[チューリヒ 10日 ロイター] スイスの大手銀行UBSUBSN.VXは10日、サブプライム関連エクスポージャーでさらに100億ドルの評価損を計上すると表明。さらに、シンガポール政府投資公社(GIC)と中東の投資家から、総額130億スイスフラン(114億8000万ドル)の資本注入を受けると発表した。
中東の投資家は具体名が明らかにされていないが、金融関係者によるとオマーンだとみられている。
UBSはさらに、第4・四半期の損益は赤字になると表明し、従来の業績予想を修正。2007年通年についても損失を計上する可能性があると明らかにした。
UBSが増資する130億スイスフランのうち、110億フランはシンガポールのGIC、20億フランは中東の投資家が引き受ける。
UBSは、消却する予定だった自己株式3640万株の転売を承認し、Tier1の資本を20億フラン引き上げる。
また、2007年の現金配当を株式の無償交付に変更し、Tier1の資本を44億フラン拡充する方針を示した。増資分を合わせればTier1の資本は194億フラン増えることになり、Tier1の資本比率は12%に引き上げられる。
シンガポールのGICと中東の投資家に割り当てられるのは株式への強制転換権が付いた債券で、クーポンは9%。約2年以内に普通株式に転換する義務がある。
金融関係者は、9%のクーポンは異例の高さだと指摘。UBSのマルセル会長は記者会見で、クーポンの水準は通常の市場環境を反映したものだと述べた。
サブプライム問題に絡む100億ドルの評価損はこれまでで最大規模で、クレジット危機が世界を代表する金融機関を脅かしていることを示す形となった。
GICはUBSへの資本注入で9%の株式を握ることになり、アブダビ投資庁がシティグループに75億ドルを投資したのに続き、政府系投資ファンドが大手金融機関を救うことになった。
UBSは、GICなどから取締役会に人材を迎えることを否定しない、と述べた。
一方、GICは、UBSの取締役会に人を送り込むかどうかを考えるのは時期尚早だと指摘。さらに、特にウェルス・マネジメント部門など、UBSの長期的な見通しを信じている、と述べた。