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アングル:給食の献立に四苦八苦、物価高が困窮家庭の子どもに影

[東京 6日 ロイター] - 足元の物価高が学校給食に影を落とし、1日の食事の中で重要な栄養源となっている困窮家庭の子どもたちへの影響が懸念されている。食材費が軒並み上がる中、限られた予算内でどう献立をやりくりするのか、現場の栄養士は四苦八苦している。

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東京・足立区の千寿青葉中学校で栄養士をしている佐藤和美さんのもとには、昨年から毎月のように納入業者から値上げの知らせが届く。揚げ物に使う食用油は、斗缶と呼ばれる18リットル入りの角形缶が前年の同時期から1750円値上がりした。佐藤さんは生徒と教職員合わせ、毎日360食を担当。1回につき3缶使うため、計5250円のコスト増だ。

昨年のこの時期1キロ180円だったたまねぎは、350円に値上がりした。子どもたちに人気のカレーライスやミートソーススパゲッティに欠かせないため、使用頻度が高い野菜が高騰するのは影響が大きいという。しかし、量や品数を減らさず代用などで節約し、バランスをとりながら献立を考えている。

学校給食は、児童や生徒の健康や成長などを考え栄養量の基準が定められている。厚生労働省の助成を受けて実施された「食事状況調査」によると、給食のない日はある日に比べ、栄養の接種基準を満たしていない子どもの割合が多くなる。

「季節の果物は月に1、2回程度入れるように心がけているが、頻繁には難しい」と、佐藤さんは言う。果物は1つおよそ50円。360食分だと1万8000円になる。代わりに手作りのゼリーやケーキを添えるようにしている。「子どもたちに『今日の給食、寂しいな』と思われないように心がけている」と、佐藤さんは話す。

とりわけ懸念されるのが、生活が苦しい家庭の子どもたちへの影響。夏休み明けにやせて登校する子どももいるという。認定NPO法人キッズドア(東京都中央区)が困窮家庭の保護者を対象に6月中旬に実施したアンケート調査によると、最近の物価高で生活が「大変苦しくなった」と回答したのは48%。「苦しくなった」と合わせると85%にのぼる。

「肉や魚が買えない」は37%、「おかずをつけられない」は14%だった。食事の回数が減ったとの回答も10%あった。81%が、給食がなくなる夏休み中の食事が不安と答えた。調査には同NPOが支援する1386人が回答。多くが1人親や年収200万円未満の家庭だという。

足立区役所で子どもの貧困対策・若年者支援を担当する祖傳和美課長は、物価高などの「影響を受ける方々は、もともと所得が低かったり職が安定していない家庭に多いと思っている。それが子供の栄養状態に影響を及ぼしてしまう可能性がある」と懸念する。

足立区は中学校の給食を1食334円から337.5円に増額する。保護者負担はこれまでと同じ303円のまま、残りは補正予算など公費で賄う。コロナ禍からの経済回復で食材費が徐々に上がる中、政府は4月の緊急経済対策に学校給食の負担軽減策を盛り込んだ。コロナ対策の地方創成臨時交付金を拡充し、自治体に活用するよう呼び掛けた。一部の自治体は保護者の負担を引き上げたが、同区は交付金を国に申請し給食費の値上がり分に充てる方向だ。

ロシアによるウクライナ侵攻、円安が物価上昇に追い打ちをかける。「原油高騰で輸送費が上がり、それに付随して様々なものがまた少しずつ値上がりしないか不安だ」と、栄養士の佐藤さんは語る。台風や猛暑など、野菜の高騰につながりかねない異常気象にも気をもんでいる。

(金子かおり 編集:久保信博)

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