September 26, 2018 / 8:35 PM / 3 months ago

FRB利上げ決定、「緩和的」政策の終了示唆:識者はこうみる

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は26日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に引き上げることを決定した。利上げは予想通り。決定は全会一致だった。

 9月26日、米FRBはFF金利の誘導目標を2.00─2.25%に引き上げることを決定した。写真はワシントンで記者会見に臨むパウエル議長。同日撮影(2018年 ロイター/Al Drago)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●利上げ打ち止め示唆、時期と水準に言質与えず

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

FOMCは0.25%ポイント利上げを実施し、FF金利は2.00-2.25%と10年振りの2%越えとなった。さらに「金融政策のスタンスは依然として緩和的」との文言が削除された。

一部の市場参加者は、足元の異様に強い経済指標を受けて、タカ派的な見通しが今後の利上げ回数の増加として現れると予想していた。しかし、実際には足元のGDPが上方修正されたのみで、インフレ見通しは前回同様。そして、FRBの利上げ後にトランプ大統領からは「(利上げを)快く思っていない」との感想が漏れてきている。

今回の会合の特徴は、タカ派トーンが影を潜めた前回のFOMCを踏襲し、引き締め局面が第4(最終)コーナーに差し掛かったことをFOMC自身が認めたことにあるとみている。

実際、FRB理事・地区連銀総裁によるFF金利誘導水準の見通しでは、2020年での利上げ打ち止めが示唆されている。

また、今回から新たに加わった2021年末の金利見通しでは、中央値は2020年末と同じ3.375%だが、最頻値でみると2020年末より0.25%ポイント低く、1回分の利下げが想定されていることになる。

とはいえ、19-21年末の金利見通しは、長期金利(Longer run)の水準を上回っており、FRBが中立金利を超える水準まで利上げを続けるつもりなのか、FRBの本音は中間選挙の後にしか見えてこないだろう。

今回はパウエル議長の用意周到さ、慎重さも目を引いた。

「過去10年を振り返ると、(米経済が)とりわけ輝かしい局面にある」とする一方で、8月から急に気に掛け始めた通商問題について、現在表面化している悪影響は相対的に小さいとしつつも、「企業が先行きに自信を失えば投資が減るかもしれない」とし、他国に悪影響が及ぶ可能性にまで言及した。

もちろんこれは、利上げ反対の大統領への配慮からくる分析結果なのであろうが、一方で、今の輝かしい状態がピークとなる可能性も見据えているようだ。

記者会見でのパウエル氏は、そもそも2020年、2021年の金利水準、ひいては金融政策のスタンスも全ては不確かとも述べている。

こうしてあらゆる可能性の先回りで備える議長がただの狸なのかどうかは、中間選挙直後の11月7-8日に予定されている次回のFOMCで、早ければ確認できるのかもしれない。

●政策金利が中立水準に近づく

<みずほ証券・チーフ債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文で「緩和的」の文言が削除された。パウエル議長は「金利の道筋を示したものではない」と説明したが、政策金利が中立水準に近づいているとの認識を市場に与えた。

ドットチャートは中央値に変化は見られなかった。しかし、20年の分布をみると、従来から二極化が進んだ。3.625%のドットが6個に増えた一方で、3.125%以下のドットも増加。ハト派の参加者が前回より低い水準での利上げ打ち止めを見込んでいることがうかがえる。また今回から追加された21年末の分布は、中央値が20年末と同様の3.375%で、中央値だけを見れば、政策金利据え置きが中心的な予想ということになる。

市場は引き続き来年2回程度の利上げしか織り込んでいない。ドットチャートよりも早期の利上げ停止を想定しているとみられている。FRBと市場の乖離は、インフレが加速感に欠ける中で、中立金利以上に政策金利を引き上げることに対する市場の根強い懸念を反映したものと考えられる。

来年は複数のハト派委員に投票権が回るなど市場の見方をサポートする材料もある。米長期金利は、継続的に上昇する可能性が低く、当面2.7─3.1%のレンジで推移するのではないか。

●利上げ継続の根拠みえず=サビルズ

<サビルズPLC(ニューヨーク)の主任エコノミスト、スタドリー・サビルズ氏>

米連邦準備理事会(FRB)は失業率が2021年にかけて長期水準の4.5%を下回り続ける見通しとする一方、コアインフレの加速はまったく見込んでいない。それにもかかわらず足元から2021年末までに1%ポイントの追加利上げを想定している。

これはいささか筋が通らないと思われる。コアインフレが目標の2%に近いと見られ、潜在率を超える成長が物価上昇に寄与していないのなら、長期水準である3%を超える水準まで利上げを継続する根拠はどこにあるのだろうか。

●「緩和的」文言削除、「レッセ・フェール」到達への自信

<テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、フアン・ペレス氏>

パウエルFRB議長はこれまで、米経済はもはやFRBの介入を必要としていないとの見解を示してきたが、FRBはこの見解に沿った行動をとっている。

緩和的な環境を維持する必要性があるとの文言を削除したことは、将来的に「レッセ・フェール」的な状況に達することに対する自信を示している。

●大統領の利上げ打ち止め要請拒否

<BライリーFBR(フロリダ州フォートローダーデール)のマネジング・ディレクター兼首席グローバルストラテジスト、マーク・グラント氏>

今回のFOMC声明は予想のちょうど中間あたりに位置している。年内は12月にあと1回の利上げ、来年は2回の利上げがあるとの市場の見方に変わりはない。

何か予想外のことを挙げるとすれば、声明の文言から「緩和的」との文言が削除されたことだ。声明では経済は力強いと何度も指摘されている。

FRBは明言はしていないが、トランプ米大統領の利上げを打ち止めにするようにとの要請を明らかに退けた。

政府が減税などにより景気浮揚を図っている一方で、FRBは利上げにより景気の減速を図っている。政府と中銀が反対の方向に進もうとしているのは、個人的にはかなり奇妙な状況のように見える。こうした状況がどの程度継続するのか見守りたい。

●「緩和的」削除は中立金利に近付くとのシグナル

<アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア市場ストラテジスト、チャーリー・リプレー氏>

FOMC声明から「緩和的」という文言が削除されることは広く予想されていなかったと考える。FRBは、金融政策が以前ほど緩和的でなく、中立金利に近付きつつあるとのシグナルを市場に発した。

声明の文言を念頭にFOMCメンバーの金利見通しを示すドットチャートを見ると、景気判断に関する文言は前回会合からほぼ変わっていない。FRBは、財政刺激が一因となり、経済成長と労働市場の状況が力強く推移していることを確認している。

ただ、中立金利が3─3.5%に上昇するとの見方は市場には織り込まれていない。2020年以降に関して言えば、FRBと市場の見通しに大きな乖離がある。

●景気軟着陸への自信確認

<バンガード・グループの米州首席エコノミスト、ロジャー・アリアガディアス氏>

FRBがこの日公表した内容は、利上げ予想の中央値に変化はなく、2021年の予想も新たに加わった。今後3年間にわたるより長期のトレンドに向け、FOMCは景気動向の鈍化を予想した。

景気後退を招くことなく、軟着陸に導く能力にFRBが自信を持っていることが確認できたとみている。

「緩和的」との文言が削除され、幾分タカ派的なメッセージが金融市場に伝わった。

当社は、すでに労働市場が引き締まり、インフレにより長期の下向き圧力が掛かったと評価しており、年内あと1回、来年は2回の追加利上げ予想を維持する。

●ハト派的な利上げ、引き締めサイクル終了に近い公算

<ハリス・フィナンシャルグループ(バージニア州リッチモンド)のマネジング・パートナー、ジェイミー・コックス氏>

ハト派的な利上げだった。焦点はFRBがあとどの程度の期間にわたり利上げを継続するかということから、最終的な金利水準に移っている。

利上げサイクルが終了に近づいている公算が大きく、これは歓迎すべきことだ。FRBは現時点から先は利上げが懲罰的な意味合いを持つと考えている公算が大きい。

●「緩和的」文言の削除、ハト派シグナル

<TD証券(トロント)の北米外為戦略部門責任者、マーク・マコーミック氏>

FOMC声明から「緩和的」との文言が削除されたことについて、個人的にはハト派的なシグナルだったと受け止めている。

これはFRBが多かれ少なかれ中立的なスタンスであることを示している。あと数回の利上げがあるとの予想が示されたものの、利上げは打ち止めに近い可能性がある。

●来年の引き締め終了示す初期兆候

<ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏>

金融政策を巡り「緩和的」との文言が外されるかが注目された。

金融政策が緩和的でなくなり、中立金利に向かいつつあると連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらが認識していることを示す可能性が声明からうかがえた。

現在の引き締めサイクルをおそらく来年終了させることを示す初期兆候と受け取れた。今日の主要ポイントの1つだ。

*コメントを追加します。

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