August 24, 2018 / 4:32 PM / 3 months ago

米FRB議長のジャクソンホール講演:識者はこうみる

[27日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は24日、経済回復の保護に加え、底堅い雇用の伸びの維持やインフレの抑制に向け、着実な利上げが最善の方策との認識を示した。

 8月24日、パウエル米FRB議長は、着実な利上げが最善の方策との認識を示した。写真はワシントンで7月撮影(2018年 ロイター/Mary F. Calvert)

同議長はワイオミング州ジャクソンホールで開かれている経済シンポジウムで講演し、段階的な利上げが依然適切となる理由について説明。「経済は力強く、インフレは2%の目標近辺にあるほか、大半の求職者は職を見つけている。所得や雇用の力強い伸びが継続すれば、一段の段階的な利上げがおそらく適切になる」と語った。

27日までに集めた市場関係者のコメントは以下の通り。

●金融政策より米国内外の不安定性がドルの弱材料

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

ドル相場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演を挟んで下落したが、講演内容自体は、ハト派にもタカ派にもブレていないとみている。

今回のパウエル氏の講演内容は、一時的にドルを押し下げたが、金融政策面では、地区連銀総裁の発言が増えてきたことが気になる。

今年投票権を有するボスティック米アトランタ地区連銀総裁は20日、年内あと1回の利上げ予想を維持したものの、逆イールドが見込まれる状況では利上げに反対するとした。

また、金融政策面より現在のドル安に寄与しているとみられるのは、米国の対外政策や内政における不安定性だ。

ポンペオ国務長官の突然の訪朝中止、トランプ大統領の元選対本部長ポール・マナフォート被告に下った有罪評決、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告による司法取引、共和党の重鎮であるマケイン上院議員の死去などはドルの弱材料になっている。

特に、国内でトランプ氏を擁護してきた人物が鞍替えすることで、大統領の弾劾裁判などのリスクも意識されやすくなる。

●FRBは淡々と正常化を続けるというメッセージ

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>

米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長のジャクソンホールでの講演の基本メッセージは、今後も淡々と金融正常化策を続け、経済に変調があればその時に考えるというものだ。

これはインフレと利上げペースの加速を見込んだ一部の市場参加者を失望させ、米長期金利の低下とドル売りにつながった。

しかし、今後も3カ月に1度のペースで粛々と利上げが実施されるのであれば、基本的にはドルを下支えする材料とみることもできる。ただ、強い上昇シグナルとはなりえないため、金融政策は中長期的にはドル相場にとってほぼニュートラルと言えるだろう。

淡々とした利上げのかく乱要因としては、議長が講演内で2001年と2007年を引き合いに出していることからみて、いわゆる物価ではなく、資産価格の上昇、還元すれば株価を注視していると考えられることだ。

さらに、パウエル議長は、これまでの金融政策の判断材料となってきたインフレと失業率の関係、自然失業率、中立金利といったものが、非常に不透明な要素であることを認めている。これはある意味で、FRBがこうした不確実な要素に制約されず、より柔軟に政策を運営していく余地を示唆している。

●9月と12月の利上げを予想

<ジェフェリーズ(ニューヨ-ク)のマネジング・ディレクター、ブラッド・ベチェル氏>

インフレを巡るコメントはややハト派的だったが、現在の緩やかなペースでの利上げを巡る見解には何も変化はないように見える。

われわれは、9月に利上げが実施されるとの予想を変えておらず、12月にも利上げがあると確信している。

市場では12月についてはそれほど確実視されていないようだが、われわれは9月に加え、12月にも利上げが決定されるとみている。9月の利上げは確実で、これについては何も変わっていない。

●詳細に踏み込まず、段階的な正常化の継続示す

<フェデレーテッド・インベスターズの首席株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏>

米経済、労働市場は好調に推移し、インフレは加速しておらず、現在の水準から大きく乖離することはないというゴルディロックス経済的な景気判断が示された。時間をかけた段階的な金融の正常化が継続することになる。

約1カ月先に控える次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では最新のドットチャートが公表され、パウエル議長は会見に臨む。そのため、この日の講演で詳細に踏み込まないことが、パウエル議長にとっては得策だったのではないだろうか。

初のジャクソンホール経済シンポジウムでの講演だったこともあり、FRBの掲げる主題を再表明するにとどめたことは正しい判断だったのだろう。

●トランプ氏発言に影響されず、市場に前向きな内容

<B・ライリーFBRのマネジングディレクター兼首席グローバルストラテジスト、マーク・グラント氏>

パウエル議長は予想通りの姿勢を示した。米連邦準備理事会(FRB)政策決定者らの中で中道の立場を取り、トランプ大統領の発言に妨げられることはなかった。

議長は、景気が良好だが過熱は見られないと評価した。これは前向きな兆候だ。底堅い景気が続けば、段階的な利上げを行う可能性があるという自身の見方をはっきり表明した。インフレ率2%突破そのものを重要視せず、堅調な方向性を示唆した点で、インフレに関する言及は特に目立った。

景気、市場双方にとって総じて前向きな講演となったと思う。

●通商政策の行方不透明、慎重なアプローチ予想

<ザ・キーター・グループのパートナー、マシュー・キーター氏>

パウエル議長は、米連邦準備理事会(FRB)の独立性を理解しており、政権も認識している。(この先)多少混乱が生じる可能性もあるが、政権は独立したFRBの重要性を分かっている。

フェデラルファンド(FF)先物は(年内あと2回の利上げを)織り込みつつあるが、通商政策などの一部動向がどうなるかは分からない。このため、FRBは慎重な(measured)手法を取ると考えられるが、(金利)軌道は間違いなく上向くだろう。

●貿易摩擦巡る懸念、目先重視しないもよう

<インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者、クリス・ザッカレリ氏>

パウエル議長の講演は、FRBが米経済に強い自信を持ち、利上げペースを減速する意図がないことを示唆した。さらに、貿易摩擦を巡る懸念を目先重要視しない構えのようにもみられる。

株式市場に目を向けると、エネルギーや原材料などのシクリカル銘柄(景気循環株)の一角が上昇しており、FRBが景気を過熱気味の状態にすることへの期待を反映しているようだ。

●キーワードはインフレ

<オアンダ(トロント)のシニア外為アナリスト、アルフォンソ・エスパルサ氏>

特に驚くべきことはなかった。連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に沿い、これまでのFRBの路線から外れていない。

現時点ではキーワードはインフレとなっている。インフレは目標は超えておらず、なお制御された状態にある。

FRBは利上げを継続するが、現時点で市場で出ている予想を超えた利上げは行わないとの見解について、非常に中立的だったと考えている。

9月利上げは確実視されている。大きなショックが発生しない限り、利上げは実施されるだろう。

12月に関してはやや不確実だ。ただ、FRBはデータに依存する見解を示しており、12月利上げはインフレが今から年末までにどのように推移するかに左右される。

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