March 14, 2011 / 3:35 AM / in 9 years

〔焦点〕大震災被害総額は阪神の10兆円上回る規模、震災対策で2兆円超の予算措置必要との見方

 [東京 14日 ロイター] 東日本大震災について、今のところ把握できる被害状況からエコノミストらが試算したところ、被害総額は阪神淡路大震災の10兆円規模を超えるとの分析が浮上している。またその影響として、日本の4─6月期実質GDP見通しは、予想されていた2%成長から0.5─1.0%程度下押しされる可能性がありそうだ。震災対策予算の規模は阪神淡路大震災当時には総額3兆円を組んだが、今回も2兆円以上の措置が必要と見られている。

 

  <被害総額は阪神の10兆円規模を上回るとの見方>

 

 阪神淡路大震災を振り返ると、兵庫県の県民総生産は19兆円、全国の4%だった。今回被害の大きかった宮城、岩手、福島の3県の合計が20兆円で、兵庫県1県にほぼ相当する。また、阪神淡路大震災の被害総額は、実物資産被害だけで9兆6000億円(当時の国土庁発表)となった。

 今回の地震の被害は全容がまだ把握できておらず、推測の域を出ないが、建物やインフラなどの直接的な被害だけで10兆円程度と阪神淡路大震災並み、雇用や人口の減少などを含めた間接的な影響を含めた影響は10─15兆円規模にのぼるとエコノミストらはみている。

 

 JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明氏の試算では、今回の地震の被害は、阪神淡路大震災よりも被害地域が広範囲に及び、多方面に影響が及ぶ可能性が高く、被害総額合計(直接・間接を含む)は12.5兆円を超えると見ている。

 他方でクレディスイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は、経済損失・被災地域関連の経済損失は14─15兆円程度と試算。阪神淡路での直接的な経済損失約、物流障害、生産減、雇用減などの間接的な経済損失約30兆円には達しないのではないかと見ている。

 

  <4─6月期GDP1%前後に下押し>

 

 日本経済は、政策効果の反動も薄れて外需をけん引役に1─3月から成長率を高めていく見通しとなっていた。4─6月のGDPは、年率1.9%程度の成長が見込まれていたが、影響は必至。菅野氏は特に第2・四半期の下押し圧力が最大となり、1.7%ポイント程度の下押し圧力となる可能性を指摘。野村証券金融経済研究所・チーフエコノミストの木内登英氏は0.5─1.0%ポイント程度の下押しを予想している。

 

 もっともこれで木内氏は「景気が腰折れしたり、逆に復興需要で景気がV字型回復を遂げたりする可能性は小さい」とみている。年後半には復興需要も出てくることを勘案すると成長率には押し上げ要因ともなる。

 11年度全体の成長率の押し下げ効果について、木内氏は0.2%─0.4%程度というのが現時点での暫定的かつ大まかなめど、と試算している。一方、菅野氏は11年度を通し成長率は0.3%ポイントの下方修正にとどまりそうだという。

 ただし、白川氏は「震災の直接的なインパクトよりも懸念されるのは原発問題や新たな大型地震発生リスクに対する不安感を背景にした全国的な(特に東日本における)消費者マインドの悪化、電力供給減少による生産減、労働時間減」と指摘。これらのマイナス・インパクトを定量化することは極めて困難であるが、今年度の成長率下押しが0.5─1.0%ポイント に達する可能性は否定できないとみている。

 

 なお、東京電力による輪番停電が仮に4月末まで続き、25%程度の電力供給が削減されると名目GDPは0.3%程度下押しされる(野村証券金融経済研究所)との試算も出ている。

 

  <震災対策費は当面2兆円規模か>

 

 こうした成長見通しの前提として、政府による迅速な復興対策が必要となる。当面の生活支援などには10年度の予備費で対応するものの、公共事業など復興需要のための財政面での措置は、11年度予算や補正予算でそれなりの規模を組むことになりそうだ。

 

 95年1月に起こった阪神淡路大震災後の復興需要は、民間設備投資・住宅投資資金総需要が9兆3000億円だった。資金需要のピークは復旧・復興が本格化する96年度が最大で年間1兆6000億円。

 当時、国の財政面の措置では94、95年度の補正予算で総額3兆円を超える震災対策費を計上したが、菅野氏は「今回はこれをかなり上回る可能性が高い」との声も出ている。 

 そのうち、当面予想される災害復興型財政支援の規模について、白川氏は2兆円程度ではないかとみており、「財源については、予備費の充当や他の経費の削減が中心になり、追加的な国債発行圧力は限定的になる見込み」と予想している。

  

 日銀も、今後金融緩和の追加措置に踏み切る可能性が高まったと見られている。

 ゴールドマンサックス証券では、被災地区の復興と日本経済全体の浮揚を企図して、新たな政策を打ち出してくる可能性が高いとして、具体的には包括的な金融緩和の下で導入された資産買入基金の増額や、適格担保として受け入れ可能な証券化商品の多様化、成長基盤強化を支援するためのオペの増額などをあげている。

 

 

(ロイターニュース 中川泉;編集 宮崎亜巳)

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