October 30, 2014 / 12:27 AM / 5 years ago

米FOMCが量的緩和終了:識者はこうみる

[ワシントン/東京 30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は29日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、資産買い入れ額をこれまでの150億ドルからゼロとした。これに伴い、2012年9月に開始した量的緩和第3弾(QE3)は終了した。

 10月29日、米FRBは資産買い入れ額をゼロとした。写真はイエレン議長。ボストンで17日撮影(2014年 ロイター/Brian Snyder)

同時に、世界経済には多くの部分で減速の兆候が見受けられるものの、米経済は引き続き回復軌道に乗っているとの自信を示した。

市場関係者の見方は以下の通り。

●過度な悲観論修正、引き締めは慎重

<みずほ証券・シニア債券ストラテジスト 早乙女輝美氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)で予定通りに量的緩和第3弾(QE3)の終了が決定された。声明では、超低金利政策が「かなりの期間」になるという表現を継続して、フォワードガイダンスの表現を維持。金融引き締めには慎重に向かうことを強調した。一方で、労働資源の活用不足(スラック)が緩やかに解消していることを指摘するなど、経済先行きに自信を示した。

足元の経済指標の堅調さを踏まえると、特に違和感はない。声明はバランスの取れた内容だったが、世界経済の先行き不透明感を背景に強まっていた利上げ先送り観測が浮上していた市場にとって、相応にタカ派的な内容だったのではないか。過度な悲観論に修正を迫られた。そのため、米金利はベアフラットニングし、短中期ゾーンを中心に上昇したのだろう。

次回のFOMCでも、経済の前向きな判断と金融引き締めがゆっくりとしたペースになることが示されそうだ。欧州をきっかけにした世界経済の下振れ懸念を織り込むと、利上げや金利上昇の現実味を意識してくる展開になるのではないか。

●無事通過、企業決算などで日本株の方向性明確化

<SBI証券 投資調査部 シニアマーケットアナリスト 藤本誠之氏>

内容は基本的にはポジティブととらえている。ややタカ派寄りの内容とみられたが、米株は引け際に戻している。市場への大きな影響はないとみられ、無事通過した印象だ。翌日の日銀の金融政策決定会合と、今週末に一度ピークを迎える企業業績の内容を確認することで、日本株の方向性はみえてくる。1万6000円にチャレンジするという展開もあっていい。

今後の焦点は国内要因。特に消費再増税の議論の方向性で、物色の矛先が変わってくる。補正予算の規模次第では、建設周辺株が物色される可能性がある。また再増税の実施を決めれば、さらなる緩和期待も高まってくるとみている。

●明確なドル上昇は時期尚早、経済改善確認の必要

<三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏>   

ほぼニュートラルな結果だった。雇用環境の判断では、為替と債券の相場が反応したようにタカ派寄りにシフトした。一方、株はあまり大きく売られておらず、ほぼ織り込み済みだったと考えられる。株が持ちこたえる限りはドル高であり、今後の経済指標の内容次第、という反応だ。

注目すべきは、利上げ時期やペースの判断について、経済指標の内容に左右されることを強調した点だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)の自由度を拡大したい意図の現れだとは思うが、逆に相場の先行きは不透明感が高まったといえる。市場は、経済指標や要人発言に一喜一憂し、振れ幅が大きくなるだろう。

ドル/円は、110円をしっかり上回って、上方向の明確なトレンドが出るようになるにはまだ時期尚早といえるだろう。経済状況が、現実に利上げ時期が迫るという水準にまで改善することを引き続き確認していく必要がある。

「相当な期間」の文言は、削除や変更を加えたら市場への不測の影響が出かねないとの判断から、手をつけなかったのかもしれない。今後も残す可能性がある。

●米利上げ時期が前倒しの可能性、株価調整を警戒

<みずほ証券 エクイティ調査部 シニアテクニカルアナリスト 三浦豊氏>

QE3(量的緩和第3弾)の終了は予想通りだ。利上げ時期に関しては「相当な期間」との従来の表現を維持しつつも、今後の経済指標次第の面も強調しており、前倒しされる可能性が高まったとみている。米国株にとっては、10月中旬以降の戻りが急だっただけに、二番底を探る展開になるのではないか。米国景気や企業業績への期待感と金融緩和終了との綱引き状態となり、これまでの一本調子の上昇が終わるだろう。

日本株にとっては米金利上昇に伴うドル高/円安は目先の支援材料となるが、最近は円安に対する反応が鈍っている面もあり、米株が調整入りすれば日本株も次第に軟化する可能性は高い。その場合、日経平均は直近安値の1万4500円程度まで下げるとみている。

●世界景気の減速懸念には触れず

<プレビデンティア・ストラテジー、外為ストラテジスト 山本雅文氏>

FOMCで、労働市場の判断が改善されたことにはさほど驚きはない。

ただ、一部のFRB高官が指摘していた世界景気の減速懸念について、明示的に懸念が示されなかったことや、インフレ率については、市場ベースのインフレ期待の低下やエネルギー価格低下からくる短期的な下押し圧力に言及したものの、全体として判断を下方修正しなかったことには意外感がある。

前日は、FOMCの声明文が予想外にタカ派的なものとなり、来年後半へ後退していた利上げ開始期待が来年半ば程度に前倒しとなり、米金利が全般に上昇。これを受けてドルが全面高となった。

しかし、世界景気の減速については、状況は簡単には改善しないとみている。ドル/円の上昇も一筋縄ではいかず、引き続き不安定な値動きとなりそうだ。

● 「株高要因は流動性」が市場の当初反応

<リバティービュー・キャピタル・マネジメントのリック・メックラー社長>

投資家は株価の上昇をけん引してきた要因が、次の2つのどちらなのかを見極めようとしている。景気は本当に好転しているのか。そうであるなら、株価は今後も上昇を続け得る。そうではなくて米連邦準備理事会(FRB)から市場への流動性供給が停止されるだけで、あとは何も残らないのか。その場合、資産価格は下落する可能性が高まる。ここ数カ月間、投資家を悩ませてきたこうした疑問が今、目の前に立ちはだかった。

当初の反応は、市場は企業の増益よりも低金利に支えられていた、というものだった。しかしこれはとっさの反応に過ぎない。こうした見方は今後変わるかもしれないが、最初に浮かんだ考えは「FRBからの資金供給が途絶えれば株価は下がるだろう」だったわけだ。

●近い将来の利上げの可能性残す

<BMOプライベートバンク(シカゴ)の首席投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏>

特に大きなサプライズはなかった。

市場では(利上げの)恒久的な先送りを示唆するような文言が待ち望まれていた可能性があるが、連邦準備理事会(FRB)は、インフレ率が目標の2%を恒常的に下回り続ける可能性はやや減ったとする9月のFOMC声明の文言を繰り返した。

これにより近い将来の利上げ実施の可能性は残された格好だ。ただ、実際にそうなるとは考えていない。

●労働市場の見方改善、一部予想より幾分タカ派的

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏>

労働資源の著しい活用不足に関する文言が削除されたことはうれしい驚きだ。声明では経済情勢に関し慎重かつ楽観的なトーン両方が示され、均衡が取れた内容となった。

ただ、多くのトレーダーが想定していたよりも若干楽観的なトーンとなり、「相当な期間」が意味する期間がやや縮まってきている可能性があることから、株は売られた。

ここ数週間に聞かれたFRB当局者の発言よりも、幾分タカ派的な内容だったと市場は受け取ったようだ。

●政策の道筋に遅れ生じる可能性示唆せず

<シティの米州・G10為替戦略主任、リチャード・コチノス氏>

FOMC声明は、リスクの高まりには言及せず、一段と楽観的かつタカ派的な内容となった。FRBがこれまでに明らかにしてきている道筋に実質的な遅れが生じる可能性が示唆されたようには見えない。

市場は2015年10月の利上げ開始を織り込んでいた。FOMC声明やFRBが用いている文言は、2015年6月を示唆していることを受け、この予想を6月に向けて前倒しする動きとなっており、これはドル押し上げの材料となる。

FRBは政策は経済指標次第としてきており、その方針は声明であらためて示された。

●利上げ近付いたと解釈すべきでない

<インタラクティブ・ブローカーズの首席市場アナリスト、アンドリュー・ウィルキンソン氏>

今回のFOMC声明は、予想されていたほどハト派的ではなかった。緩和縮小プロセスが年末まで継続されるとの予想の根拠になっていた世界的な金融の混乱についての言及がなかったことがその大きな理由だ。

連邦準備理事会(FRB)は、量的緩和(QE)の実施期間を通して労働市場は非常に良好に反応したと基本的に総括した。ただこれは数年間にわたる経過について述べたものであり、FRBが金融引き締めに一歩近付いたと解釈してはならない。

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