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再送:〔焦点〕日銀は過度の楽観戒めるスタンス、海外依存・下振れ意識し厳戒態勢継続へ
2009年4月30日 / 12:19 / 9年前

再送:〔焦点〕日銀は過度の楽観戒めるスタンス、海外依存・下振れ意識し厳戒態勢継続へ

*この記事は30日午後9時18分に送信しました。

 [東京 30日 ロイター] 足元で生産の持ち直しが鮮明になり、追加経済対策の効果も年後半にかけて期待できる状況になってきたが、日銀は景気の先行きに対する過度の楽観を戒めるスタンスを取っている。30日に発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、日本経済が海外経済の動向に大きく依存していると指摘するとともに、下振れリスクが残存していることを強調した。日銀は不測の事態が生じた場合には、市場の安定化、企業金融支援という金融政策の第2、第3の柱を中心に対応していく姿勢を今後も取っていくとみられ、厳戒態勢はなお継続しそうだ。

 <鉱工業生産、4─6月期に大幅上昇の公算>

 日銀は展望リポートで「見通し期間後半には、潜在成長率を上回る成長に復帰していく姿が想定される」との先行き持ち直しシナリオを維持しつつ、09年度・10年度の実質国内総生産(GDP)見通しを、ともに引き下げた。

 これは10─12月期、1─3月期の急激な景気悪化の影響で、09年度GDPへのゲタが大幅マイナスになるとみられるためだ。白川方明総裁は30日の会見で、ゲタはマイナス5%程度と指摘した。09年度の各四半期の成長が前期比ゼロ%にとどまれば、年度全体ではマイナス5%程度のマイナス成長に陥ることになる。

 一方、先行き持ち直しシナリオは維持されたが、足元で過剰在庫の調整などが進展して、輸出・生産の下げ止まりが鮮明になりつつある中、日銀がこれまで取ってきた緩和策、政府が発表した経済危機対策や定率給付金などが今後、効果を表すと見られるためだ。

 経済産業省が30日発表した3月鉱工業生産では、自動車、電子部品を中心に在庫調整は大きく進展した。そうした要因もあり、4月、5月の生産見通しはそれぞれ前月比4.3%、6.1%の大幅上昇となった。その結果、4─6月期は前期比プラス6%程度の大幅な上昇が見込まれている。内閣府試算によれば、追加経済対策で、09年度のGDPは1.9%程度押し上げ、20万人の新規雇用創出が見込まれるという。

 <海外動向中心に依然強い警戒感>

 

 明るい材料が出そろった格好だが、日銀は先行き慎重姿勢を崩していない。白川方明総裁も23日のニューヨークでの講演で「(偽りの夜明けを)本当の回復と見誤ることがないよう注意する必要がある」と楽観ムードを戒めた。

 輸出・生産の急落による急激な景気悪化は、足元、ひとまず止まったとみられるが「わが国経済は、海外経済や国際金融資本市場の動向に大きく依存」(展望リポート)していることもあり、海外の金融経済情勢の動向に大きく左右される構図に変化はない。海外経済が失速する展開になれば、日本経済も腰折れする可能性があり、海外勢経済の動向が引き続き最大のリスクとみられている。

 展望リポートでも「国際的な金融と実体経済の負の相乗作用の帰すう」を第1のリスクに挙げた上で「資産価格の下落や実体経済の悪化が続く場合には、負の相乗作用が強まり、海外経済がさらに下振れたり、回復のタイミングが遅れるリスクがある」としている。 

 さらにGDPの7割を占める設備投資や消費も、依然楽観できる状況ではない。展望リポートでは、企業の中長期的な成長期待が低下した場合には、設備投資や消費が下振れする可能性があるとしている。

 内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」によれば、企業の今後3年間のGDP見通しはプラス0.2%(年度平均)と、1989年度以降では最低となった。

 厚生労働省によれば、雇用調整助成金で維持されている潜在的失業者数は2月時点で186万人となったが、今後、不測の事態で雇用維持が難しくなれば、失業率は足元の4.4%(2月)から、7%を上回る高水準に跳ね上がる可能性もある。そうなれば、消費への悪影響は不可避だ。

 新型インフルエンザの影響についても、日銀は警戒する姿勢を示した。白川総裁は、今のところ市場の反応は限定的としながらも「大きく広がると、人の移動、生産活動に影響を与えうるので、潜在的なリスク要因としてみていく」と警戒感を強めた。

 <根強いリスク受け、慎重な舵取り続きそう>

 市場では、金融市場が再び不安定になったり、デフレスパイラルが現実のものとなったりした場合は、長期国債の買い切りオペの増額が再び議題に上がるとの観測がくすぶり続けている。白川総裁は長期国債の買い入れオペについて「金融政策上の目的から離れて、財政のファイナンスを目的として国債オペを行うとしたら、あるいはそういうふうに市場で受け止められると、金融政策運営に対する信認が失われて、その場合には長期国債金利それ自体にも悪影響が出る」とあらためて強調。「今の買い入れが最適だと思っている」と述べ、増額観測を明確に否定した。

 日本はバブル崩壊後、金融と実体経済の負の相乗作用を過小評価して苦渋を飲んだ経験がある。こうした経緯を考えると、米国の信用リスクもこれから大きくなるとの見方が有力で、そうしたリスクが顕現化すれば、日本経済の回復シナリオに黄信号が再度ともる可能性も否定できない。日銀は当面、海外経済をにらんだ慎重なかじ取りを迫られそうだ。

(児玉 成夫記者、取材協力:志田 義寧記者、編集:田巻 一彦)

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