September 7, 2018 / 3:33 AM / 11 days ago

コラム:通貨ルピアが急落、インドネシアに有効な防衛策は

[シンガポール 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドネシアにとって通貨防衛の最も有効な方法は、「頭を冷やす」ことかもしれない。新興国資産が劇的に売られる流れを受け、通貨ルピアの対ドル相場は1998年のアジア危機以来の安値に沈んだ。政策担当者はあわてているようだが、落ち着いて取り組めば十分対応できる。

 9月6日、インドネシアにとって通貨防衛の最も有効な方法は、「頭を冷やす」ことかもしれない。写真はルピア紙幣。ジャカルタの両替商で4日撮影(2018年 ロイター/Willy Kurniawan)

ルピアを守るという面でインドネシアの態勢は、20年前よりしっかりしている。当時に比べて外貨準備は多い半面、対外債務は少ない。ただし経常赤字が拡大を続けているため、アルゼンチンやトルコと同一視されてインドネシア資産は売り浴びせられている。5日には株価も約4%安と、この2年近くで最大の下げに見舞われた。

こうした中で当局は見事なほど早めに動いてきた。中央銀行は5月以降4回、計125ベーシスポイント(bp)の利上げを実施するとともに、2月から7月まで外貨準備のうち137億ドル相当を投じてルピア支援の介入を間断なく行っている。最近ではヘッジコストの引き下げを試みた。一方で政府は、今年の対国内総生産(GDP)比が昨年の1.7%から2.5%に上がると予想される経常赤字の縮小に力を注いでいる。

実際に発表された経常赤字縮小策は、短期的にはプラスに働くだろう。例えばバイオディーゼルの使用義務化は、同国の原油輸入を日量約40万バレル減らしてくれる可能性がある。とはいえ、これらの措置は低調な経済成長を再び上向かせたり、喉から手が出るほどほしい外国の直接投資を呼び込む力は全くない。

より適切で長期的な解決策は、自由化を継続するとともに政策の安定を維持して、海外からの資金流入につなげることだ。国内エネルギー部門への資金流入が増えれば、インドネシアは再びエネルギーの純輸出国になってもおかしくない。同じように、およそ250億ドルの発電所向け投資の先送りは、インフラ改善の努力を妨げている。そうした改善がなければ、インドネシアが外国資金に投資先として選んでもらうのは難しくなるかもしれない。

逆にムルヤニ財務相が4日、投機筋に対して漠然と脅しをかけたような行為は、何の役にも立たない。打つ手の選択肢がだんだんと減り、選挙も視野に入っている中で、政治家としてはこのような口先介入や目先の対策をもっと打ち出したくなるだろう。

もっとも中銀は、来年になればドル高がもたらすルピアの下げ圧力が弱まると予想している。それまでにより多くの改革や後戻り可能な措置を実行する方が、インドネシアにとっては有益だろう。

●背景となるニュース

*ルピアの対ドル相場は4日、一時1ドル=1万4940ルピアと20年ぶりの安値に沈んだ。アジア新興国通貨の中で今年値動きが最も低調なのがインドルピーで、ルピアはそれに次いで、年初来の下落率が10%近くに達する。

*インドネシア政府は4日、投機筋に対して「断固とした行動」を取ると表明。中央銀行と金融サービス監督機関が大口取引への監視を強める、とムルヤニ財務相が発言した。

*中銀は5月以降に計125bp利上げし、ルピア支援のために数十億ドル規模の為替介入を実施した。

*中銀は、オーバーナイト・インデックス・スワップと金利スワップの導入により、企業や投資家が利用できるヘッジ手段を拡大する方針を示した。一方で政府は、いくつかの発電所建設プロジェクトの延期や修正などを通じて、輸入の抑制に取り組んでいる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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