December 15, 2009 / 8:13 AM / in 10 years

〔情報BOX〕米下院が可決した金融規制改革法案の概要

 [11日 ロイター] 米下院は11日に金融規制改革法案を可決し、独自の金融規制改革法案の審議を始めた上院に注目が移った。

 以下は、全1279ページに及ぶ下院の金融規制改革法案の要旨と、上院案の見通し。

 ◎システミックリスクの監督

 

 *米財務長官が議長を務める省庁横断的組織である、金融サービス監督協議会(FSOC)を創設。

 

 *協議会は、経営難の金融機関あるいは金融の安定を脅かす危険性があると判断される金融機関に対する規制を強化できる。

 

 *協議会は、米連邦準備理事会(FRB)、米証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)、他の銀行監督当局などで構成される。

 

 *金融機関のバランスシート強化策の一環として、資本に対する負債比率は15対1を上限とし、関連会社以外の企業に対する信用エクスポージャーを株主資本の25%以下に制限。

 

 *協議会は、緊急時に株式に転換可能な長期のハイブリッド債を保有するよう金融機関に命令できる。

 

 *協議会は、特に緊急性が高まった場合、金融機関に対し、事業の再構築、幹部報酬の制限、事業売却あるいは分割を命令できる。

 

 *100億ドル以上の資産分割の命令については財務長官、1000億ドル以上の資産分割の命令は大統領の承認を受けなければならない。

 

 *リスクの高い機関は毎年「ストレステスト(健全性審査)」を受け、破たん時の段取りをまとめた「リビングウィル(生前遺言)」の提出が義務付けられる。

 

 *FRBの金融政策が、初めて議会による監視対象となる。

 

 上院案の見通し:上院案ではより強力な権限を持った横断的組織の創設が提案され、リスク監督に対するFRBの役割はより縮小される見通し。

 

 

 ◎問題を抱える機関の破たん処理

 

 *緊急時には、米連邦預金保険公社(FDIC)は支払い能力のある金融機関の債務を最大5000億ドルまで保障可能。資金は財務省からの借り入れなどでまかなう。

 

 *FDICは支払い不能に陥った金融機関を、破たん手続きあるいは管理下に置くことを通じて清算できる。

 

 *FDICが金融機関を清算する場合、完全な担保権を有する債権者は、無担保とされた債権の最大10%までを請求できる。

 

 *FDICによる清算費用は、財務省からの借り入れや、資産総額が500億ドル以上の金融機関に課す手数料でまかなう2000億ドルの「システミック清算基金」から拠出する。

 

 *FDICの預金保険基金に銀行が現在支払っている手数料はリスクに基づく体系に移行し、小規模銀行の手数料負担を軽減する。

 

 *金融セクターに緊急事態が生じた場合、FRBは総額4兆ドルを幅広い事業に融資できる。

  

 上院案の見通し:上院案では事後的に問題金融機関の清算費用を拠出することが提案される見通し。

 

 

 ◎銀行と証券化業務の監督

 

 *貯蓄機関監督庁(OTS)を廃止し、業務を通貨監査庁(OCC)と統合。

 

 *銀行に対し、販売した証券化商品の少なくとも5%の信用リスクを保持するよう義務付ける。

 

 上院案の見通し:上院案では銀行監督権限のさらなる一元化が提案され、証券化業務については下院案と同様の改革が提案される見通し。

 

 

 ◎店頭(OTC)デリバティブ(金融派生商品)規制

 

 *OTCデリバティブの取引は、中央清算機関、取引所あるいはこれと同等の機関を通じて行うことを義務付け。

 

 *中央清算機関を通じて決済されなかったスワップ取引については、監督当局などへの報告を義務付け。

 

 *航空会社や農業ビジネスなどスワップ取引の「エンドユーザー」は、中央清算機関での決済義務付けの対象から除外。

 

 *規制当局が、金融および商品(コモディティ)を裏づけとしたデリバティブについて、スワップ取引のポジション上限を設定することが可能に。

 

 *OTCデリバティブ決済機関に対する金融機関の出資比率は20%を上限とする。

 

 上院案の見通し:上院案では中央清算機関での決済義務付けが除外される「エンドユーザー」の範囲が下院案より狭い。

 

 

 ◎消費者金融保護庁(CFPA)の創設

 

 *監督対象は住宅ローン、クレジッドカードを含む金融商品。

 

 *監督対象から除外されるのは自動車ディーラー、小売り業者、会計士、税務申告書作成者、不動産業者。資産100億ドル以下の銀行はCFPAの本格的な監督対象とならないが、CFPAのルールに従うことを義務付けられる。

 

 *FRBや他省庁の消費者保護義務はCFPAに移管される。

 

 *州政府はCFPAよりも厳格な規制を適用できるが、連邦政府の規制当局は状況次第で州法の適用を阻止することが可能。

 

 

 ◎投資家の保護、報酬制限

 

 *SECによるブローカーと投資アドバイザーに関する基準は同じものに調整される。

 

 *SECの予算を倍増させ、執行権限を強化。

 

 *役員報酬について株主に年1回、拘束力のない投票権を与え、過度のリスクテークを助長する報酬体系を禁止。

 

 

 ◎ヘッジファンドおよび格付け機関

 

 *ヘッジファンドやプライベートエクイティ、オフショア・ファンドにSECへの登録を義務付け。資産総額が1億5000万ドル以下のベンチャーキャピタルやファンドは対象外。

 

 *格付け機関に対する新たな監督権限をSECに付与。投資家による格付け機関の提訴件数が増える可能性。

 

 

 ◎保険会社の監督

 

 *保険業界を規制するのではなく、監督する機関として「連邦保険局」(FIO)を創設。

 

 *FIOは限定的なケースを除いて州の保険法に優先することはできず、基本的には州レベルの規制を尊重する。

 

原文参照番号[nN09158043](3000Xtraをご利用の場合、配信後24時間以上経過した記事でも380日以内であれば[ID:nN09158043]でご覧になれます。なお、契約の内容によっては、原文がご覧いただけない場合もあります)

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