June 13, 2018 / 7:50 PM / 5 months ago

FOMCで利上げ決定:識者はこうみる

[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は13日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.75─2.00%に引き上げることを決定した。また、今年についてはあと2回、合計4回の利上げを予測しているとした。

 6月13日、米FRBは25bpの利上げを決めた。写真は記者会見に臨むパウエル議長。ワシントンで同日撮影(2018年 ロイター/Yuri Gripas)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●米金融政策、中立から引き締めも視野に

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>

今回のFOMCでは、メンバーのインフレ見通しが引き上げられたことが印象的だ。コアPCEの今年の見通しは昨年9月から3回にわたり1.9%で据え置かれていたが、今回2.0%に上方修正した。FRBは物価が2%を超えてくることを容認する姿勢を見せている。

政策金利は来年2回の引き上げによって中立金利と同水準となる。

米国はリーマン・ショック以降、異例の金融緩和政策を実施してきたが、今回のFOMCでは、金融政策は中立圏に移行しつつあることが示されたと考えられる。そして、来年予定通り3回の利上げが実施されれば、中立金利を上回って、引き締め局面に入ることになる。

金融市場はこれまで長い間金融緩和状態に慣れ親しんできたので、中立から引き締めへの転換にはFRBとのコミュニケーションが欠かせない。

来年1月以降、パウエル議長が毎回のFOMC後に記者会見を実施することが発表されたが、これにはコミュニケーションを充実させる意図もあるのかもしれない。

為替相場に対する示唆としては、長いトレンドで見た場合、先進国の中で唯一金融政策の正常化に成功しているドルが強くなるだろう。

●金融政策も刹那主義、米国第一主義

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

パウエルFRB議長は、2018年の景況感の上方修正についても、年内の利上げ想定回数が増えたことについても、現在の延長線上にあり、たいした変化は無いという淡々としたスタンスに終始した。

「フォワードガイダンス削除に適切な時期」、「利上げのペースは遅すぎても早すぎてもよくない」、「2%超えのインフレには右往左往しない」などの発言は、その淡白さを表している。

一方で、米国の金融引き締めの他国への影響、例えば、新興国市場の不安定化などは、今回も考慮に入れていない。

通商問題に関して、パウエル氏は「通商問題はわれわれの専管事項ではない」と断りを入れたうえで、懸念するようなことは数字には表れていない、と突き放した。

先週末のG7首脳会議、今週の米朝首脳会談、FOMCという一連のイベントから見て取れるのは、自分さえ良ければいいという米国第一主義の価値観であり、先々何か起きたときには、その時に考えるという刹那的なスタンスだ。こうした姿勢のツケは、最終的には、米国に跳ね返り、米国自らが支払うことになるだろう。

金融政策については、2019年に2回の利上げで中立金利に到達することになり、予定通りに進めば、金融引き締めは、そろそろ終わりが見えてきたということになる。したがって、金融市場は米国の金融政策をそれほど材料視しなくなるだろう。

注目されるとすれば、利上げ回数が想定よりも減っていく場合となるだろう。

●米金融政策にバランス感、財政・貿易「ノイズ」が日本株左右

<野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏>

3月の会合と比べればタカ派的だった。ただ資産市場の反応をみる限り、派手に動いたわけではない。米国株も3指数そろって下落したが、引けにかけては中国に対する関税措置を巡る報道で押し下げられた。

パウエル議長の会見からは、米国の実体経済が良好であるという一貫した姿勢が確認できる。米国の金融政策が実体経済に対しバランスのとれたものとなっているからこそ、米国市場の反応も比較的軽微なものとなったのだろう。

利上げペースが速まることが確定的となったことで、日米金利差によるドル高・円安の確度が高まった。これは日本株にプラスの要因となる。一方、米中間での貿易を巡る非難の応酬の長期化や、トランプ大統領が打ち出す政策に伴うインフレ加速への懸念が株式市場のリスク要因となる。

実体経済と金融政策のバランスを崩すような財政・貿易面でのノイズが入れば、米国企業の業績への懸念が強まり、バリュエーションの高い企業の株価が売られることとなる。そうなれば日本株にも悪影響をもたらしかねない。

来年の米国の利上げ回数については景況感次第だ。今後の重要経済指標で実体経済の過熱感を示唆する数字が出れば、実体経済と金融政策のバランスが崩れる可能性もある。そうなった場合は新興国に対する慎重な見方も強まりそうだ。

●9月の0.5%利上げもあり得る

<リソース・クレジット・インカム・ファンド(ニューヨーク)のポートフォリオ・マネジャー、マイク・ターウィリガー氏>

今回の決定をもって2018年の4回利上げは基本シナリオとして固まった。全米でサプライチェーン(供給網)の逼迫が確認され、とりわけ運送業では各企業とも人材の確保が非常に困難な状況となる中、インフレ圧力はまだ完全に表面化していないと考えられる。企業が当該コストを消費者に転嫁することでインフレ圧力が今後高まれば、9月の0.5%ポイント利上げもあり得る。

米金融政策の影響などにより、新興市場国の信用のボラティリティーは過去数カ月間で高まっているものの、FRBのスタンスは漸進的なタカ派姿勢を示しており、ブレていないといえる。

●米利上げ加速予測、新興国市場見通しに影

<スタンダード・チャータード銀のマクロストラテジスト、イリヤ・ゴフシュテイン氏>

ドットチャートで示された2019年の金利見通しは大きな驚きだった。市場は長期的に利上げペースが加速するとの見通しに反応しており、ドルが幅広い通貨に対し上昇していることは驚きではない。

米利上げ加速は新興国資産には悪材料だが、新興国資産の幾分売り疲れの感もあり、現時点で新興国通貨にさほど大きな動きは出ていない。

ただ、今回のFOMCでタカ派なサプライズが示されたことは確かで、新興国市場の見通しは厳しさを増すことになる。

●文言削除はタカ派的=クラリティFX

<クラリティFX(サンフランシスコ)のディレクター、アモ・サホタ氏>

米連邦準備理事会(FRB)は今回の声明で、金利は当面は中立水準にとどまるとの文言を削除した。これはよりタカ派的だ。

今回は利上げが決定され、ドットチャートでは年内あと2回の利上げがあるとの予想が示された。FRBは必ずしもこれに従うわけではないが、市場はこれに反応している。

金利は中立水準を当面下回るとの文言を削除したこと自体がややタカ派的と言える。これに呼応し、外為市場ではドルが上昇しているが、それほど大きな動きにはなっていない。

●来年以降の利上げ見通しは変わらず

<グロバルト・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、トーマス・マーティン氏>

すべてが予想にぴったり一致した。それが市場に動きがない理由だ。(今年の利上げ回数は)4回との予想もあったので、全く驚きではない。私の考えではやや多いと思う。

米連邦公開市場委員会(FOMC)会合中に2つの強いインフレ指標が発表された。過熱感はないが、なお適度な上昇で、利上げ実施はまさに正しい対応だった。年内あと2回の利上げは驚きではないが、来年以降については変えなかった。(議長会見では)その部分の発言が最も興味深い。

●記者会見毎回実施でフェドウオッチ活性化

<ロックウッドアドバオザーズ(ペンシルベニア州)の最高投資責任者(CIO)、マシュー・フォレスター氏>

市場の予想通りだった。12月利上げについては幾分か疑問視されていたが、連邦準備理事会(FRB)はその計画を堅持するように見える。

FRBが引き締めを継続する中、毎回の利上げはリスク資産市場、および実体経済による消化が難しくなる。

FRBが(来年1月から)毎回のFOMC後に記者会見を実施するとしたことで、フェドウオッチが再び活性化する。毎回のFOMCを注視する必要が出てくる。

●年内あと2回利上げ示唆は意外

<サビルス・スタッドレー(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ヘイディ・ラーナー氏>

連邦準備理事会(FRB)が今回の利上げに続き年内はあと2回の利上げが実施されるとの見通しを示したことは意外だった。

米経済成長率は2.8%と、0.1%ポイント上方修正されたのみで、PCE(個人消費支出)の上昇率が2.1%と予想される中、これは予想外だった。

FRBは今回の声明で政策は緩和的であり続けるとの文言は維持した。ただ、年末までに(フェデラルファンド金利誘導目標が)2.4%まで引き上げられれば、FRBが長期金利と見なす水準まであと50ベーシスポイント(bp)のところに迫ることになる。

●年内4回の利上げ予測に失望感、ECB・日銀の引き締め注視

<ウェドブッシュ・セキュリティーズのシニアバイスプレジデント、スティーブン・マソッカ氏>

年内計3回でなく、4回の利上げを想定したことは失望感を誘った。今回の利上げはほぼ確実視されていた。年内は9月に追加利上げが実施され、それで終了する可能性があるとみられいたが、そうではなさそうだ。

金利上昇は投資の競争を高めるほか、経済成長を減速させる恐れもあり、株式市場にとっては良いニュースではない。

海外の動向にも目を向けるべきで、(FRBがすでに利上げやバランスシートの縮小を開始していることを踏まると)欧州中央銀行(ECB)や日銀が引き締めを開始すれば、より大きな影響が及ぶ可能性がある。

*内容を追加して再送します。

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