June 10, 2009 / 12:46 PM / 10 years ago

再送:〔焦点〕日銀は景気判断を上方修正へ、出口政策には慎重なスタンス

*この記事は10日午後9時44分に送信しました。

 児玉 成夫記者

 [東京 10日 ロイター] 日銀は15─16日に開催する金融政策決定会合で、景気の現状判断を上方修正する公算が大きいが、日銀内ではコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れといった「異例の措置」の解除を議論するのは時期尚早との見方が多い。現在の改善局面は、あくまで在庫調整の進ちょくと直近の金融・財政政策の効果が表れた結果に過ぎず、それが一巡した後の最終需要の動向に不透明感が強いためだ。市場の一部には、米欧金融当局と歩調を合わせる形で日銀でも年内には、「異例の措置」を含む超低金利政策をめぐる「出口論」が本格的に議論されるとの見方がある。だが、引き締め方向への政策転換を検討していると受け取られることで、現在の緩和効果が大幅に減殺されることを日銀は非常に警戒しており、実体経済と金融市場の動向を慎重に見極めていくスタンスだ。今回の決定会合でも、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標は0.1%前後に据え置き、警戒姿勢を継続する。

 

 <景気底入れはまだ> 

 景気判断を上方修正する方向で議論するのは、輸出や生産が最悪期を脱し、反転しつつあることが背景。生産については4─6月期にプラス10%近い大幅増加となる見通しで、現行の「悪化を続けている」との表現に違和感を指摘する声もある。

 しかし、仮に判断を上方修正したとしても、あくまで4月末に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の見通しに沿った動きというのが日銀内の共通認識だ。

 過去の表現をみると、2002年3月に「輸出や在庫面からの下押し圧力は弱まりつつあるが、全体としてなお悪化を続けている」と現在と似た表現がある。翌月の同年4月には「全体としてなお悪化を続けているが、そのテンポは幾分和らいできている」との表現に上方修正された経緯がある。

 一方、上方修正をためらわせる要因として、非製造業の弱さがある。3月の第3次産業指数は03年7月以来の低水準となるなど悪化が継続している。さらに実質国内総生産(GDP)の約7割を占める消費と設備投資には動き出す気配がないばかりか、今後、一段と弱まる可能性もあるとみている。

 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は2日の会見で、1─3月期が底打ちの時期との見解を示したが、門間一夫調査統計局長は10日の景気討論会で、今回の景気後退は「普通の循環を超えるような景気後退」であり「今、声高らかに景気底入れ宣言をするというわけにはいかない」と慎重姿勢を維持した。

 「失われた10年」と言われたバブル崩壊後の1990年代の日本経済でも、数回の景気回復局面が確認されたが、いずれも「偽りの夜明け」に終わっており、今回についても慎重な判断が必要とみているようだ。

 <今後の不確実性高く、異例の措置解除に慎重な声も>

 4月30日の政策決定会合で、1人の委員が「異例の措置」の出口戦略に言及したことから、市場で注目が集まっている。しかし、亀崎英敏審議委員が3日の会見で「終了について考える時期には、まだ至っていない」と指摘したように、日銀内で議論を急ぐ様子は見られない。社債・CPの買い入れオペなどは、9月末までの時限的な措置になっているが、期限が延長される可能性もありそうだ。

 「異例の措置」のうち、社債・CPの買い入れオペについては、札割れが続くなど利用頻度が低いことから、民間エコノミストの間では、9月末で終了との見方が少なくない。

 しかし、日銀内では、こうした措置は、市場が機能を回復すれば自然と使われなくなり、残しておいても大きな副作用が無いことから、安全弁として維持すべきとの声も少なくない。低格付けCPの発行などはまだ正常化していないとの指摘もある。

 また、9月末に終了した後で、予想外の要因で経済情勢が急速に悪化し、来年度に再開に追い込まれるような「ストップ・アンド・ゴー」のような政策対応は好ましくないとの声も日銀内にはある。

 日銀が注視しているのは、足元の製造業での在庫復元の動きや経済対策のプラス効果が出尽くした後の動向だ。こうしたプラス効果が一巡した後、景気は外需依存を一段と高めることにならざるを得ないが、この見通しをめぐる不確実性は依然として高いというのが日銀の見立てだ。

 門間局長は、米国経済が下げ止まりから回復へ向かっていくとしたものの「本格的回復につながらない可能性が高い」と景気討論会の中で指摘。中国経済についても「中国一国が頑張っても、米欧経済がしばらく厳しいとなると、世界経済全体を引っ張っていくのは難しいのではないか」と、外需への過度の期待に警鐘を鳴らした。

 市場安定に大きな効果を果たしている企業金融支援特別オペは、CPの金利が国庫短期証券のそれを下回る副作用も観測されており、日銀内では、その存続を問題視する声も一部にはある。市場参加者からは貸出金利を現行の0.1%から、ロンバードレート(0.3%)に引き上げるべきとの意見も出ている。

 ただ、日銀内では、金利逆転はあくまで一時的で、それを理由に特別支援オペを縮小するのは本末転倒との指摘も出ており、現在の政策対応が継続される可能性もある。

 

 (ロイターニュース 取材協力:志田 義寧記者 編集:田巻 一彦)

 (shigeo.kodama@thomsonreuters.com;03-6441-1836;ロイターメッセージング:

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