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アングル:インドネシア、コロナ対応でインドの教訓生かせず

[ジャカルタ 2日 ロイター] - インドネシアの病院で過去1週間に目にされた光景は、2カ月前のインドと不気味なほどに似ている。どちらも同じように廊下には新型コロナウイルス感染症の患者があふれ、家族が愛する人の治療に必要な酸素を探し回っていたからだ。

 7月2日、 インドネシアの病院で過去1週間に目にされた光景は、2カ月前のインドと不気味なほどに似ている。ジャカルタで撮影(2021年 ロイター/Willy Kurniawan)

ニューデリーの路上で間に合わせの火葬場が次々設置された代わりに、ジャカルタでは新しく掘った墓に埋葬するための遺体を積んだトラックが列をなしている。

そのインドはこれまでに新型コロナの感染者を直近ピークの8分の1まで抑え込んでおり、過去3週間で新規陽性者数が3倍に跳ね上がっているインドネシアのジョコ大統領は、インドのモディ首相に対策の指針を提示してほしいと要望。6月30日には企業経営者を前に「われわれはインドから学べる」と強調した。

しかし伝染病学者や医療専門家は、インドネシアはインドの教訓を全面的にくみ取っていないと苦言を呈している。

インドネシアが1日に発表した2週間のロックダウンの対象地域がジャワ、バリ両島に限定されたからだ。これは全34州のうち12州、総人口の約55%しかカバーしていない。

対照的にインドではコロナ危機の間、「ほぼ全て」の州・地域に、より厳格なロックダウンが実施されたことが、世界保健機関(WHO)の分析で分かる。そうした措置は、インド連邦政府がロックダウン適用基準を陽性率10%以上の地域と定めたことを受けたものだった。

そしてインドネシアでは今、34州すべてで陽性率が10%を超えている。WHOの定義では、陽性率が5%を超えると新型コロナウイルスの感染抑え込みができなくなっていることを意味する。

WHOが公表した最新のデータによると、6月27日までの州にインドネシアのジャワ、バリ両島以外の10州で新規感染者が倍増。ジャワ、バリ両島内でそこまで増えたのは2州だけだ。

スマトラ島リアウ州の伝染病学者イルワン・ムリャント氏は「このロックダウンをもっと早く行うべきだった。それもジャワ、バリ両島だけでなく全地域で」と語る。

ジョコ氏は、ロックダウンをジャワ、バリ両島に集中したのは閣僚や専門家、各自治体トップの意見を踏まえた結果だと説明。これまでの規制に比べて厳格な内容だと付け加えた。

別の伝染病学者パンデュ・リオノ氏は、人口密度が高いジャワ島ではより感染しやすいのは確かだと認める。それでも、今回のロックダウンは十分に強力とは言えず、規制が緩く何百万人もが帰省のために移動した5月13-14日の「イドゥル・フィトリ(ラマダン=断食月の終わりを祝うイスラム教の祭日)」より前に、発動するのが筋だったとの見方を示した。

<有言実行が鍵>

インドネシアは、インドに比べて新型コロナウイルス感染症の重症患者への対応能力が著しく低い。インドネシア病院協会のデータに基づくと、国内の集中治療室(ICU)用病床数は8485床で、単位人口当たりで見るとインドの半分以下にとどまる。

ジャカルタの主要病院の1つで働く呼吸器科医のエルリナ・ブルハンさんは、施設が既に定員オーバーだと明かした。7人の収容を想定していた院内の緊急治療ゾーンに職員が無理やり11人の患者を詰め込んでいて、「人々はひどいパニックに陥っている」という。

ジャカルタをはじめとするジャワ州の各病院の収容率は90%ないしそれ以上の水準にある。ただイルワン氏は、周辺の医療体制はもっと脆弱だと指摘。「ジャワ、バリ両島以外に感染が広がれば、利用できる病床とICUの数が大きな問題になるというのがわれわれの懸念だ」と述べた。

インドネシア政府は検査態勢も急速に強化し、陽性率が低下するまで検査数を5倍にする方針を打ち出している。これが実現できれば、インドに比べて単位人口当たりの検査数が3分の1にすぎないという、ずっと抱えてきた懸案が解消される。政府は、接触追跡やワクチン接種でも野心的な目標を定めている。

リオノ氏はこうした取り組みはもちろん歓迎すると話しながらも「何事においても同じだが、要はきちんと実行することにある」とくぎを刺した。

(Tom Allard記者)

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