March 21, 2018 / 7:59 PM / 3 months ago

米FRB、FOMCで利上げ決定:識者はこうみる

[ニューヨーク/東京 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に引き上げることを決定した。

 3月21日、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを決定した。写真はワシントンで記者会見に臨むパウエル議長。同日撮影(2018年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

──関連記事:米FRBが25bpの利上げ決定、年内3回の利上げ見込む

利上げは予想どおり。今年についてはあと2回、合計3回の利上げを予測しているとした。市場関係者のコメントは以下のとおり。

●年内ハト派、先行きは「根拠なき」タカ派

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル新議長は2月27日の議会証言で、最近の金融引き締めは経済・インフレ等の見通しに対する圧迫要因になっておらず、段階的な利上げがFRBのインフレおよび雇用に関する二大目標達成において最善であるとの見解を示した。このため金融市場では今年の利上げペースが想定より加速するとの懸念が広がった。

しかし、ふたを開けてみると、今回のFOMCの決定事項や記者会見では、そのトーンは鳴りを潜めている。

──関連記事:FOMC声明全文

具体的には、タカ派的だった2月末の議会証言と整合性を取るかのように、2019年以降の利上げ回数を3回から5回へと引き上げ、成長率見通しの上方修正で形を整えたものの、記者会見では2019年以降の利上げ見通しについては「正直に言うと、先行きについては不透明」との心情を吐露した。

来年以降のインフレ加速を警戒しつつも、金融引き締めのスタンスについて極めて慎重であることは、今年の利上げ回数を今回も含めて4回から従来の3回に戻したことからもみて取れる。

年内はタカ派ではないが、先行きはタカ派。しかし、先行きのことは分からない、といったところか。国内総生産(GDP)の見通しを上方修正する一方、インフレの先行き見通しをほとんど変えていないところにも、経済見通しについて自信のなさが垣間見える。

FOMCの結果は、今年4回の利上げで準備していたマーケットには肩透かしとなり、為替市場ではドル売り、そして円買いよりもユーロ買いが顕著となった。株式市場はFOMC直後に250ドル高となったが、利上げの継続性やハイテク関連が引き続き足を引っ張り、前日比44ドル安で引けた。米10年国債利回りも一時2.93%台と1カ月ぶり高水準となったが、買い戻しが入り2.88%まで低下して引けた。

これで金融引き締めの話は一段落した。

今後の金融市場では、FRBがないとしている通商政策による米経済および世界経済への悪影響、減税政策の裏返しとしての米財政赤字拡大に伴う米金利上昇のリスク、米政権の不安定性を巡るリスクなどが、引き続き大きなテーマとしてとらえられていくだろう。

●利上げペースはデータ次第、不透明要因も

<岡三証券・債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>

0.25%の追加利上げや、ドット・チャート(中央値)で示された今年3回の利上げペースは、ほぼ想定された内容だ。緩やかな利上げペースが継続され、短期的な債券相場への影響はほとんどないだろう。

ただ、今年4回の利上げを支持するメンバーがいたため、ドット・チャート上の分布が上方修正された。利上げペースは今後のデータ(指標)次第ということなのだろう。

全体としてバランスを取った内容となったのは、政策への不透明感があったからだろう。トランプ米政権の通商政策に懸念が出ているほか、これまで政権基盤を支えてきた主要幹部の相次ぐ辞任で、政策の実現性に懐疑的な見方が出ていることが影響している可能性がある。

●市場に一定の安心感、米通商政策に関心シフト

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

全体的にはそれほどタカ派的ではなかった。マーケットには一定の安心感を与える内容だ。ニューヨーク市場はドル安、米長期金利低下、米株安で取引を終えた。FOMCの終了を受け、ポジション調整的な動きが出たとみている。トレンドとして継続するといった可能性は今のところは低いだろう。

ドット・チャートは全体的に上方修正され、これだけみればタカ派的だ。一方、パウエル議長の記者会見では、従来の見方が繰り返された。インフレ率見通しは小幅な修正にとどまった。緩やかなペースでの利上げを正当化できる内容だ。もし市場がタカ派的だと解釈していれば、長期金利はもっと上昇し、米国株の下げもきつくなるはずだ。長期金利の動きはとりあえず落ち着いている。米国株も、ほどなく落ち着きを取り戻すのではないか。

為替はリスク回避的な動きはみられないが、ドル/円の方向感も出ていない。日本株に対しては為替の追い風はないものの、米国株が落ち着くこと自体はプラスだ。今後の波乱要因は米国の通商政策。(トランプ米大統領が)中国に対する対応措置を発表すると伝わっており、このあたりがFOMC後のリスク材料となる。

●ドルにはやや失望

<シリコンバレーバンクのシニア為替トレーダー、MINH TRANG氏>

米連邦準備理事会(FRB)の全体的な見通しは、経済見通しが強まったことからタカ派的だったものの、やや期待外れになったようだ。それがドルに対する失望がややみられている理由だ。

FRBのトーンは長期的にタカ派的となお考えており、ドルには強気だ。ただ今年については、ドルの弱気材料が多い。

●経済順調とのメッセージ、株式にプラス

<グロバルト・インベストメンツ(アトランタ)のシニアポートフォリオマネジャー、トーマス・マーティン氏>

今年の利上げ回数は合計3回との予測が現時点では維持された。理由は声明にあるように、経済活動の拡大ペースが緩やかであるため、現時点で4回に引き上げることはなかった。

全般的にみると、経済成長は依然として順調であるとのメッセージであり、この緩やかさが続くとみられ、株式にとっては実に素晴らしいことだ。

●予想と一致、成長率引き上げに株価が反応

<B・ライリーFBR(フロリダ)のチーフグローバルストラテジスト、マーク・グラント氏>

声明は全体的な市場予想とほぼ一致し、株式市場以外に劇的な動きはなかった。株式市場では3回の利上げが織り込まれていたが、それ以上の利上げの可能性が低下したことで安心感が広がった。声明は米経済成長について非常に楽観的な見方を示しており、米アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」の1.8%成長は気に留められていないようだ。FRBが示した経済成長率見通しは2.7%と、昨年12月時点の予想から0.2%引き上げられた。株価はこの成長率見通しに反応したのだろう。米債利回りの上値も限定的だった。全体的にサプライズはなく、イエレン前FRB議長の下で行われた政策が継続している。

●見通し調整、政策運営に一定の余地残した可能性

<アメリプライズのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏>

現時点では、年内3回の利上げというのが最も可能性の高いシナリオと考える。FRBは見通しを微調整した、失業率見通しを改善方向に小幅修正(2018年は前回の3.9%から3.8%、19年は3.9%から3.6%)すると同時に、長期のフェデラルファンド(FF)金利見通しを小幅に引き上げた。

これは、インフレ圧力が増大することなく、失業率がさらに小幅低下する可能性を示している。つまり、追加刺激策によって米経済が年内過熱するかどうかを巡り、FRBが依然様子見姿勢を維持していることを示唆した。

さらに、米経済が年内好調に推移する公算が大きいものの、FRBは政策運営を巡り一定の余地を残したといえる。関税を巡る状況がエスカレートすることになれば、ソフトパッチ(一時的な軟化局面)に陥るリスクも存在しており、FRBは状況がどのように展開するか見極めたいのだろう。

●年内4回の利上げがベースシナリオ

<クレディ・スイス(ニューヨーク)の金利戦略グローバル責任者、プラビーン・コラパティ氏>

予想よりややハト派的だったが、予想と切り離してみた場合、過度にタカ派的でもなく、過度にハト派的でもなかったといえる。

ドットチャートの中央値は動かなかったが、今年は年内4回の利上げが実施されるとの見方を変えていない。年内4回の利上げの予想が示されるまであとわずかな差となっているとみている。このため、年内4回の利上げがベースシナリオであると考えている。

●非常に前向きな景気認識、利上げ年内4回も

<ルートホールド・グループの首席投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏>

米連邦準備理事会(FRB)が非常に前向きな景気認識を持っているということだ。2019、20年の利上げ見通しにも表れている。年内利上げ回数が4回となる可能性も十分うかがえる。

FRBが景気に自信を示したと受け止められ、株式市場は当初上昇した。しかし、追加利上げ観測を背景に債券利回りが上昇し、株式市場に再びある種の不安感を与えた。

●新議長ややタカ派的に任期開始、来年は利上げペース加速

<ジョン・ハンコック・インベストメンツの市場ストラテジスト、マット・ミスキン氏>

この先の利上げに関するガイダンスは当初の予想よりもややタカ派的だった。2019年は利上げペースは加速するものとみられる。ただ今年の予想についてはあまり変化はなかった。

パウエル新議長はややタカ派的なトーンで任期を開始したもようだ。

●新材料なし、パウエル氏は計画に沿うタイプ

<ウェドブッシュ・セキュリティーズのマネジング・ディレクター、スティーブン・マソッカ氏>

25bpの利上げに加え、年内約3回の利上げ見通しと、新材料は何もなく、驚きもない。米債利回りも過去最高を下回る水準で推移している。

雇用もしくはインフレ関連指標が非常に力強い内容となれば、今年4回の利上げが実施される可能性もあるが、そのようなシナリオになることはないだろう。パウエル議長は「計画を台無しにしない」タイプと考える。

私の予想では、FRBは2-2.25%に引き上げた後、状況を見極めようとすると考える。インフレ率が3-4%に上昇したことを示す指標が2、3回確認されれば、FRBは一段と積極的に行動することになるだろう。

●ゴルディロックス健在

<FTSEラッセル(ニューヨーク)の国際市場調査部マネジングディレクター、アレック・ヤング氏>

米連邦準備理事会(FRB)が示した最新の経済見通しは、当初の予想ほどタカ派的な内容とはならなかった。全般的に投資家らは、FRBが景気拡大に依然自信を抱く一方で、金利の段階的な引き上げを続ける用意を示したことを好感している。ゴルディロックス(適温)の状態は健在といえる。

*内容を追加して再送します。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below