とその影響を注視しつつ、引き続き、適切な金融市場調節の実施などを通じて、円滑な資金決済と金融市場の安定確保に努めていく」との白川方明総裁談話を発表しており、オペ総額の規模の大きさを含め機動的な対応を行った。

 <コール取引はこう着、資金の出し手が様子見姿勢を強める>

 16日の無担保コール翌日物取引では、朝方から外資系銀行や外資系証券会社が0.55─0.56%程度と日銀誘導目標(0.50%)を大きく上回る水準で資金調達希望を提示した。経営破たんしたリーマン・ブラザーズはコール市場で積極的に資金調達を行うことは少なく、プレイヤーとしては目立った存在ではなかったものの、外資系金融機関全体に対する信用不安が台頭。地銀などの資金運用サイドがオファーを出すことを手控えたことが影響したとみられている。オファーの減少による全体的なレート上昇を受け、大手邦銀なども通常より高めの0.52%付近でのビッドを余儀なくされた。クレジット・ライン(信用枠)の制限もあり、日銀の資金供給を経ても翌日物金利は下げ渋った。

 レートが見合わず取引がこう着しているため「パニックに陥っているというよりは、慎重に様子を見ている」(国内金融機関)状況で、多くの市場参加者は今後の展開を見極める姿勢となっている。資金を最も必要としている外資系証券などにまんべんなく資金が行き渡るかどうか懸念もあったが、午後終盤の取引では翌日物の取引レートが一部で0.5%を割り込むなどいったんの落ち着きを見せている。

 コール取引に関しては「問題の発端が海外なので国内勢への影響もそれほど大きくないということも踏まえ、動揺が長引くとも思えない。9月中間決算期末を控えているので月末までは緊急的な措置として余裕のある金融調節を続けるかもしれないが、その後は迅速に落ち着きを取り戻し調節も正常な状態に戻るだろう」(セントラル短資・執行役員総合企画部部長、金武審祐氏)と見込む声も多数ある。

 

 <レポSCで一部銘柄がひっ迫、日銀はオペ条件緩和で対応>

 また、市場参加者がより警戒しているのは目に見える形でのレートの上昇よりも、現金担保付債券貸借(レポ)取引で決済ができなくなる(フェイル)ことだ。フェイルの可能性を考慮し、日銀は「金融調節の一層の円滑化を図るとともに、国債および資金決済の円滑確保にも資するとの観点」による措置として、国債売り現先(国債補完供給)の実施条件を緩和。きょうからスポットの決済日である19日まで、1銘柄につき1つの金融機関からでも希望があればオファーを行う(従来は3先以上の希望)ことにしている。このほかオファー実施希望時間の延長、応札総額、銘柄別の応札の上限をそれぞれ従来の50%から100%に引き上げた。

 コール市場同様にレポ市場でも、調達サイドと運用サイドの希望レートが見合わず、銘柄を特定しないGC(ジェネラル)取引でも翌日物やトムネは0.52─0.53%のビッドに対しオファーが出ず、そのうちにビッドも消えてしまうこう着地合いだった。出し手が慎重になる中、午後から取引が始まった19日スタートの翌日物は0.6%台に急上昇している。

 レポSC(スペシャル取引、銘柄を特定した取引)では一部の銘柄がひっ迫しており、日銀は午後2時に130億円の国債補完供給(決済日9月22日)を即日実施で通告。売却銘柄は5年利付国債54回債と10年利付国債の273回債で「売却対象銘柄はいずれも需給がひっ迫。特に10年債273回債は国債先物の前中心限月9月限の現物決済に絡んで、フェイル懸念もくすぶっていた」(国内金融機関)という。日銀の対応に対しては「レポ市場で出し手が少なくなっているのを踏まえ、きめ細かく全面的にサポートするという日銀の姿勢の表れ」(東海東京証券 債券ディーリング部・シニアディーラー、有麻智之氏)と評価されている。

 (東京 16日 ロイター)

 (ロイター日本語ニュース 田中 志保記者;編集 田巻 一彦)

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