November 26, 2009 / 4:38 AM / 11 years ago

〔ドル14年ぶり安値更新〕対円でドル安進行リスク、市場に介入待望論も浮上

 [東京 26日 ロイター] 外国為替市場でドル/円JPY=が14年ぶりの安値となる86円半ばまで下落し、1995年以来のドル安/円高ゾーンに突入した。

 市場では対円でのドル安進行リスクを見定め、日米の介入待望論も聞こえ始めているが、今回のドル安のきっかけとなった米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、米国が緩やかなドル安を容認するスタンスが確認されている。一方、藤井裕久財務相は86円台まで進んだドル安について「為替市場の動きを極めて注視している」「異常な動きに対しては適切な措置をとらなければならない」と監視を強める姿勢を示した。

 市場関係者の見方は以下のとおり。

 

 <東海東京証券 トレーディンググループ マネージャー 二瓶 洋氏>

 

 現在のドル安はFOMCが議事録で、緩やかなドル安ならば容認できる、という姿勢を示唆したことが契機となっている。 ドル安基調の中で、市場が敏感に反応した理由は、議事録に投影された米国の姿勢が、膨張する対中貿易不均衡を改善するために米国がドル下落を望んでいるとの為替市場の思惑と合致する内容であったことや、最近のオバマ大統領の訪中であえて為替問題に言及しなかったため、市場がいったんドルを買い戻していたなどの市場環境がある。

  今年1月21日に87.10円を突けた際には、2日後に92円まで急反発し、ドル安が一過性のものとなったが、個人的には今回のドル安は長期化すると見ている。

 その理由として、今回のドル安が米国で低金利が長期化するとのマクロ予想や、各国中銀のドル資産離れという地殻変動の中での現象である上に、テクニカル面からもドルを支持する要因が見当たらない点を挙げることができる。 1995年3月後半にドルが88円を割り込んだ際は、4月10日の80.15円まで反発なく急落し、テクニカル的に大きなギャップが開いている。

 ドル安のスピード調整を狙った日米当局の口先介入に注目するが、現時点での介入の可能性は小さいとみている。

  

 

 <バークレイズ銀行東京支店 トレーディング部長 小川統也氏>

 

 テクニカル上の下抜けとなったドルの下値は、85円付近が目安となる。現在の市場でドル売りが強まっているのは、ドルの信認に対する懸念が根底にある。米景気は株価上昇など見かけは良好そうだが、実際の回復基調にあるとは考えづらい。

 グローバル投資家のリスク選好姿勢が強まることでドル安が進む「リスク・オン」シナリオも、言い換えればドルを買っている場合ではないということ。米景気回復に否定的なシナリオに目が向き、金相場にマネーが逃げ出すなどで、進んできたドル安トレンドはまだ続くだろう。ドルが85円を割り込む可能性もあると見ている。

 気になるのは日本株の値動き。世界の株価が上昇する中で日本株だけが弱い。株価がしっかりしていれば為替が多少円高に振れてもいいだろうが、日本株の伸び悩みに当局が関心を示し始めれば、市場が考えるより早いタイミングで介入が行われる可能性も出てくる。ポジション縮小以外で積極的に円を買いそうな参加者が見当たらないことも気がかりだ。  

 

 

 <野村証券 金融市場調査部 外国為替アナリスト 池田雄之輔氏>

 昨年のドル安局面と違うのは、現在のドル安が原油価格の高騰を伴っていない点だ。原油価格が上昇すれば米国内消費への悪影響を懸念して、米国はドル安に神経質になるかもしれないが、現状はそうなっていないので、ドル安の危機感が共有されにくい。

  日本サイドは口先介入を続け、85円割れでは実際の介入も想定しうる。その際には、米国は協調姿勢を示すにとどまり、日本が単独で資金を拠出する形になるだろう。介入に先立って日銀が追加的な緩和姿勢を示していれば、口先・実弾介入ともより効果的になるだろう。

  ただ、現在の為替市場では、円高のモメンタムが非常に強いとは言えない。米金利が一段と下がりキャリーコストの低下が進むことも想定しづらい上に、ドル安を推し進めている投機筋の資金力も弱まっている。

 また、生命保険会社が保有する外貨建て資産のヘッジ比率は9月末時点で約8割まで上昇し、2007年9月末の4割弱から大幅に上昇しており、追加的なヘッジ需要(ドル売り/円買い)も限定的だとみる。 他方、年度末に向けて企業のリパトリに伴う円買いが出やすい環境もある。国内でキャッシュフローが厳しい状況で、海外での収益を国内還流させるインセンティブは高まるだろう。 

   

  

 <みずほコーポレート銀行 国際為替部為替市場第一チーム次長 兼平修一氏>

 

  これまで豪ドルなど他通貨に対するドル売りが進んでいた分、今後は対円でドル売りが先行していく可能性もある。年末が近いので調整も入りやすいが、流れとしてリスクは依然としてドル安/円高方向。

 1月安値の87.10円以下では、心理的なポイントとして85円がある程度で、80円前半が視野に入ってくるリスクもある。 円を買う特段の理由はないが、逆に円を大きく売り込む向きも少ない。多くのグローバル投資家は日本株をすでにアンダーウエートにしており、日本国債への売りも見られる。日本から海外への投資が大きく進んで資本流出が活発化しているわけでもない。短期筋が円売りポジション作っても追随するフローがなく、結局ドル売り相場に再び引きずり込まれる状況だ。

  

 <ドイツ証券 シニア為替ストラテジスト 深谷 幸司氏>

 

 ドルのショートポジションの積み上がりや、ドル売りを先導してきたファンドの決算をにらんだ手仕舞いを考えれば、ドル安はいいところまできており、下値に定着することはないだろう。 ただ、政府の一角から為替介入に否定的な発言が出ていることは気にかかる。市場は、逆に政府の介入レベルを試すためにドル売りを強める可能性がある。ドル売りで市場が政府を追い込むようでは、市場との対話としていい形とはいえず、こうした展開を避けるような対応が望ましい。

(ロイター日本語ニュース 金融マーケットチーム)

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