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インタビュー:為替の急激な変動はよくない=稲田・自民政調会長

[東京 17日 ロイター] - 自民党の稲田朋美政調会長は17日、ロイターとの単独インタビューで、円安傾向で推移する最近の為替動向について、急激な変動はよくないとの認識を示した。

 6月17日、自民党の稲田朋美政調会長はロイターとの単独インタビューで、円安傾向で推移する最近の為替動向について、急激な変動はよくないとの認識を示した。都内のロイター社で撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

水準についての言及は避けたが、円安による資材高が中小企業や地方に及ぼす影響には、対策を講じていく必要があると語った。

<円安による資材高、中小企業や地方への目配り必要>

ドル/円JPY=EBSが123円台で推移する現在の為替水準について「水準について言及は控える」としたうえで「急激な変動はよくない」と語った。

そのうえで「中小企業や資材高に苦しむ地方の企業に対しては、きちんと対策はしていくべき」とも語り、円安によるデメリットには、目配りが必要との認識を示した。

さらなる円安は、日本経済にとって望ましいかとの質問には、あらためて「水準については言及しない。急激な変動は望ましくない」と繰り返した。

<黒田日銀総裁の為替発言、意図には言及せず>

外為市場では、円安に関する黒田東彦・日銀総裁の発言直後、2円程度の円高に振れ、その発言の真意をめぐり、今でも思惑が交錯している。

黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、実質実効為替レートが「ここからさらに円安はありそうにない」などと発言した。

ただ、16日の参院財政金融委員会では、10日の発言趣旨について釈明し「名目ベースで円安を望んでいない、円安にならないと言ったわけではない」と、円安けん制との見方を否定した。

黒田の発言の意図について、稲田政調会長は「総裁から直接聞いていないので、真意は黒田総裁から聞いてもらいたい」と述べるにとどめた。

<財政健全化計画、安倍首相と改革の方向性は一致>

自民党は2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標実現に向け、財政健全化計画を16日にまとめ、稲田氏が安倍晋三首相に提出した。この最終報告書の内容に関し「奇をてらった内容ではなく、地に足のついた、当たり前の改革を大胆に行うという提言内容だ」と指摘した。

歳出改革を中心とする提言内容が、安倍首相の立場と食い違っているのではないかとの観測には「改革の方向性は、全く一致している」と否定した。

<歳出目標設定、着実な改革を進めるための手法>

自民党と政府の経済財政諮問会議(議長:安倍首相)は、2018年度に財政再建計画の中間目標を設定することで一致しているが、諮問会議がPB赤字を国内総生産(GDP)比1%程度に改善させることを掲げるのに対し、自民党はPB赤字GDP比に加えて「歳出額の目標」を設定するように求めている。

より具体的な歳出の上限設定を求める狙いについて、稲田氏は「難しい社会保障制度改革を進めていくためには、目標設定が必要」と述べ、改革を確実に進めるための手法だと指摘。

歳出額の目標設定について、2018年にどの程度の歳出の伸びで抑えるかは「1年1年で書く必要はないと思う」などとも語り、定性的な表現も含め柔軟に対応する考え方をにじませた。

また、歳出の目標設定が、財政の柔軟性を阻害することにはならないと強調。「制度を改革することによって、むしろ何かあった時、重要な経済(政策の)自由度は増す。決して、経済を阻害するとか、(財政の)柔軟性がなくなるいということはない」と語った。

<政府も党の提言の「核」取り入れへ>

政府の取りまとめ役である甘利明経済再生相は「経済成長と無関係に歳出を縛るのは、論理矛盾だ」と批判的だ。数字で歳出額を明記することは、物価上昇局面で厳しい歳出抑制を強いられ、景気に過度な下押し圧力がかかると警戒している。

16日の会見でも「将来の歳出規模を固定化するのは、いろいろな意味で手足を縛ることになる」と、自民党の提言をけん制している。

政府・自民党の間で、基本的なスタンスの違いが表面化しているようにも見えるが、稲田氏は安倍政権下で3年間行ってきた歳出改革を進める方向性に違いはないと語り、政府の経済財政諮問会議でも「党の提言の『核』は取り入れていただけるのではないか」と述べ、決着は近いとの見通しを表明した。

甘利経済再生相が健全化計画の基本方針として「経済再生なくして財政健全化なし」を掲げ、より「成長重視」の姿勢を打ち出していることに関しても「成長重視は私たちもそう。経済再生なくして財政再建なし、全く同感だ。ただ、きちんと社会保障制度改革を行っていくには、数字が見える形で目標を置いておかないと、改革は進まない。手法の違いだ」と語った。

<消費税率10%超、否定しないが制度改革が先>

歳入改革では、2014年に続き計画期間中の2017年4月に消費税率を10%に引き上げることが予定されており「安倍政権で2回も消費税を上げることになる。画期的なことだ」とした。

一方で、10%超への消費税率引き上げについては「まずは制度改革、歳出改革を優先する」とし、「(中間評価を行う)2018年に一度経過を振り返り、全くこれ以上消費税を上げないということではなく、改革を先にやるということだ」と述べるにとどめた。

<AIIB、ガバナンス問題の解決が不可欠>

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)については「未来永ごう、参加しないというわけではない」としながらも、参加の判断には、ガバナンスの問題などの解決が不可欠とした。

稲田氏によると、明らかになってきている設立協定の枠組みでは、1)常駐の理事会ではない、2)最大出資国の中国は26%の投票権シェアと拒否権を持つ、3)投資先についてどういう決め方をするのか──など、ガバナンスに問題があると指摘した。

*写真を更新しました。

吉川裕子 編集:田巻一彦

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