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〔特集:金融パニック(3)〕株価急落で追い証の嵐、ファンド価格半値で顧客対応に忙殺
2008年10月9日 / 08:51 / 9年前

〔特集:金融パニック(3)〕株価急落で追い証の嵐、ファンド価格半値で顧客対応に忙殺

 河口 浩一記者

 [東京 9日 ロイター] 日経平均は直近のわずか2週間で3000円近い下落を記録。空前の株価急落は株式市場の至るところに大きな爪あとを残している。株価の急落に伴って、証券会社は信用取引の追い証(追加担保の差し入れ義務)業務に追われる一方、海外の投信を販売している金融機関は基準価格が半値以下になった投信に関して顧客への説明を続けた。

 投資家の不安心理は癒されず、株価は9日になっても迷走状態だ。パニック的な売りは一巡しても実体経済の先行きに警戒感が強く、市場から楽観的な声は聞かれない。

 <新興国市場の株価下落、ファンドの基準価格は半値に>

 ある大手銀行のプライベートバンキング部門では、9日朝から顧客との電話対応に追われた。販売したインド、ロシア、東南アジアなど新興国の株式や通貨を組み入れたファンドの基準価格が軒並み高値から半値以下になったためだ。

 ロシアのMICEX証券取引所とRTS証券取引所は8日、10%を超す株価の急落を受けて株式の取引を停止した。インドネシアでは前日に続き9日も株式市場の取引を停止すると発表した。新興国の株価下落は日本以上だ。「先行きへの不安心理から問い合わせが増えている。売買の判断は顧客次第だが、購入者は富裕層中心で投資額も大きい。銀行側からも現在の状況を告知するように努めている」(大手銀行の担当者)という。

 8日の日経平均が史上3番目の下落率を記録したことを受けて、国内の証券会社でも朝方から信用取引の追い証発生に絡む業務に追われた。「業界全体で数百件の追い証が発生したが、担保を提出できず処分売りを迫られる投資家も少なくない」(準大手証券エクイティ部)とみられている。

 追い証が発生したにもかかわらず、追加担保の差し入れがない場合、当日午後に強制的かつ機械的に保有銘柄が売られてしまう。きょうの後場に株価が伸び悩んだのは、追い証発生に伴う需給要因が影響したとの観測も出ている。

 <想定越す下げ、ヘッジ売り手段に限り>

 一方、10日のオプションSQ(特別清算指数)算出を控えて、株価指数先物・オプションのトレーダーらにも緊張が続いた。大証のルールでは、日経平均オプションの全限月取引において、ATM(アットザマネー、前営業日の日経平均に最も近接する権利行使価格)を中心に,原則上下8種類の権利行使価格が常に存在するように権利行使価格の見直しが毎日行われるが、SQの週だけは追加設定を行わない規定になっている。

 今回はSQ週に想定を超す株価急落が起きたことで、「9000円以下のオプション設定が足りなくなるという異常事態が発生した」(大手証券)。プットの売り方はパニック的に先物への大量のデルタヘッジ売りで急場をしのがざるを得なくなった。トレーダーの間では、こうした構造上の問題が前日の株価下落を加速させた要因のひとつとみている。

 <実体経済の回復には長い道のり>

 9日の東京株式市場は、米財務省が多くの米銀の株式取得を検討しているとの一部報道が材料視され、いったん落ち着きを取り戻したものの、投資家の不安心理は根強い。国際通貨基金(IMF)は8日、2009年の世界の経済成長率が3%になるとの見通しを示し、7月時点の予想の3.9%から下方修正した。

 SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏は、「商品市況の下落が先行きの世界的な景気悪化を暗示している。米国の不良債権買い取りには時間がかかる。住宅価格の下落に伴い新たな不良債権が日々発生していることを考えれば楽観はできない」と指摘。「大型減税などの米景気対策は次期政権を待たなければならない。クリスマス商戦を控えた米国の消費動向と世界経済に与える影響が心配だ」と話している。

 米欧6中銀による協調利下げも不発に終わった感は否めない。焦点となっている米個別行への公的資金注入も国民の理解を得るには高いハードルがある。「金融問題が実体経済に波及したとの見方が大勢だが、選挙を控えた米国では、金融機関への公的資金注入で株価が回復するよりも、減税や各種手当などで個人消費を下支えし企業業績を回復させて実体経済回復による株価上昇の方が理解を得られやすいシナリオだろう」(三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏)との指摘も出ている。

 パニック的な状況が収まったとしても、しばらく不安定な市場環境が続くとの見方が株式関係者の大勢を占めている。

(ロイター日本語ニュース 河口 浩一 編集 橋本浩 ロイターメッセージング koichi.kawaguchi.reuters.com@reuters.net E-mail:

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