December 13, 2017 / 8:28 PM / a month ago

米FOMCで利上げ決定、来年3回見込む:識者はこうみる

[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は13日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25─1.50%に引き上げることを決定した。

利上げは今年に入って3回目。2018年と2019年はそれぞれ3回ずつ利上げが実施されるとの見通しを示した。

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市場関係者のコメントは以下のとおり。

●日本株に中立、税制改革や企業決算で一段高も

<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>

FOMCは、日本株にはニュートラルな内容だった。来年の利上げ見通しが市場で警戒されたより控えめとなったことで、米金利が下がりドルが売られたが、米株は上昇した。

景気見通しが引き上げられ、労働市場がタイト化しながら物価は上がりにくいという見通しが示され、米株は好感した。きょうの日本株も寄り付きから下げは深まらず、短時間でプラスに戻す場面もあった。米税制改革の進展が伝わったことや、FOMC後の米株価の上昇が支援したのだろう。

今回のFOMCで日本株の地合いは、少なくとも悪化はしないだろう。利上げしたことによる新興国の経済・株価の下振れが警戒されたが、緩やかな利上げ見通しとなったことで新興国からの資金流出懸念が後退し、市場に一定の安心感を与えた。今後、米税制改革が正式に成立するタイミングでは、株価の一段高もあり得る。

日経平均は3月末にかけ、2万5000円を目指すと予想する。年明け以降は日米企業の決算などを通じ、良好な企業業績の織り込みが進むのではないか。

●「謎解き」はせず、利上げ回数は維持

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

昨日のFOMCの結果を受け、金融市場ではドルロングの投げと米債の買い戻しが誘発された。2018年の利上げ回数を3回から4回へ増やす方向でベットしていた向きが多かったためだろう。

イエレン議長は9月の会見で2%目標に達しないインフレについて「ミステリー」と匙を投げたが、今回もその謎解きには手を付けず、年明け1月のFOMCでは記者会見がないため、そのままフェイドアウトと相成る。

議長は、会見では景気後退に陥る確率は低いと胸を張ったが、経済にマイナスの影響があれば、利下げや資産購入などの政策手段を講じる余地があると明言した。「ミステリー」であるインフレ動向がどちらに転んでも良いように、つまり景気がどちらに転んでも準備は万端であることをアピールしているようにも映る。

経済見通しでは、米税制改革が需要にも供給にもプラスとの認識を示すべく、インフレ率の見通しをそのまま据え置き、成長率だけ上方修正し、先行きの利上げ見通しの維持の根拠を固めている。若干、突貫工事の感は否めないのだが、FRBにとっては渡りに舟の税制改革である。

今後の焦点は、金融政策そのものより、米債券市場における利回り曲線のフラット化の継続性や、逆イールドの可能性に移っていくだろう。

イエレン議長は、逆イールドとリセッションに相関はあるものの、因果関係は認められないと述べた。

しかし、選挙などを通じて共和党政権が一段と不安定化したり、米減税策が経済成長に及ぼす効果について疑念が広がれば、今回のFOMC後にみられたドル売りと米長期債買いに帰結すると予想される。そして、その流れが来年の基本路線になると考えている。

●鈍い賃金上昇率や低インフレへの回答なし

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>

イエレン議長によると、ほとんどのFOMCメンバーが減税策を織り込んで経済見通しを立てたようだ。この結果、2018年の実質GDP成長率見通しは2.1%から2.5%に上方修正された。

ただ、議長も指摘するように、減税の実施のタイミングやマグニチュードに関しては不透明感が強い。各メンバーの想定した経済効果や実施時期などはズレがあるはずだ。それでも、FOMCが前回時点よりも景気見通しに楽観的になった点は、意識しておきたい。

2018年の失業率も3.9%と初めて4%を割る予測となった。それにも関わらずインフレ率の見通しが前回と変わっていないことは興味深い。

労働需給がひっ迫するなか、なぜ、賃金上昇率が鈍いのか、インフレ率が高まらないのかと言った最も重要な問題について、FRBはまだ明確な回答を持っていないことを示していると考える。

したがって、金利見通しも従来と同じで、2018年3回、2019年2回の利上げ回数の予想と同じだ。ドットチャートをみると多少の変化はあるが、ほとんどのメンバーは9月見通しを継続したようだ。

インフレ見通しが変わらなかったので、政策金利の見通しも変えなかったということだろうが、本音では、低インフレに対する回答が得られないため、政策金利の判断を先送りしたということではないだろうか。この点から、残念ながら、FOMCはノーサプライスである。

●年3回の利上げペースを正当化

<大和証券・チーフエコノミスト 永井靖敏氏>

FOMCでの追加利上げ決定や、ドットチャートで示された来年3回の利上げペースなどは、ほぼ想定された内容だ。

注目材料とすれば、失業率の見通し。17年が4.1%まで低下しているにもかかわらず、長期は4.6%に据え置かれた。足もとにおける失業率の低下は一時的で、タイムラグをおいて物価が上昇していくシナリオを描いているのだろう。

米FRBは今年3回の利上げに踏み切った。来年もたんたんと利上げに踏み切るだろう。

しかし、今回の利上げに対して2人が反対票が投じた。高値圏にある株価動向、今年予想外に伸び率が鈍化した物価動向などの不透明要因もあり、年3回の利上げペースに修正が入る可能性も否定できない。

●市場予想より速いペースで利上げも=シュローダー

<シュローダーズのポートフォリオマネジャー、ニール・サザランド氏>

サプライズは多くなかった。大きなものと言えば成長率予想だ。これまでに入手した成長率データを考慮すれば、大きな修正だ。来年のFOMCメンバー入れ替えを踏まえると、市場はドットチャートを重要視しすぎだ。ドットは意味を持たなくなるかもしれない。市場は利上げペースについてやや楽観的すぎるかもしれない。金利は市場が織り込んでいるより速いペースで上昇する可能性がある。

●ドルに中立的な結果、ドル安は短期的となる公算

<テンパス(ワシントン)の市場ディレクター、ジョン・ドイル氏>

ドルの反応は悪かったが、単なる反射的な反応だとみられる。今回の結果で特にドル安的な要素はなかったと考える。FRBは引き続き雇用市場の強さを指摘するとともに2018年の成長率加速と来年3回の利上げを見込んでいる。ドル高要因とはならなくてもドルにとって中立的な材料だと考える。ドルの下落は短期的なものになるだろう。

これまでの利上げは小幅で、市場の一部はこれよりもタカ派的な結果を予想していたのかもしれない。例えば、FRBがドットチャート上で4回の利上げを予想するなどだ。ただ、総じて言えば、中長期的に今日の決定は少なくともドルに対して中立的だ。

●利上げは引き締めでない、正常化への新たな動き

  12月13日、米FOMCはFF金利の誘導目標を1.25─1.50%に引き上げることを決めた。写真は記者会見に臨むイエレンFRB議長。ワシントンで同日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

<プルデンシャル・フィナンシャルの首席市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏>

景気判断に驚きはなかった。声明に変更はあったが、米FOMCのメンバーや経済情勢が今後変化することを踏まえると、重要性は薄い。市場は今回の決定を引き締めではなく、正常化に向けた新たな動きとみなしていると考える。金融状況が極めて緩和的であることを踏まえると、引き締めとは呼べない。

インフレの緩慢なペースでの上昇については、FRBは認識しながらも、経済が潜在能力に達していない副産物として容認している可能性がある。

イエレン議長は積極的にパウエル氏を後任として支持し、今後のFRBの政策がイエレン議長が確立した金融政策の道筋から外れることはないとのシグナルを市場に発したといえる。

●2020年の利上げ予想は驚き、来年はハト派が主流の可能性

<ナティクシス米州首席エコノミスト、ジョセフ・ラボーグナ氏>

長期金利見通しを変更しない一方で、2020年まで利上げ実施を予想したことは驚きだった。極めてタカ派的といえる。

今回の政策決定に2人が反対票を投じたこともサプライズで、とりわけ米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁の反対が驚きだった。2総裁は来年の米FOMCで投票権を持っていないが、来年投票権を持つタカ派メンバーが少ないほか、空席が多いことを踏まえると、今後ハト派が主流となる可能性があると考える。

長期失業率見通しを4.6%に維持したことは興味深く、長期成長率見通しを1.8%としたことは、FRBが引き続き長期的な停滞を想定していることを示唆している。

●物価動向が来年に向け大きなリスクに

<アリアンツ・インベストメント・マネジメント(ミネアポリス)のシニア投資ストラテジスト、チャールズ・リプリー氏>

2018年の成長見通しが上方修正されたが、過去数カ月間に確認された経済動向に沿うもので、われわれの認識とも一致する。

イエレン議長は(低)インフレが一時的との認識を繰り返し示した。これまで2%目標に到達しておらず、きょうの消費者物価指数(CPI)統計を見ても、インフレ上昇継続というFRBの予想を後押しするような内容ではない。市場は来年3回の利上げを想定しており、インフレ動向は来年に向けて大きなリスクとなり得る。

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また今回、エバンズ米シカゴ連銀総裁とカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が反対票を投じた。これは政策の継続性を掲げるパウエル次期議長にとってやや不安要因となる可能性がある。

●来年の利上げ回数巡る市場との乖離すり合わせ必要

<ステートストリート・グローバルアドバイザーズ(ボストン)の首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏>

米FRBは今年すべて予想に従って行動した。FRBは実施すると言ったことは実施した。今回の結果もFRBのこうした姿勢の一例と言える。

FRBは来年は3回、もしくは4回の利上げがあるとの見方を示しているようだが、市場では1回、もしくは2回にとどまるとの見方がなお優勢となっている。この相違には埋め合わせが必要だ。FRBが市場予想に沿うか、市場がFRBの方針に適応するかのどちらかとなる。

●インフレ上昇なければ利上げ回数減少も

<エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ケイト・ワーン氏>

予想通りの結果となった。懸念していたのは、ドットチャートが4回の利上げを示し、低インフレにもかかわらず利上げを行い、インフレ上昇が無くても金利をより正常な水準に戻すため、より着実に歩み続ける必要があるとのメッセージが出ないかということだった。

声明では、インフレが予想より低く、インフレが低水準にとどまる限り、行動を起こすことはないという内容だった。

米FRBは指標を注視し続け、インフレ上昇が見られなければ、2018年の利上げ回数が減る可能性がある。こうした方向に転換したとみられる。

ハト派色がやや濃く、メンバー2人が反対した事実も、ハト派的な色彩を若干強めた。

●次期議長の下でも慎重なアプローチ維持

<チェース・インベストメント・カウンセルのプレジデント、ピーター・トゥツ氏>

今回の結果を受け、来年に3回もしくは4回の利上げが実施されるとの市場の見方が変わるわけではない。

インフレに関しては、利上げを実施する前に望ましいとしていた水準近辺にとどまっているに過ぎない。ただ計画通りに行動して、向こう3カ月間にどうなるか見守るに十分な信頼感が経済の中に存在していたのだろう。

経済はこうしたことを正当化するに十分なほど成長しているようにに見える。ただ将来的に一段と速いペースでの利上げがあることを示唆するほど堅調ではない。

イエレンFRB議長がとった非常に慎重なアプローチは継続されている。各種データが同様の動きを見せる限り、次期議長の下でも同じトレンドが維持されると見ている。

●税制改革受けた成長見通し、利上げ決定のベース

<UFXドット・コムのマネジングディレクター、デニス・デヨング氏>

賃金の伸びがなお弱いといった状況下で、本日の利上げ決定に一部メンバーが懸念を表明した。パウエル次期議長が2018年、こうした政策の方向性に同意するかなどを注視していくことになるだろう。

今回の利上げは、トランプ大統領の税制改革を受けた向こう数カ月間の成長見通しに基づく判断とみられる。追加利上げが予想される中、米FRBが今後1年間、どの程度踏み込んだ政策を講じるかが問題だ。

●来年は2回の利上げを予想

<オッペンハイマー・アセットマネジメント(ニューヨーク)の首席投資ストラテジスト、ジョン・ストルツフス氏>

イエレンFRB議長が退任前にあと1回の利上げを決定すると確信していた。これは、イエレン氏、および同氏と考えを同じくする当局者が実権を握っている間は金利の正常化にコミットしているとのメッセージを市場に向け発信するとのFRBの決意の表れと言える。

FRBは市場に出ていた観測に従い、責任を持った対応を見せた。今回利上げを見送っていた場合、大きな衝撃が走ったはずだ。

来年は少なくとも2回の利上げが実施されると予想している。イールドカーブが一段と平坦化するとの懸念から、3回目の利上げは見送る可能性がある。

また、バランスシートを縮小させる代わりに、FRBは中期債利回りを一段と上昇させる方向に動く可能性がある。

*内容を追加して再送します。

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