June 29, 2015 / 12:53 AM / 3 years ago

ギリシャ交渉決裂、高まるデフォルト危機:識者はこうみる

[東京 29日 ロイター] - ユーロ圏の財務相がギリシャが求めていた金融支援の延長を拒否し、交渉は決裂。国際通貨基金(IMF)に対する30日の債務返済をギリシャが履行できない可能性が高まった。市場関係者の見方は以下の通り。

 6月29日、ユーロ圏の財務相がギリシャが求めていた金融支援の延長を拒否し、交渉は決裂。国際通貨基金(IMF)に対する30日の債務返済をギリシャが履行できない可能性が高まった。写真はギリシャ議会。17日撮影(2015年 ロイター/Yannis Behrakis)

<バークレイズ銀行 為替ストラテジスト 門田真一郎氏>目先の相場は方向感がつかみにくい。ギリシャでは7月5日の国民投票を前に先行き不透明感が強まっている上、今週は米雇用統計や米ISM指数など重要な経済指標の発表を控えており、ボラティリティが高まりそうだ。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が利上げの判断は経済指標次第だと強調しているだけに、米経済指標の内容に対してドル/円は素直な反応が出やすい一方、先行き不透明感の強いギリシャのヘッドラインが短期的に悪影響を及ぼしやすい。

国民投票では債権者側の提案が受け入れられるかどうか、予断を許さない。受け入れられるならギリシャ政府が方向転換し、あらためて交渉し直しとなるだろうが、チプラス首相が主張しているように受け入れ拒否となるリスクも残っているだろう。

今朝のオセアニア時間の相場を見ると、リスクオフの下では、ドルと円が安全通貨として買われやすいことがあらためて確認された。足元では、ドルより円の方が買われやすくなっており、ドル/円は下押しされやすいかもしれない。

<大和証券 日本株シニアストラテジスト 高橋卓也氏>

先週末の夕方よりも対ドルで円高が進行したが、足元では122円台でとどまっている。一方的にリスクオフというところまでは踏み込み難い部分があるのではないか。目先のところで日経平均は2万円から2万0500円の間まで下落するとみられる。だが、そこから下に行く動きも見込みにくい。今後のギリシャ政府、債権団の双方の対応を見極める動きとなるだろう。

一方、2011年の欧州債務危機の頃と比べるとセーフティーネットは拡充されているとみられており、直近のギリシャ問題が欧州経済全般に対して壊滅的な影響を与えるのかというと、そうとも言い切れない部分がある。日本株のファンダメンタルズ自体は良好であり、仮にギリシャがデフォルト(債務不履行)となっても、日経平均が2万円を割れた水準で長期にわたって定着する形にはならないと思う。

<上田ハーロー 外貨保証金事業部長 山内俊哉氏>

ギリシャはユーロ圏の財務相に金融支援の延長を拒否され、月末に控える国際通貨基金(IMF)への16億ユーロの債務返済が滞る可能性が出てきた。市場はぎりぎりでギリシャと債権団が合意すると楽観視していただけに、交渉決裂のショックが大きく、オセアニア市場でユーロ売りが先行している。一時、ユーロは1.100ドルを割り込み、ドル/円は122円前半まで下落する動きを見せた。

欧州市場に入ってどう動くかは見えにくいが、東京市場では株価の下落もあると思われ、まずはリスク回避の円買いという動きが出てくると思う。

今後、ギリシャのユーロ離脱の動きが本格化した場合、加盟国の離脱というユーロにとっては未知の領域に入る。英国でEUを離脱する機運が盛り上がるおそれもあり、一段のユーロ売りに繋がる可能性がある。リスク回避が強まった場合、ユーロ/ドルの下値は1.0500ドル近辺か。ドル/円は、円が買われると同時にドルも買われるので、下押しされても121円程度で止まるイメージがある。

ギリシャは債権団の提案の是非を問う国民投票を7月5日に実施する予定。国民が債権団の条件を受け入れることを選択するのであれば、もう一度交渉という可能性も残っていそうだ。

<JPモルガン・チェース銀 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏>

先週までは、ギリシャ情勢が悪化すると、ユーロキャリー・トレードの巻き戻しが進み、ユーロがむしろ買い戻される場面が見られた。しかし、きょうはユーロ売りに拍車がかかり、円の独歩高となっている。

ギリシャ情勢の深刻化がドル/円相場に影響する筋道として、まず独国債利回りが低下し、それが米国債利回りを押し下げ、日米金利差縮小によってドル/円相場に下方圧力がかかるという経路が考えられる。

目下、日米2年物スワップと整合的なドル/円は120代前半であり、今後、独金利低下を受けて米金利が一段と低下するようなら、ドル/円が一段安になる可能性が高まるだろう。

ただ、現時点で当社は、ギリシャ国民投票では債権者の財政再建案受け入れが支持され、チプラス首相が辞任し、挙国一致内閣が組織され、債権者との交渉に当たると予想している。

もし、国民投票で再建案の受け入れが拒否された場合には、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性が高まるとみている。

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

ギリシャ債務問題に関しては、週末に何らかの合意があり、週明けはポジティブな方向で目安がついているという見方が多かった。ただ、現実に起きたことは、ギリシャの銀行の休業と資本規制導入、欧州中央銀行(ECB)の緊急流動性支援(ELA)を現行の水準に据え置くなどマーケットが考えていたことと、逆方向になった。

ギリシャ情勢の不透明感が強まり、安全資産とされる米独国債にポジティブに働くことになるだろう。この海外金利の連動性という面から円債金利も低下しやすくなるという見方につながっている。

今後はギリシャ情勢が周辺国にどのように波及するかという懸念が先行するような形になるのではないか。ECBが国債買い入れペースを速めたり、流動性確保の動きに出ると、ユーロ圏のコア国の金利を押し下げることが想定できる。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

ギリシャが求めていた金融支援延長を債権団が拒否したことで、ギリシャが債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が出てきた。ユーログループの声明文などを見る限り、支援失効後もサポートするかのような表現も見受けられ、もはや6月30日のIMFに対するデフォルトはメーンシナリオになりつつある印象を受けた。リスク回避で早朝からユーロ売りが強まったが、現段階ですべて織り込まれたとは言えず、海外時間にかけて欧米の株価などの反応を見極める必要がある。

 ギリシャ首相はこのほど国内銀行の休業と資本規制導入を表明したが、債権団との交渉決裂自体より、それによって引き起こされたこうした動きの方が深刻に感じる。そもそもギリシャがユーロ圏を離脱する時には銀行が閉鎖され、資本規制が行われるのが第一歩だと言われていた。この動き自体は真剣に受け止めたほうがいい。

一般的に資本規制は解除までに時間を要することが多く、2013年に導入したキプロスは2年かかり、08年に導入したアイスランドはいまだに解除できていない。可能性は低いとみているが、資本規制が長引けば、ギリシャ国内で独自の通貨をもったほうがいいという議論が出てくるおそれもある。

金融市場としては、7月5日の国民投票が終わるまで、ユーロ売り、円買い、ドル買い、株売りという動きになりやすい。事前報道では、債権団が金融支援の条件としている緊縮策を受け入れるという国民が多いようなので、ギリシャのユーロ圏残留が決まった場合は、ユーロ圏のファンダメンタルズを評価したユーロ買いも出てくるのではないか。

<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>

ユーロ圏の財務省がギリシャの支援延長要請を拒否した結果、ギリシャで資本規制が導入された。これで誰が困るのかと言われればギリシャ国民であり、ユーロ圏残留を望んでいるギリシャ国民は、金融支援の条件を受け入れざるを得ない。7月5日の国民投票で支援条件が支持されれば、チプラス首相は辞任に追い込まれ、新政権が誕生するだろう。しばらくは混迷が続くが、落ち着きどころは見えており、極端なリスクオフにはならない。

日経平均は条件反射的な売りに押され、一時500円を超す下げとなった。ただ2年前の欧州債務危機と異なり、今回はギリシャ単独の話との見方が強いうえ、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和というセーフティネットもある。ギリシャが債務不履行(デフォルト)となれば、もう一段の下げは想定されるが、日経平均2万円が目先の下値めどとして意識されるだろう。

<SMBC日興証券 金融経済調査部 米国担当エコノミスト 丸山義正氏>

財政問題が焦点となった2011―2012年のユーロ債務危機時と、現在のユーロ圏の体制は大きく異なっている。

現在では、財政問題を抱えた国に対する恒久的な支援措置が存在し、大手行の銀行監督もECBに一元化されるなど、ユーロ圏では危機に備えた種々の制度整備が進捗し、金融システムの安定化を図る能力も顕著に高まっている。また、ECBの量的緩和もユーロ圏の国債市場の安定に寄与すると考えられる。

以上から、ユーロ周縁国へのギリシャ問題の感染リスクは、ユーロ債務危機時に比べて、相当に低い水準にあると判断できる。

加えて、ギリシャ問題のユーロ圏周縁国への金融システムを通じた波及が懸念された依然と異なり、現在はギリシャに対する債権者のほとんどはユーロ圏の各国政府を中心とする公的機関であり、民間の債権債務関係を理由にした連鎖的な問題の波及はほとんど予想されない。

結論的には、銀行休業や資本規制の実施により、ギリシャ国内の混乱は深刻化する可能性が高いが、その混乱が金融市場を介して他国に拡大する余地は限られるだろう。

金融市場で、ギリシャを発端としたリスクオフの潮流が長引くとは思わない。ユーロは今後徐々に下落するとみているが、きょうのような円の独歩高が長期化する可能性は低い。

<クレディ・スイス証券 チーフエコノミスト兼経済調査部長 白川浩道氏>

ギリシャをめぐる事態はやや流動的になったが、ギリシャ危機が大きなリスクイベントとなる可能性は引き続き低いとみている。

今回EUはギリシャに対して従来よりも強い姿勢に出ているが、ギリシャが経済破たんした場合のコストは依然としてEUの方が大きく、最終的にはEUが妥協せざるを得ない状況は変わっていない。

EU強制退出論がまだ出てきていない以上、ギリシャは経済破たんしても、EU及びユーロに留まることになる。

破たんすることでギリシャが失うコストは、追加資金へのアクセスを絶たれることだけである。 

他方、EUは通貨経済統合の破たんという負のレピュテーションを背負うだけでなく、ギリシャ向け融資の焦げ付きや、地政学的不安定化というコストを追うことになる。

ギリシャにより大きなコストを背負わせようとすれば、ECBの緊急融資停止などを通じて、金融危機を煽るのも一つの手だ。

だが、ECBは中央銀行の責務として金融システム不安の拡大を防止しなければならない立場にあり、自ら危機を煽ることは困難。

EUも、ギリシャの銀行を破たんさせたとしても、破たんした銀行は公的管理下に置かねばならず、公的資金はEUが手当てせざるを得ない。結局、危機を演出してディシプリンを効かせようとしても、最終的には自分たち自身で事後処理することになる。

EUからの強制退出ルールを策定しない限り、ギリシャとEUの立場は変わらない。今後とも、強制退出ルール策定の動きが最大の注目であり、短期的なデフォルトの可能性のみに注目すべきではない。

*内容を追加します。

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