[26日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長代理のアンマリー・グルデウルフ氏は26日、アジア地域は経済成長率が従来予想を下回り、インフレ率は上昇するという「スタグフレーション」に直面するとの見通しを示した。
オンライン会見で、ロシアやウクライナに対するアジアの貿易・金融面のエクスポージャーは限られているものの、地域経済は商品価格の上昇や欧州貿易相手国の成長鈍化を通じて影響を受けると指摘。
中国経済の減速が地域経済の成長を圧迫しているタイミングで、アジアのインフレ率が上昇し始めていることにも触れた。
グルデウルフ氏は「政策対応の余地が限られた状況でこうした成長への逆風が生じている」とし、アジアの政策当局者は成長減速とインフレ加速への対応という困難なトレードオフに直面するとの見方を示した。
「大半の国で金融引き締めが必要になる。引き締めのスピードは、国内のインフレ動向と外的圧力に左右される」と語った。
アジアのドル建て債務の大きさを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)が着実に金利を引き上げる見込みであることも同地域の当局者にとって課題になるとした。
IMFは今月公表した最新の経済見通しで、今年のアジアの成長率を4.9%と予測し、1月時点の見通しから0.5%ポイント下方修正した。今年のアジアのインフレ率は3.4%と予測し、1月時点の予想から1%ポイント上方修正した。
グルデウルフ氏はアジアの成長見通しへのリスクとして、ウクライナでの戦争激化や新型コロナウイルス感染の新たな波、予想より速いペースでの米利上げ、中国のロックダウン(都市封鎖)長期化・拡大などを挙げた。
「IMFの基本予測には大きな不透明感があり、リスクは下向きに傾いている」と述べた。
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