[東京 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)高官は20日、最近の円安はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)主導であり、日銀の超低金利政策を含む日本の経済政策を変更する理由にはならないとの見解を示した。
IMFアジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長はロイターのインタビューで「円相場でこれまでに見られているのはファンダメンタルズ主導だ」とし、「経済政策立案は引き続きファンダメンタルズに目を向けるべきだ。現在の動向はファンダメンタルズを反映しており、経済政策を変更する理由は見当たらない」と述べた。
日本の当局が円買い介入を行うのは妥当かとの問いには「現時点で外為市場に無秩序な状況は見られない。ファンダメンタルズ主導だ」とし、「市場が無秩序でない限り為替政策スタンスは適切、というのがわれわれの通常のアプローチだ」と述べた。
円安は輸出に追い風として、日本経済にはプラス要因とみなされていたが、足元では既に値上がりしている食料品やエネルギーの輸入価格を押し上げ、国内のインフレ圧力を強める可能性が懸念されている。
パンス氏は、円安は日本にとって悪材料ではなかったが、家計に影響を与えているため、玉石混交の面があると指摘。「インフレ圧力は依然落ち着いているため、日銀が超緩和策を変更する必要性はない」と語った。
金融引き締めを開始した他の先進国と日本の状況は大きく異なっているとし、「緩和的スタンスを変更する必要性をわれわれは全く認めていない」と述べた。
携帯電話料金引き下げの影響剥落といった一時的要因が総合消費者物価指数(CPI)上昇率を押し上げる可能性があるものの、物価上昇率が近い将来に日銀の物価目標を持続的に達成する可能性は低いとの見方を示し、「日本の状況はすでに金融政策の引き締めを開始した他の先進国と非常に異なる。緩和的金融政策スタンスを変更する必要性は見られない」と述べた。
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