May 7, 2010 / 4:57 AM / 10 years ago

緊急インタビュー:ドルのコアレンジ90─92円、ユーロは1.15ドル視野=住友信託 瀬良氏

 [東京 7日 ロイター] 住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は、ロイターの緊急インタビューに対し、6日のドル/円の急落を受けてドルのコアレンジは90─92円にやや下方シフトしたと語った。一方、ユーロはギリシャ問題を背景に今後も下落トレンドが続くとして、1.20ドルまでの下値余地を指摘。長期的には1.15ドルも視野に入るとしている。

 

 インタビューの一問一答は以下の通り。

 

 ──6日のドル/円は、94円付近から一時は88円割れまで急落した。95円の上抜けをねらうこれまでの流れは変わったか。

 

 「米国株式市場で取引ミスがあったようで、88円前後の水準は株価の急落を受けてつけたものだが、付けたという事実は重い。今後は円高をみたがる動きになる可能性がある」

 「もともとドルは95円前後を本格的に抜けるのはまだ早いとみており、95円よりは90円に近いレベルのほうが居心地がいい。当面のレンジは90─94円とみているが、コアレンジは90─92円だろう」

 「一方で、90円割れに定着するとも考えていない。今の円買いはショートカバーだが、カバー一巡後に円ロングを積み上げるほど円に魅力はない。6日につけた88円前後の水準は下ヒゲ(一時的につけたプライス)とみていい」

 「海外勢は日本の財政問題への懸念や追加緩和観測で円を売り仕掛けていたが、こうした動きは今回の市場の混乱でいったん棚上げになるだろう。今はリスク回避が何より優先されるためだ。しかし、いずれ円売りを再開させるだろう」

 

 ──きょう発表の4月米雇用統計でドル/円はどう動くか

 

 「失業率が9%付近まで低下するなど極端な数字が出れば別だが、コンセンサス(ロイター予測は失業率9.7%、非農業部門雇用者数20万人増)程度なら、コアレンジ90─92円の流れは変わらないだろう」

 「逆に、予想比下振れの可能性を警戒している。市場は米国雇用の改善期待で前のめりになり過ぎているきらいがある。非農業部門雇用者数が10万人程度にとどまる可能性もあるとみており、この場合はネガティブ・サプライズになりそうだ。ただ、市場はすでにリスク回避で動いており、ドル/円は90円付近まで円高になることはあっても6日のように88円まで円高が進行することはないだろう」

 

 ──ギリシャ問題のリスクは

 

 「リスクは2つある。まず、欧州各国の支援でギリシャはデフォルトを回避できるとしても、この裏側でドイツなど欧州各国に負担がかかっている。ドイツのCDSスプレッドがじりじり拡大していることが象徴的だ。欧州域内ではドイツ国債に資金がシフトしているためドイツ国債の利回りは低下しているが、グローバルにみたときはユーロから資金が逃避する可能性がある」

 「2つめはソブリン問題が金融システムに波及するリスクだ。ギリシャは先行き債務再編の可能性も否定できず、ギリシャ国債を保有するドイツやフランスを中心とした金融機関の資産劣化につながる。このため、ギリシャ国債からより安全なドイツ国債などに資金がシフトしているのだろう」

 

 ──ギリシャ問題の今後の展開は

 

 「一番可能性が高いのは、現在のギリシャ救済策を進めるなかで、時間をかけてユーロが下落するシナリオだ。ギリシャの財政健全化計画のハードルは非常に高く、国内の反発も強いため、計画が順調に進まない可能性が高い。追加支援が必要になる可能性もあるが欧州の足並みがそろうかは疑問だ。いずれ、市場に追い込まれる形で欧州中銀(ECB)はギリシャ国債の買い入れに追い込まれるだろう」

 「ポルトガルやスペインは市場の攻撃を受けるだろうが、ギリシャより経済規模が大きく財政的な余力もある。攻撃に耐えられるだろう。国債を売り込まれて支援要請に至ったギリシャの二の舞いにはならない」

 「可能性は低いが、ECBは次の理事会にもギリシャ国債の買い入れに踏み切るシナリオも考えられる。短期的には、市場はいったん落ち着くだろう。しかし、長期的には(ECBの財務悪化やモラルハザードなどで)ユーロのリスクになる」

 「ギリシャ問題は、ユーロという通貨が存続できるかという本質的な問題をはらんでいる。共通ソブリン債の発行などに踏み込めれば解決につながるのだろうが、いずれにしろ時間はかかる」

 

 ──ユーロの下値余地は

 

 「ユーロを取り巻く状況は、リーマン・ショック後より悪いとみている。当時のユーロ/ドルの安値は1.23ドルだったが、ここを割り込むことは覚悟しなければならない。当面の下値メドは1.20ドルでいいと思うが、場合によっては、キャリートレードが始まる前の2005年の水準に近い1.15ドルも視野に入る」

 「ユーロ/ドルは購買力平価から考えれば1.25ドル前後が妥当。足元の水準はニュートラルな水準に戻っただけともいえる」

 

(ロイター日本語ニュース 松平陽子)

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