October 20, 2011 / 10:42 AM / 8 years ago

再送:〔焦点〕オリンパス<7733.T>の晴れない「霧」、資金の流れで当局の事実解明に発展も

*以下の記事は20日午後8時08分に配信しました。

 [東京 20日 ロイター] オリンパス(7733.T)は英医療機器メーカーのジャイラス社買収でフィナンシャル・アドバイザー(FA)に6億8700万ドル(当時のレートで約687億円)を支払ったことを公表したが、同社を覆う霧は晴れない。支払金額が巨額であるだけでなく、オーナーも不明なケイマン諸島の金融会社などに資金が流れたと前社長のマイケル・ウッドフォード氏が「内部告発」しているためだ。これに対してオリンパスは「すべてのM&A(合併・買収)は適切に処理した」との立場を繰り返し強調。真相解明はもはや当事者には望めず、国内外の当局の手に移る可能性が出てきている。

 「一体、『AXES』と『AXAM』という会社はどういう会社なのか」(国内証券アナリスト)――。オリンパスをめぐる市場の疑問の多くはこの点に集約されつつある。英国で19日にロイターのインタビューに応じたウッドフォード氏は、2008年2月のジャイラス買収をめぐって、オリンパスが米国に登記のあるアグゼス・アメリカ(AXES America)およびケイマン諸島に登記のあるアグザム・インベストメント(AXAM Investment)の2社に6億8700万ドルを支払ったと語った。

 ウッドフォード氏は社長を解任される直前に「企業買収に関連する重大なガバナンスの問題について」と題する11日付の書簡を菊川剛会長に送り、この中でAXESとAXAMについて「オーナーも不明で、外部監査人も利害関係がないと証明できないようなケイマン諸島の会社に7億ドル近くを支払ったことは異常だ」と指摘した。また同書簡によると、ケイマン諸島のAXAMは、オリンパスが最後の支払いを済ませた3カ月後に当たる10年7月に登録料未払いで金融会社の登録を取り消されたという。

 19日午前のオリンパスの開示によると、ジャイラス買収に伴うFAへの支払総額は6億8700万ドルで、ウッドフォード氏の指摘と合致。支払総額の内訳は、現金とオプションを含む「FAへの報酬」が2億4398万ドルで、残りは「FAに発行した優先株の買い取り」にかかった費用で4億4302万ドルとしている。優先株はFAに「報酬の対価」として08年9月30日に1億7698万ドルを発行し、10年3月31日に6億2000万ドルで買い戻した。わずか1年半で3.5倍の価格に上昇したことになる。

 国内の投資銀行関係者は「オリンパスが支払ったアドバイザリー報酬は法外に高い。通常の報酬は買収価格の1%程度で、FAが優先株を受け取ることは通常ではあり得ない」と指摘する。ただ、もはや株式市場の受け止め方は「6億8700万ドルのうちどこまでが報酬で、どこまでが優先株の買い戻し価格なのか、それが高いか安いかという問題よりも、一体なぜそれだけの資金がAXESとAXAMという会社に流れたのかだ」(前述のアナリスト)という不信感となっている。

 <オリンパス副社長、AXAMは「よく知った間柄」>

 AXESとAXAMの存在が焦点になる中で、オリンパスはFAの名称は開示していない。ただ、17日夜にオリンパスが開いた投資家向けの電話会議で森久志副社長は、AXAMが登録を取り消されたことについて「取引が終了した後は没交渉になっていたので、その会社がなくなっていることは了解していなかった。ただ、2004年から2005年ぐらいから取引はあったので、ずいぶんよく知った間柄だった」と述べた。

 また、ロイターはウッドフォード氏から、同氏がオリンパスの森副社長と9月以降に交わしたとする複数のメールを入手した。11日付の菊川会長あての書簡を作成する前に、ウッドフォード氏が質問して森副社長が回答する形式で、両者のやり取りが記録されている。

 ここでウッドフォード氏は森副社長に対し、AXESとの取引の内容について繰り返し質問しているが、特に6日のメールでは、AXESへの支払い対価の一部を優先株とした理由について尋ねている。これに対して森副社長は「本来はキャッシュの支払いが望ましいが、AXESは(ジャイラスの)成長を享受したいということと、FA報酬の課税を遅らせるためにも優先株の受け取りを求めていた」として、AXESの名称に言及して回答した。オリンパスは、森副社長からの回答メールの存在について「コメントできない」(広報担当)との見解を示している。

 <証券監視委などに内部告発>

 市場に広がる不透明感に対してオリンパス自身のさらなる開示が求められるが、「もはや当事者の情報開示では『霧』は晴れない。第三者的立場からの客観的な評価でしか解消され得ない段階に入っている」(外資系証券アナリスト)として、第三者の調査機関の設置だけでなく、国内外の当局の事実解明を求める声が出てきた。

 オリンパスは、ジャイラス買収時のFAへの支払いをはじめ過去のM&Aについて「適切に処理して実施した」との立場を繰り返し強調。第三者機関の設置については「ウッドフォード氏が言っている内容は過去のことだが、過去については必要に応じて第三者の調査を行ってきている。現在はそうした(問題のある)案件はないと認識している」(森副社長)として否定的な立場をとっている。

 これに対して、ウッドフォード氏はロイターのインタビューで、ジャイラス買収で6億8700万ドルをAXESとAXAMに支払っていたことについて、日本の証券取引等監視委員会に調査を求める書簡を送付したことを明らかにした。17日には、重大不正捜査局(SFO)の当局者に状況を説明。現在もオリンパスの取締役の立場にあるウッドフォード氏の「内部告発」を国内外の当局がどのように受け止めるのかが注目されているが、ウッドフォード氏はインタビューで「これまでのところSFOは非常に協力的だ」との認識を示している。

 すでにオリンパスはウッドフォード氏について「本来、取締役が出すべきではない情報を発信して会社の経営に問題を起こしている」(森副社長)として法的措置を検討していく姿勢を示している。

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