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WRAPUP1: 国民投票終了まで対ギリシャ融資見合わせ、国民投票は12月4日に実施へ

 ◎ドイツとフランス、ギリシャに対して支援策への対応を明確にするよう求める。 

 ◎EUとIMF関係筋、国民投票が済むまで対ギリシャ融資はできないと表明。

 ◎イタリアの銀行に対する圧力強まる、EFSFは債券発行を延期。

 [カンヌ(フランス) 2日 ロイター] ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は2日、ギリシャのパパンドレウ首相が第2次支援策の受け入れについて国民投票に諮る方針を示したことについてパパンドレウ首相を交えて協議し、ギリシャがユーロ圏との約束を守り、ユーロ圏にとどまる決意を固めるまで、欧州はいっさい支援融資を行わないと通告した。

 メルケル独首相はパパンドレウ首相との緊急会談後、サルコジ仏大統領と共同記者会見を開き「われわれはギリシャを除外してではなく、ギリシャを含めてユーロ圏の安定を目指したいが、ユーロの安定という目標はそれ以上に重要だ」と指摘。

 サルコジ大統領も「ギリシャは今後もわれわれと共に進みたいのかどうか、態度をはっきりさせる必要がある」と述べ、最終的にはギリシャの救済よりもユーロ救済の方が重要になるとの考えを示した。

 一方、パパンドレウ首相は、国民投票を12月4日に実施する考えを示した上で、「まだ明確な言葉では言えないが、これはプログラムばかりの問題ではなく、われわれがユーロ圏にとどまることを望むかどうかの問題だ」と述べ、国民投票の結果によってはギリシャのユーロ離脱につながる可能性があることを示唆した。

 ギリシャの世論調査では、支援策に関する合意は緊縮策に苦しむギリシャにとって好ましくないとの回答が過半数を占めているが、パパンドレウ首相は「ギリシャ国民は賢明であり、国家にとって有益な正しい決定を下すことができると確信している」と述べ、支援策に対する多くの支持が得られるとの考えを示した。

 しかし、国民投票の行方に不透明感が高まっていることから、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)も、国民投票の結果が明らかになるまで、今月実施する予定だった80億ユーロの対ギリシャ融資を見合わせると表明。

 EUの関係筋によると、欧州委員会のバローゾ委員長は、パパンドレウ首相がカンヌに到着する前にこのメッセージを伝えていた。

 同筋は、パパンドレウ首相がEU首脳に対し、国民投票の前に支援策の詳細に関する交渉を求める書簡を送っていたため、欧州首脳とギリシャの間に不信感が広がっていたと明らかにした。

 一方、サルコジ仏大統領とメルケル首相によると、ユーロ圏財務相は7日に、ギリシャ危機が他のユーロ圏諸国に波及するのを食い止めるため、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)のレバレッジ活用策に関する協議を行う。

 また、フランス大統領府によると、20カ国・地域(G20)に出席しているイタリアやスペインの首相を含む一部のユーロ圏首脳が、3日朝に危機について話し合う予定。

 <広がる不透明感>

 ギリシャ首相による国民投票実施方針の表明で不透明感が強まったことから、EFSFは30億ユーロの債券発行計画を凍結せざるを得なくなった。

 一方、イタリアの金融安定パネルは、イタリアの一部銀行が国債市場からの資金調達に支障をきたしていると明らかにした。

 欧州中央銀行(ECB)がイタリア国債を買い入れているにもかかわらず、イタリア国債の独連邦債に対する利回りスプレッドは2日の取引でユーロ導入以来の最高水準に拡大。

 イタリアのベルルスコーニ首相は、財政改革に関する新たな措置について協議するため、2日夜に緊急閣議を開催した。

 世界各国からも欧州に対し、対応策を急ぐよう求める声が強まっている。

 中国の朱光耀財政次官は、ギリシャの国民投票をめぐる不透明感が解消されるよう望むとの考えを示すとともに、EFSFのレバレッジ拡大に関する詳細がはっきりしないことから、中国はEFSFへの追加投資について検討できないと指摘した。

 ギリシャ国民が国民投票で支援策の受け入れを拒んだ場合、ギリシャは「秩序なきデフォルト(債務不履行)」に追い込まれる可能性が高く、欧州の銀行に深刻な打撃を与えるばかりか、イタリアやスペインにも危機が広がる恐れが生じる。

 ユーロ圏財務相理事会(ユーログループ)のユンケル議長は、国民投票で支援策に「ノー」が突きつけられれば、ギリシャは国家破産に追い込まれかねないと警告した。

 ドイツ銀行協会のメンマー理事長も、民間セクターの債権者が50%の債務元本削減を求められていることについて、国民投票が済むまで受け入れの是非を決めることはできない、との考えを示した。

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