[ヌサドゥア(インドネシア) 9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めるモーリス・オブストフェルド調査局長は9日、最近の人民元の下落について懸念しておらず、中国政府が自国通貨を防衛する能力に問題はないと述べた。
局長は人民元下落についての質問に「それが問題だとは思わない」と答えた。
インドネシアのバリ島で開かれている国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の記者会見では、中国政府が成長刺激策と金融の安定性を確保する政策の間で「バランスを取る」必要があるとの認識も示した。
人民元CNY=CFXSは今年、強い売り圧力にされされており、市場の懸念が特に強かった3月から8月までの期間には8%超下落した。ただし、当局が支援に動く中、人民元はそれ以降は下げ幅を縮小している。
中国人民銀行(中央銀行)はきょう、人民元の対ドル基準値を1ドル=6.9019元に設定。心理的に重要な節目の7.0元が迫った。
オブストフェルド氏は、金融市場は人民元の短期的な動きに神経質になり過ぎていると主張。人民元はここ数年、ボラティリティーが高まることがあっても、すぐに回復することが多かったとの認識を示した。
同氏は、IMFは中国当局に対して、成長率を過度に重視するのではなく、ショックに耐えられるよう成長の質や持続性を目指すべきだと提言してきたと指摘した。
同氏は、中国が信用拡大抑制策を講じる一方で、対米貿易摩擦を踏まえ成長押し上げ策を取ることは理解できるとした上で、「金融セクターの安定やデレバレッジの必要性との間でバランスを取る必要がある。地方政府の資金調達をより厳格に監視しなければならない」との見方を示した。
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