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米FOMC、10月に資産圧縮開始へ:識者はこうみる
2017年9月20日 / 19:41 / 3ヶ月前

米FOMC、10月に資産圧縮開始へ:識者はこうみる

[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は20日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。また、市場の予想通りにバランスシート(約4兆2000億ドル規模)の縮小に、10月着手することも決定した。

 9月20日、米FOMCは金利据え置きを決定した。写真は記者会見に臨むイエレンFRB議長。ワシントンで同日撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●コナンドラムからミステリーへ

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

米連邦準備理事会(FRB)は予定通りバランスシートの正常化に向けて、小さな一歩を踏み出した。資産圧縮計画も利上げもブレることなく続けていく、という気概を見せた。

しかし一方で、景況感がFF金利の引き下げでは十分に対処できないほど「著しく悪化」した場合には「資産買入れの再開」もあり得る、保有債券の再投資を「政策の道具箱に入れておきたい」とイエレン議長は述べている。念のためとは言うものの、揺らぎがみてとれる。

バランスシート正常化の工程表がいかに小さな店じまいに過ぎないかは、削減額の少なさに示されている通りだ。保有債券額を概ね維持しつつ、利上げを続けることで、今後の景気減速時の利下げバッファーを作っておきたいとの意図があるのだろう。

ただ、FRB理事や地区連銀総裁が示した「ドットチャート」では、政策金利見通しの中央値が2019年と長期(longer-run)で引き下げられている。これは、利上げ路線が限界を呈すると自らが認めているようなもので、自信の無さが表れている。

今回のFOMCで最も判断が揺らいでいるのがインフレの見通しだ。

2005年2月にグリーンスパン元FRB議長は、利上げをしているのに上昇しない長期金利を「コナンドラム」と称したが、学究肌のイエレン議長は、インフレ率低迷の背景についての言及を避け、一向に上がらないインフレ率について、ひねりのない「ミステリー」という言葉で表した。

これらの「謎」は、リーマンショック以前から観察されているもので、モノがあふれた世界において、経済成長の余地は限られ、インフレ率も金利水準も上がりにくいという構造変化が謎の背景にあると考えられる。

他方、金融市場は、リーマンショックという金融バブルの破裂を挟んで、性善説から性悪説に変化を遂げた。金融当局としては、量的緩和を放置すれば、その副作用として、市場がバブルを助長するのを促してしまう。このため、金融市場に一定の足かせをはめるべく、様々な矛盾を抱えつつも、金融政策の正常化に踏み出した。

ミステリーを解く鍵が、こうした経済や金融市場の構造変化にあることを、グリーンスパン、イエレン両氏は百も承知だと思われるが、将来の明るい経済像が描けない中、中央銀行は、世界は何も変わってない、大丈夫と言い続けるセラピストのような役割を担うようになったのかもしれない。

●米金利上昇、遠からず止まる

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

物価見通しが下方修正になるなかでの利上げというのは、「逆噴射の利上げ」とみており、無理がある。 

イエレンFRB議長も記者会見で今般のインフレ率の鈍化については、一時的要因でない部分があり、広範な要因があることを認めている。

総合的に判断して、ドット・プロット(今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)だけをもって、12月の利上げを決めてかかるのは、過剰反応と考えている。むしろ、個人的には年内利上げが見送られる可能性が高いとみている。

グローバルなカネ余りが変わっていないなかで、米国債に投資妙味が出ているので、米金利の上昇は遠からず止まると思う。金利が上昇した場面では押し目買いが入るだろう。

●予想内だが、若干タカ派的

<大和住銀投信投資顧問・経済調査部部長の門司総一郎氏>

FRBはバランスシートの縮小に10月に着手することを決め、年内追加利上げを想定していることを示唆した。これらは予想の範囲内だが、来年3回の利上げ見通しも変わらず、若干タカ派的という印象だ。

ハリケーン被害の影響も一時的とし、米景気についての見方も変わらない。一方、長期の金利予測は引き下げており、長期的なドル高・円安進行は期待できないことになる。ただ、2─3カ月は円安方向と見られ、年内は1ドル=115円ほどまで円安が進むと想定される。

日経平均はアベノミクス後の最高値である2万0952円は抜けてくるだろう。まだ慎重な投資家も多いので、それらの人たちがドミノ倒しのように慎重から強気に変わっていくことによって、年内2万3000円もあり得る。

今回のFOMCの結果を受け、20日の米国株式市場では銀行や保険株が上昇し、IT関連が下落した。直近数カ月は逆の流れだったが、リバーサルが起き始めている。この傾向は今後も続くとみられ、日本でも物色対象は電子部品などから出遅れていた金融株に移るだろう。

●議長の経済リスク均衡発言などに注目

<TDアメリトレード(シカゴ)のトレーディング部ディレクター、ビクター・ジョーンズ氏>

株式市場では次の2点に反応した。まずイエレン議長が経済へのリスクは双方が均衡していると発言したこと。これは経済全般に対する前向きな判断がやや薄れていることを表している。次に結果発表を受けドルが上昇したこと。FRBがロールオフ(債券の償還金を再投資せず償還するに任せること)の開始を発表したことや、引き続き12月利上げの可能性に含みを持たせたことが要因だ。

金利据え置きは想定内だったが、FRBのトーンをうかがい知ることはできなかった。市場では多少タカ的だが過度にタカ派的ではないと解釈されている。

●短期債利回り反応、年内利上げ確率高まる

<アメリプライズ・ファイナンシャルの首席市場ストラテジスト、デイビッド・ジョイ氏>

短期債利回りの直近の反応から判断すると、市場参加者の多くはFRBが年内に3回の利上げ実施できないと考えていたようだ。そのため、幾分調整が入っている。

一方、今回のFOMCの結果は米経済が底堅く推移しているとの見方に沿っており、株式相場への影響は限定的になると考える。

●正常化に向けた新たな一歩

<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

FRBはバランスシートの段階的な縮小に来月着手することを発表し、見通しと政策ガイダンスの見直しを限定的にとどめ、正常化に向けまた新たな一歩を踏み出した。

●メンバーの大半、年内追加利上げ投票へ

<ウェルズ・ファーゴ・アセット・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ヤコブセン氏>

FRBのバランスシートがついに転換点に差し掛かりつつある。10月からバランスシートの規模を徐々に縮小させるが、債券利回りに大きな影響を与えないよう緩やかに行われるだろう。

予想によると、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの大半が、年内の追加利上げに票を投じる用意を示唆している。

債務返済費用が次第に上昇すると人々が懸念すれば、バランスシートがクリーンな企業への投資により注意を払いたいと考える可能性もある。

●タカ派的、12月利上げの確信高まる

<アリアンツ・インベストメント・マネジメント(ミネアポリス)の投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏>

バランスシート縮小着手を発表したことは、FRBにとり重要な一里塚となる。

ただ市場はこれよりもドットチャートに注目していた。2017年のメディアン・ドットには変更がなかった。これにより、12月に年内3回目となる利上げが実施されるとの見通しにこれまでより確信が持てるようになった。

2018年にも変更はなく、3回の利上げが想定されている。これは政策の正常化は順調に進展するとのややタカ派なメッセージを市場に送るものだった。

イエレンFRB議長が来年2月に任期切れを迎えるなど、FRBの陣容に変化があることを踏まえ、割り引いて考える必要はある。ただそれでも今回のFOMCはやややタカ派的だった。

●12月利上げの可能性、市場に浸透へ

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

ハリケーンに伴う一定の打撃を見込みつつも、マイナスの影響は最終的に小幅にとどまるとの見解を示したことはタカ派的だ。FRBが12月に利上げを実施したい考えであるという現実が市場に浸透し始めるのではないだろうか。

●FRB、なお変心の可能性

<アバディーン・スタンダード・インベストメンツの投資ストラテジスト、ルーク・バーソロミュー氏>

FRBは、12月利上げの可能性が残っていると強く示唆した。しかし、FRBが判断を変える時間はまだ残っており、今回示された見通しを投資家が過度に信じることは難しいとみる。

FRBは明らかに、失業(率)の低下がいずれインフレ加速につながるとの判断を維持している。だが。インフレがアンダーシュートし続ければ、利上げ方針維持を予想するのは困難だ。

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