[シドニー 21日 ロイター] - トムソン・ロイターがINSEADと共同で実施したアジア企業景況調査によると、第1・四半期のアジア主要企業の景況感は、貿易摩擦への懸念を中国経済の回復が相殺し、7年ぶり高水準となった。
企業67社の今後6カ月の見通しを反映した景況感指数.TRIABSRACSIは79で、前四半期の78から小幅上昇した。50が景気改善と悪化の分岐点となる。
INSEADのアントニオ・ファタス教授(経済学)は「大幅な改善ではなかったが、過去の水準からみて良い数字だ」と述べた。
タイ、フィリピン、マレーシアの景況感が堅調に改善し、世界的な経済成長加速の恩恵を引き続き受けていることを示した。
ファタス教授は「2016年から始まった中国危機への不安が回避されたため、高い信認となっている。不均衡は残っているが短期的には危機の脅威は実質的にない」と述べた。
タイの指数は85から100に、フィリピンは70から83に、マレーシアは70から79に改善した。
調査に回答したタイ航空THAI.BKの担当者は「観光と輸出セクターの拡大が今年のタイの成長押し上げの一助となる」と述べた。
オーストラリアは92から80に低下したが、過去の平均水準の69は上回っている。
トランプ米大統領による鉄鋼・アルミへの輸入関税や中国を狙った追加関税など、通商への懸念が強まっている。トランプ大統領は米韓自由貿易協定も「不公平」としており、これを破棄する可能性を示している。
このような流れのなか韓国の指数は83から50に低下した。
「韓国企業はトランプ大統領が韓国への攻勢を続けると感じている」(ファタス教授)という。
シンガポールは79から75に低下。ハイテク製品輸出の落ち込みで2月の輸出が予想外に減少した。
日本は70から67に、インドも79から72に低下した。
中国は83から88に上昇。ただ回答企業は4社だった。
最大の懸念として挙げられたのは貿易摩擦と金利上昇。
業種別ではテクノロジー、建設、エネルギー、金属が貿易摩擦を懸念としてあげた。
金利上昇を懸念要因としたのはエネルギー、不動産、小売り、テクノロジーなど。エネルギーセクターは資産価格の急激な調整も懸念として挙げた。
小売り、レジャーセクターは過去最高となった。ヘルスケアは2年ぶり高水準。
調査は2-16日に実施した。
*3月21日配信の記事を、英文の訂正により「自動車セクターの指数は7年前に記録した最高水準と一致」の部分を削除しました。
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