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コラム

コラム:米インフレ情勢論争、サマーズ氏主張は「不安あおりすぎ」

[ニューヨーク 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ローレンス・サマーズ氏がまた人騒がせな主張を展開している。今年既に、バイデン米大統領の大規模支出計画が経済の過熱をもたらしかねないと警鐘を鳴らしたサマーズ氏だが、今週18日になって、今度は米連邦準備理事会(FRB)が物価と経済に対する「恐るべき油断」を生み出しているとの考えを示した。そのサマーズ氏は昨年、物価下落が続くリスクを含めたいわゆる「恒常的な停滞」の概念を打ち出し、中央銀行が物価を押し上げる必要性を訴えていた。こうしたサマーズ氏らからの言い回しは必要以上に懸念をあおるもので、極端過ぎる。

 ハーバード大学教授で元米財務長官のローレンス・サマーズ氏は5月18日、米連邦準備理事会(FRB)は、低金利局面の長期化が物価と経済にもたらすリスクを過小評価することにより、「恐るべき油断」を生み出しているとの考えを示した。2014年10月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Joshua Roberts)

新型コロナウイルスのパンデミックによって米景気は急減速し、その後急回復している。一方短期的な物価上昇が起きているのは疑いの余地がない。第1・四半期決算を発表した米企業もこの点に言及しており、例えばホームセンター大手ロウズは19日、木材を中心とするコモディティー価格の高騰に触れた。4月の米消費者物価指数(CPI)前年比上昇率は4.2%と、2008年以降で最も高い伸びになった。

FRBのパウエル議長は、一部の職種で生じている人手不足はもとより、これらの物価上昇のほとんどは一時的だとみている。パウエル氏が望むのは、雇用水準がパンデミック前の水準まで戻ってから金融引き締めに動くという展開だ。多くのモノの価格が前年比で大きく上がったのは、1年前のひどく低調な経済物価情勢に起因する側面が大きい。昨年第2・四半期には米国内総生産(GDP)が30%余りも減少し、昨年4月のCPIの前年比上昇率はたった0.3%だったのだから。

そうしたひずみの先にある基調を見定める1つの方法は、2年単位で考えることだ。過去24カ月のCPI上昇率は2.2%だった。これは同じベースの2019年の伸びと変わらず、特に怖がるべき数字ではない。FRBが目標としている物価指標はCPIとは別であるにしても、目指している2%にほぼ一致するし、ある程度2%を上回って推移するのを容認する現在の政策運営戦略とも整合的だ。

FRBの政策担当者は、今年の物価上昇率が2.6%まで高まってもおかしくないと見込んでいる。向こう数年の予想レンジの上限は2.3%で、長期的な物価上昇率の見通しは2%だ。これらの想定は多分、楽観的なものだが、必ずしも自分勝手な思い込みではない。米国債市場の動きから計算した予想物価である期間5年のブレークイーブン・インフレ率は2.7%に達した。今から6─10年後の予想物価上昇率も2.3%で推移している。

こうした指標が、昨年3月の「底値」から急上昇している事実は確かに注目に値する。だがそれは単純に、異例な経済状況を反映しているだけかもしれない。いずれにせよ、足元の水準自体は警戒を要しないし、過去10年の流れといった基調から外れてもいない。実際、サマーズ氏が唱える恒常的停滞の尺度に照らせば、中銀が望ましいとするはずの水準付近にあると言えるだろう。

●背景となるニュース

*ハーバード大学教授で元米財務長官のローレンス・サマーズ氏は18日、米連邦準備理事会(FRB)は、低金利局面の長期化が物価と経済にもたらすリスクを過小評価することにより、「恐るべき油断」を生み出しているとの考えを示した。アトランタ地区連銀主催の会合における発言。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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