[ワシントン 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、中国が国有企業改革を続け、市場主導かつ明確な為替政策をとれば「ハードランディング」を回避できるとの見解を示した。
専務理事はオンラインでの会見で、鈍化した持続的な成長に中国経済が移行することが影響して、原油・コモディティ輸出国への圧迫が続くとし、IMFなど国際機関による支援への需要が高まると指摘。その上で新興市場国向けの資金支援ツールの拡充を用意したいとの意向を示した。
中国経済の移行は困難で市場の動揺につながるとも述べ、国際的な金融の安全網が「強固でいかなる状況に直面しても直ちに利用できるようにする必要がある」と語った。
専務理事はこれに先立つメリーランド大学での講演で、原油などコモディティ価格の低迷は当面続く見通しとし、一連の予防的な融資制度の拡充を検討するとの方針を明らかにした。
「予防的な融資制度をより強く大きくし、安全網の規模を拡大することが考えられる」とし、「IMFは今後数カ月、加盟国とともにこうした国際金融システムに関する問題を検討する」と述べた。
ラガルド専務理事は先進国に対しては、金融緩和政策やインフラ投資などを通じて成長押し上げを促す一方、新興国はコモディティ以外の収入を増やし、一段と柔軟な為替政策を許容することが支援となるとの考えを示した。
中国経済をめぐっては、輸出・投資依存から内需・サービスけん引型への移行を目指す経済のリバランスが、より持続可能な成長へとつながると指摘。
ただ短期的には景気減速の影響が貿易やコモディティ需要の減退を通じて波及し、金融市場によって増幅されるとの見方を示した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」