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米雇用統計:識者はこうみる
2017年4月7日 / 15:04 / 7ヶ月後

米雇用統計:識者はこうみる

[10日 ロイター] - 米労働省が7日発表した3月の雇用統計は非農業部門雇用者数が9万8000人増となり、昨年5月以来の小幅な伸びとなった。小売業が2カ月連続で減少したことが重しとなり、予想の18万人増も大幅に下回った。ただ失業率は2007年5月以来、約10年ぶりの低水準となる4.5%に低下。労働市場の引き締まりが継続していることが示された。

4月7日、米労働省が発表した3月の雇用統計は非農業部門雇用者数が9万8000人増となり、昨年5月以来の小幅な伸びとなった。市場関係者からは天候要因などが作用したとのコメントが出ている。 写真は2009年3月、ニューヨーク市で(2017年 ロイター/Mike Segar)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●地政学リスクを冷静に受け止め、好材料に素直に反応へ

<しんきんアセットマネジメント投信 運用部長 藤原直樹氏>

米国によるシリアへの攻撃があったが、米トランプ大統領の支持率への影響を考慮すると、市場に対してマイナスの影響ばかりではない。このあたりは冷静に受け止められている。

また米雇用統計は、非農業部門雇用者の増加数が予想を大きく下回ったが、全体的にみればトレンドが大きく変化したとは言いにくい。天候要因があるという流れならば、FRB(米連邦準備理事会)の利上げに影響するような指標ではなかったといえる。

結局のところ、米金融政策の動向を市場は重視している。6月、9月の利上げと、12月のバランスシートの縮小は、既定路線になりつつある。市場の見方を大きく揺るがすような米経済指標がなければ、ドル高/円安の流れが続いていくはずだ。

前週までは期初の益出し売りが日本株の重しとなっていたが、これについてはある程度一巡したとみている。需給的には軽くなっており、今週は好材料に素直に反応する状況になるだろう。

一方、北朝鮮情勢は、今後の米国の姿勢次第だ。シリアと状況が異なるため、米国による攻撃が加われば状況は変わってくる。そうでなければ、市場への影響は限定的となるとみている。頭の片隅には置かなければならない問題だが、あまり警戒しすぎるのもどうか、というところでもある。

●米中首脳会談は米優勢、政治リスクのマグマ拡大

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

前週末の米中首脳会談について、米国は、中国との関係で目覚ましい進展が得られたと強調したが、実際は具体的な実りに乏しく、米国が優勢に立った印象だ。

同会談開催中の米軍によるシリアの攻撃をきっかけとした地政学リスクの高まりを受け、原油価格は上昇し、米原油先物は1カ月ぶり高値を付けた。

週末の雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったものの、失業率の低下が好感され、米利上げペースが維持されるとの見方が広がった。

原油価格の反発と新興国リスクの後退、さらに、米利上げペース維持見通しを手掛かりに、今朝はドルが買い戻されている。

また、バノン主席戦略官兼上級顧問などの政権幹部の更迭見込みも、国内政治の安定の兆しと解釈し、為替市場は全般にポジティブに捉えられているようだ。

以上に鑑みて、目先112.30円付近まではドルの上値余地があるとみている。

ただ、各地で頻発するテロや、シリアを巡る米露間、北朝鮮を巡る米中間の緊張など、政治リスクのマグマはむしろ大きくなっていると考えられる。ドル/円で110円の下値は堅いとしても、ドルの上昇が盤石であるとは言えない。

●明らかに失望誘う、天候要因も

<BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏>

明らかに失望を誘う内容で、天候関連の要因がなかったのかを精査している。非農業部門雇用者数の伸びは良好でなかったが、市場では天候要因を考慮しているのではないか。

ADP民間雇用者数は、ややミスリードだった感がある。

●インフレ基調はるかに重要、非農業雇用者数は異常値

<RBCキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、トム・ポルチェリ氏>

GDP変動や低水準の失業申請件数など他の指標と、雇用者数の変化が一致していない。この点を考える必要がある。今回公表された雇用者数の変動が異常値というのが現実だ。

非農業部門雇用者数から関心をそらすのが正しい行動だ。

失業率低下や時間当たり賃金の一部上方改定は、賃金圧力などが存在し続けたことを示す。これらのことを考慮すれば、雇用統計で最も重要な要素は底堅いといえる。これらはすべてインフレ基調と実質的に一致する。非農業部門雇用者数よりもはるかに重要で、さらに決定的なことは、FRBがこうしたことにより大きく関心を抱くとみられる点だ。

●米雇用統計こうみる:雇用の伸びから賃金の伸びに移行

<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

雇用者数の伸びは市場予想を大きく下回ったものの、全体的に見れば、単一の基準が示しているほど低調な内容ではない。3カ月平均の雇用者は17万8000人増と堅調に推移しているほか、賃金の伸びは予想と一致している。米労働市場は雇用者の伸びから賃金の伸びへと緩やかな移行を遂げつつある。

●FRB見通し変更につながらず、6月まであと2回の雇用統計

<バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(ニューヨーク)の米短期金利戦略部門責任者、マーク・カバナ氏>

今回の雇用統計により米連邦準備理事会(FRB)が短期的な見通しを変えるとは思わない。5月の会合ではそもそも利上げは見送ると見られているが、6月会合までにあと2回の雇用統計が発表される。

現時点でFRBの見通しが大きく変わることはない。ただ、一部FRB当局者が示していた成長の上振れリスクの重しになる可能性はある。

*内容を追加します。

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