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〔アングル〕個人マネー、高分配狙いで債券型・通貨選択型投信の選好強める
2010年9月30日 / 09:12 / 7年後

〔アングル〕個人マネー、高分配狙いで債券型・通貨選択型投信の選好強める

 岩崎 成子記者

 [東京 30日 ロイター] 個人投資家は世界的に低迷したままでボラタイルな株式市場にリスクアバースになっている。このため債券型・通貨選択型投信への選好色は一層強まっており、高分配・高分配利回り狙いに拍車がかかっている。投資家は「確実に実入りが期待できるものには乗ってくるが、少しでも迷いがあると食いついてこない」(大手証券)といい、月250円分配や分配利回りが20%を超える高分配、高分配利回りを実現している投信に集中している。

<株から債券にシフト、通貨型に>

 

 野村総合研究所(NRI)が算出しているNRI─FPI(新規投信は2カ月目から参入)によると、株式投信からの資金流出が続き、額も拡大するかたわら、債券投信への資金流入が膨らんでいる。9月に入り国内株式型からは402億円、海外株式型からは1725億円がそれぞれ純流出する一方、海外債券型には2685億円、国内債券型にも182億円が純流入している。

<新規投信の募集が不発、野村証券も苦戦>

 新規投信の設定状況も、株式投信を中心に思わしくない。小さく産んで大きく育てるのが投信の基本といわれるが、日本においては募集段階でかなりな額を集めるのがこれまでの常識だった。今年上期には公募投信の当初募集だけで約1兆円を集めた野村証券だが、今月募集したテーマ株投信「フィデリティ・航空宇宙防衛関連株投信」の設定額は約45億円、「訪日消費関連日本株投資1009(愛称:熱烈歓迎)」は約43億円と苦戦を強いられた。

 いずれもテーマ型だけに募集状況に当たりはずれはあるが、新規投信の相次ぐ不発の背景に、販売会社関係者らは明らかに投資家の投資マインドに変化がみられると指摘する。「確実に実入りが期待できるものには乗ってくるが、少しでも迷いがあると食いついてこない」(大手証券)という。新規投信なら、投資家は想定分配額と投資先原資産を考慮したうえで投資するかどうかを判断するというのが常態化しつつあり、既存の投信なら、高分配が実現された時点で資金が流入してくるといった具合だ。

<資金流入は毎月高分配/高分配利回り投信に集中>

 10年2月に日興アセットマネジメントが設定した「日興アシュモア新興国財産3分法ファンド毎月分配型(ブラジルレアルコース)」は、日興コーディアル証券の買付金額トップのファンド。7月から月190円分配を開始して以降、資金流入は加速し、7月5日の決算時点で62億円だった純資産は8月決算時には5倍超の364億円、9月決算時はさらに約3倍の1082億円。29日時点の残高は1893億円に急拡大している。月190円で1年間分配を受け取ったと想定した場合の分配利回りは20%を超える。業界関係者は「安全とわかった船に乗り込んでくる。最近の投資家のスタイルを証明したようなファンドだ」と指摘する。

 野村証券でも同様だ。09年1月に野村アセットマネジメントが設定した通貨選択型の第一弾「野村米国ハイ・イールド債券投信」のブラジルレアルコース毎月分配型は、今年6月から分配金が月200円から250円に引き上げられ、直近1年間の分配金は計2560円。分配利回りは20%を超え、同証券のオンライン取引で買付金額トップにランクしている。純資産残高も分配額が引き上げられて以降、再び盛り返し一時は1100億円台まで落ちた残高が29日時点では3265億円と、過去最高残高を更新中だ。

<いつまで続く高分配・高分配利回り志向、リスクの認識も>

 「面白いように高分配投信に資金が入ってくるが、はっきり言って怖い。高分配人気がどこまで続くのか」(大手投信)──。15年ぶりの円高を経験し6年半ぶりの介入で1ドル=85円台まで押し戻したが、長期トレンドの円高基調に変わりはない。分配型の殆どが海外資産に投資し、円高基調は資産の目減りを意味するが「国内とは比べ物にならない高利回りの新興国債やハイイールド債に投資家は魅力を感じている。高分配で人気の通貨選択型は(短期金利の低い通貨を相対的に高い通貨でヘッジした場合に得られる)為替ヘッジプレミアムが上乗せされることで、従来の分配型より高分配が長期間継続できると期待しているフシもある」(大手証券)との声もある。各国の金利や為替水準が大きく変わらず、現在の投資環境が続けば当面、高分配・高分配利回り人気は継続するとみられるが、外資系運用会社の中には本国サイドで通貨選択型投信の組成はしないと決めている社もあると聞く。二階建て投資のリスクをきちんと説明できないと判断したためだ。証券会社の店頭で投資相談にあたる販売員は「高分配・高分配利回りが、高分配・高分配利回りでなくなるのはどういう状況の時か。投資環境の変化に気をつけながら、常にリスクを意識しながら分配金をもらって欲しい」としている。

(ロイターニュース 編集 宮崎 大)

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