October 19, 2018 / 2:28 AM / 23 days ago

ブログ:インドネシア地震、帰らぬ「最愛の人」を想う

[バラロア(インドネシア) 17日 ロイター] - 木の梁(はり)が、粉々に砕けたコンクリートのがれきの山からあり得ない角度で突き出している。辺りには壊れたオートバイや、つぶれた鍋やボロボロになったノート、ぬいぐるみなどの家庭用品が至るところに散乱している。

 10月17日、マグニチュード(M)7.5の地震に先月見舞われたインドネシア中部のスラウェシ島中部パル市では、生存者の捜索が打ち切られても愛する人を待ち続ける人たちがいる。同市バラロア地区で10日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

インドネシア中部のスラウェシ島中部パル市で果物を売るカハルディンさん(40)の自宅は、先月28日のマグニチュード(M)7.5の地震で、ピンク色をしたコンクリートのがれきの山と化した。

カハルディンさんは自宅のあった同市バラロア地区で、がれきの山をじっと見つめ、下には1歳の娘がまだいると語った。地震発生以降、いまだ多くの人が行方不明となっている。

倒壊した自宅の上で掘削機を待つカハルディンさん。パルで10日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

「娘が見つかることを願い、私はここで待っている」とカハルディンさんは言う。「ここにずっと埋まったままということを受け入れなければならないのかもしれないが」

カハルディンさんによると、地震発生から4日後、救助隊員が妻のハツティさんの遺体を発見した。4歳と2歳の娘2人を抱きかかえたままの状態だった。

津波で破壊された家。パルで13日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

約5000人が依然として泥の下にいる可能性があると、災害救助当局者はみている。地震発生から2週間が経過した12日、インドネシア政府は衛生上の問題を理由に生存者の捜索を打ち切った。住民は捜索を続行するよう訴えていた。

スラウェシ州の州都であるパル市は液状化現象の被害が最もひどかった地域の1つだ。地震の振動により、地盤が緩み液状になる現象が起き、多くの人や家屋が泥やアスファルトの下に引きずり込まれた。

破壊された自宅の外に立つダーミさんと弟のルスリさん。パルで10日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

押し寄せる泥の威力はすさまじく、多くの家や車や建物を打ち砕き、数分のうちに何百メートルも流されるものもあった。

「まるで、地球が生きているかのように感じた」と48歳のダーミさんは話す。彼女は2階建ての自宅が半壊するのを目の当たりにした。「大きな口を開けて人々を飲み込んでいった。音がとても大きくて『ク、ク、ク、ク』という亀裂音がした」

タイルの山に座るヘスティさん。パルで10日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

地震から2週間後に初めてバラロア地区に戻ったというヘスティ・アンダヤニさん(27)は、子ども時代を過ごした家が元の位置よりはるか下に滑落したのを見てショックを受けたという。

「見つけるのにとても時間がかかった」と彼女は涙を浮かべて語った。「これからどこに住めばいいのか分からない」

地震で妹を失ったヘスティさんは、かつて2階の寝室の一部を飾っていたタイルの山に腰を下ろした。辺りには埃まみれの宝石や化粧品が散らばっている。

「私に残されたのは、化粧品やネックレス、ヒジャブを留めるピンだけ」と、泣きながら語った。ヒジャブとは、イスラム教徒の女性が頭に着用するスカーフのことだ。

液状化現象が起きた道路。パルで10日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

捜索隊は掘削機を持ち込んで遺体の回収作業を行った。また一部の住民は、破壊された自宅のがれきから貴重品を取り戻そうと頻繁に足を運んだ。

バラロア地区の当局者ヤシル・ガリバルディさん(43)は、倒壊したポーチの下で動けなくなった白い車をどうにかして移動させようとしていた。

倒壊した両親の家の前に立つヤシルさん。パルで11日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

「この車は両親のために買ったものだ。彼らは亡くなったが、これは良い車だ。唯一の形見でもある」

地震発生後、両親とめいが水が押し寄せるコンクリートの穴に閉じ込められて窒息死するのをただ見ていることしかできなかったとヤシルさんは話す。

「地震が起きた翌朝、彼らを見つけた」とヤシルさんは振り返る。

「話すことができ、飲み水をあげることもできた。だが彼らは互いに押しつぶされ、水も冷たかったに違いない。しばらくすると、彼らは息をしなくなった」

最愛の人の死を、どうにか受け入れようとしている人もいる。

約12キロ離れたペトボ地区に住むアメリヤさん(56)は、子ども3人と孫1人、そして義理の息子を失った。彼らの遺体が見つかる可能性が低いと彼女は分かっている。

「彼らの葬儀を行った。魂が安らかであることを願って」とアメリヤさんは語った。

まだ現実を受け入れられない人もいる。

「どうしたらいいか分からない。すべてを失った」と前出のカハルディンさんは語り、かつて自宅だったピンク色のコンクリートのがれきの下に眠る娘の遺体を捜し続けている。

地震発生時刻から数分後で止まったままの時計。パルで7日撮影(2018年 ロイター/Jorge Silva)

(写真:Jorge Silva 文責:Rozanna Latiff)

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